「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【社員に転勤を強制できるか?】原則できるが、今どきそれってどうなのか?

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会社は一定の範囲で社員に

転勤を命じる権利があります。

 

 

他方で、

転勤は社員やその家族の生活に

大きな影響を与えます。

 

 

今日は、

会社が転勤を命じることが

できる場合とできない場合、

さらに、今の時代の転勤や

人材配置のあり方などを

考えてみたいと思います。

 

 

 

 

(新幹線通勤は過酷?@東京駅)

 

<毎日更新629日目>

転勤はツラい?

先日、

昔の学生時代からの友人から

連絡がありました。

 

 

なんでも、

勤めている会社の都合で静岡に

転勤になり、毎日新幹線で

通勤しているそうです。

 

 

今どきテレワークもできない

そうで、毎日家に帰宅するのも

遅くなるそうです。

 

 

いや〜、

こういうことがあるから、

サラリーマンって大変ですよね。

 

 

転勤も、

まだ若くて独身の頃なら、

いろいろなところに住めて

いいな〜なんて思いますが、

いい歳になってきて、

家族もいて、住宅ローン組んで

家も買って、なんて状況で

転勤はツラいでしょう。

 

 

子どもも大きくなってくれば、

家族全員で引っ越すわけに

いかないので、単身赴任とか、

新幹線を使った長距離通勤を

せざるを得ないわけです。

 

 

たしかに、

ある程度広い地域で営業している

会社などでは、どの地域に

どの社員を配置するか、

といった問題はなかなか

難しいでしょう。

 

 

ある支店で人が足りなくなって、

急遽別の支店から他の人を

配置しなければならない、

ということも当然あるでしょう。

 

 

ただ、

転勤は社員の生活にも

大きく影響を及ぼすものです。

 

 

そこで、

法律的に会社は社員に転勤を

命じる、強制するということは

できるのでしょうか?

 

 

 

 

社員に転勤を強制できるか?

この点、

まず、

労働契約上、

社員の転勤の根拠

があるかどうかが

出発点となります。

 

 

勤務場所を特定して

採用されたような場合は、

会社が社員の転勤を

命じることはできない

ことになります。

(個別にこの社員の

同意があれば別ですが)。

 

 

就業規則などで、

社員の転勤についての規定

がきちんと

定められていれば、

会社は社員に転勤を

命じることができる

ことになります。

 

 

ただし、

会社が転勤を

命じることができる

場合であっても、

転勤命令が権利濫用

となる場合には、

転勤命令は無効と

なります。

 

 

権利濫用となる

場合とは、

具体的には次の

3つの場面です。

 

(1)業務上の必要のない転勤命令
(2)業務上の必要があっても、
   ①転勤命令が他の不当な動機や
    目的を持ってなされたとき
   ②労働者に対し、
    通常甘受すべき程度を著しく
    超える不利益を負わせるとき

 

ちなみに、

(2)②の

労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるとき

次のような場合です。

 

 

たとえば、

育児や介護の必要性が

高度な家族を抱えた社員

に対して、

遠隔地に転勤することを

命ずるような場合です。

 

 

以上をまとめると、

次のような図に

なります。

 

 

すなわち、

転勤命令が

2労働契約上転勤の

根拠がある場合で、

b)転勤命令が権利濫用

とならない場合が

合法となるわけです。

 

 

この場合は、

社員が転勤命令を拒否したら、

その社員を解雇することも

可能とされています。

 

 

法律上は以上のとおりです。

 

 

ただし、

居住地の変更を

強いられる転勤は、

社員の生活環境や

人生そのものにも

時として大きな

影響を与えます。

 

 

特に、

最近では、

ワークライフバランス

の要請もあり、

社員の生活状況への配慮

を無視した人材配置は

適切ではないでしょう。

 

 

子どもが小さい頃に、

単身赴任をせざるを得なく

なれば、子育てという二度と

ない貴重な機会を奪われる

ことになります。

 

 

それは子どもにとっても

不幸なことかも知れません。

 

 

家族のあり方に対する考え方も

多様化していて、昭和の時代

のように、父親は仕事だけ

していれば良い、という時代

ではありません。

 

 

そうなると、

転勤命令が社員に

「著しい不利益」を

与えるかどうかも

これまで以上に

慎重に判断されることに

なることが予想されます。

 

 

ですから、

なるべく各社員の

個別的な事情を

考慮した上で、

転勤命令を出すかどうかを

決定することが必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 転勤命令の法的根拠はあるが、社員への配慮は必要!

ということです。

 

 

あと、

今の時代は、

若い人も転勤を嫌う傾向に

あるようです。

 

 

若い人が就職する際に、

転勤があるかどうかを会

社選びの際に重視している

という話もあります。

 

 

若い人材の採用という観点

からも、今後の転勤や人材配置の

やり方には一層の配慮が

求められそうですね!

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、独占禁止法で禁止されている優越的地位の濫用、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅で仕事や掃除など。
お昼は家族で地元のもんじゃ焼きの店に行きました。
午後は家でのんびりと過ごしました。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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