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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【期限の利益喪失条項】分割払いの借用書を作るときの注意点

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貸したお金を「長期の分割で」

返してもらう、というとき、

本当に確実に返しても

らえるかどうか、

リスクがあります。

 

 

確実な回収のためには、

「期限の利益喪失条項」というものを

入れることを忘れてはいけません。

 

 

 

 

(画面を「分割」 MacBook Air)

 

<毎日更新723日目>

分割払いの借用書を作るときの注意点

借りたお金、一括では返済できなくても、分割払いなら返せる

そんな場合があります。

 

 

知り合いにお金を貸したのですが、なかなか返してくれません。

会話

いくら貸したのですか?

500万円です。

会話

それは大きいですね。
返してもらうように催促はしているのですか?

催促はしているのですが、一括で返済するのは難しい、と言われているのです。

会話

では、分割なら返せる、ということなのでしょうか?

そうなんです。
毎月10万円ずつ、50回払いなら返せると言うのです。

会話

なるほど。
もし分割払いの場合は、きちんとその内容を記載した契約書を作っておく必要がありますね。

そこで、そういった分割払いの契約書を作る場合のポイントを教えて欲しいのですが。

会話

それはやはり、分割払いの約束を破った場合のペナルティーをしっかり記載しておくことですね。

なるほど。
具体的には、どんな内容を書けば良いのでしょうか?

会話

たとえば、もし毎月の分割払いを2回以上怠って、滞納額が20万円に達した場合には、残額について一括で支払わせる、という約束を入れておくのです。

なるほど、分割払いを怠ったら、それ以降は分割ではなくて、一括で返せと言える内容、というわけですね。

会話

そうなんです。
その条項のことを、「期限の利益喪失条項」と言ったりします。
長期分割払いの約束をするときは、この条項を契約書に入れておく必要があります。

 

 

 

 

 

期限の利益喪失条項とは?

たとえ一括では返せなくても、

分割払いなら返せるという

場合があります。

 

 

確かに、

貸した方からすれば、

一括で返してもらうのが

一番良いですが、

分割でも返ってこない

よりはマシでしょう。

 

 

しかし、

貸した方にとって、

長期の分割で返して

もらうということは、

それなりのリスクがあります。

 

 

何といっても、

相手が約束どおり毎月きちんと

約束した分割金を支払って

くれるかどうか、

ということですね。

 

 

一度分割払いによる返済を

認める契約をすると、

たとえ相手が分割の

支払いを怠っても、

理屈上はそれ以降も毎月の

分割金の支払いしか

請求できないことになります。

 

 

一括ではなく、

50ヶ月(4年ちょっと)の期間を

かけて返してくれれば良い、

という契約だからです。

 

 

今すぐ全額を返せない

借主にとっては、

時間をかけて返せる方が

ありがたいわけです。

 

 

この

「時間をかけて返せるというメリット」

のことを、法律上

 期限の利益(きげんのりえき)

と言ったりします。

 

 

しかし、

毎月の分割金の支払いを

怠っている借主にまで、

この期限の利益を与えることは、

正当ではないでしょう。

 

 

そもそも毎月の分割金すら

支払わない人ですから、

この先さらにお金がなくて

支払えなくなる危険が

高いわけです。

 

 

貸主からしてみたら、

もう今すぐに全額返してくれ!

と言いたいところでしょう。

 

 

これを可能にするのが、

 期限の利益喪失条項(きげんのりえきそうしつじょうこう)

と呼ばれるものです。

 

 

具体的には、

次のような条項を契約書の中に

入れておきます。

第●条

借主が、分割金の支払いを2回以上怠り、その額が20万円に達したときは、借主は期限の利益を喪失し、借主は貸主に対して、直ちに残債務全額を支払うものとする。

 

要するに、

基本的には分割払いの約束を

したけれども、

もしその毎月の分割払いの

約束を怠ったら、

その時点で残っている残債務全額を

一括で払ってもらいますよ、

という約束です。

 

 

たしかに、

分割金の支払いを怠るような人に、

残額の全額を一括で払え、

と請求しても、

現実には払えない人が

多いでしょう。

 

 

しかし、

それでも、

このような期限の利益喪失条項を

入れておくことで、

借主の自覚を促すという

効果はあります。

 

 

すなわち、

もし毎月の支払いを怠ったら、

残額を全額一括で

支払わなければならない、

というのは、

借主にとっては一定の

プレッシャーにはなります。

 

 

そのプレッシャーがあるので、

毎月の約束した金額は

きちんと払わなければ、

という事実上の強制力が期待できる、

というわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 長期分割返済の契約書には、期限の利益喪失条項を入れるのを忘れてはいけない!

ということです。

 

 

長期分割返済の契約の場合、

貸主としては、

いかに確実に回収するか、

という点がとても重要です。

 

 

やはり、

契約書を作る段階から、

いかに回収しやすくするかの

工夫が必要だ、

ということですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、秘密保持契約を結んでおくべき3つの理由、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、1日事務所に出勤。
午後は、オンラインでの裁判期日や会議などでした。
夜は、知人が本を出版したので、その出版記念パーティーに参加してきました。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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