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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【原材料の調達困難】契約後の「納期変更」はできるか?

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建物の請負契約などで、

いったん契約で納期を定めた以上、

後で一方の当事者が勝手に

それを変更できないのが

原則です。

 

 

しかし、場合によっては、

例外的に契約後に納期の変更を

求めることができる

場合もあります。

 

 

それは、

どのような場合なのでしょうか?

 

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 納期に間に合わない??)

 

<毎日更新818日目>

原材料の調達困難で、納期に間に合わない??

コロナやウクライナの

戦争などの影響で、

建設業などでも原材料の調達が

困難になっている場合が

あるようです。

 

 

たとえば、

建物の建築請負契約を結ぶ場合、

契約時の段階で納期を

決めるのが原則です。

 

 

ただ、建物の建築には、

通常契約後から建物の完成まで

数ヶ月の時間がかかります。

 

 

その間に国際事情の

変動などがあり、

予定していた建材などの

調達ができなくなる

ことがあります。

 

 

そこで、

予定していた納期に建物の

建築が間に合わない、

という事態が生じ得る

わけです。

 

 

この点、

契約というものには、

法的な拘束力があります。

 

 

ですから、

最初に建物建築請負契約を

結んだ時点で決めた納期は、

その後に、

当事者の一方が勝手に

変更することはできないのが

原則です。

 

 

しかし、

契約時に予想できないような

国際事情の変動があり、

予定どおり原材料が

調達できない、

というような場合にまで、

この原則をつらぬくと、

どうなるか?

 

 

建設業者としては、

とてもリスクがあって契約できない、

ということになってしまいます。

 

 

こんな場合、

いったいどうしたら

良いのでしょうか?

 

 

 

 

 

契約後に「納期延長」の交渉を行うためには?

まず第一に大切なことは、

このブログでも散々

お伝えしているように、

契約書を作ること。

 

 

すなわち、

きちんとした

「建設請負工事契約書」を

作成することです。

 

 

世の中には、

契約書がないため、

当事者間で約束した

納期がいつだったのか?

 

 

これが

曖昧になり、

トラブルになるケースが

少なくありません。

 

 

そして、

契約書の中に、

契約締結後に、

当事者間で予測不可能な

事態が生じた場合などに、

納期の変更を求めることができる、

という内容を入れておくことです。

 

 

具体的には、

契約書の中に、

不可抗力によるとき、又は正当な理由があるときは、受注者は、すみやかにその事由を示して、発注者に工期の延長を求めることができる。

という規定を入れておく

ということです。

 

 

ちなみに、

「不可抗力」というのは、

天災や災害、

偶然の事情など、

契約当事者の力によっては

どうすることもできない

ような事情のことを言います。

 

 

この点、

工事請負契約の

代表的なひな形として、

民間(七会)連合協定工事請負契約

約款委員会が制定している

工事請負契約約款でも、

受注者は・・・この工事への追加又は変更、不可抗力、関連工事の調整、その他正当な理由があるときは、発注者に対してその理由を明示して必要と認められる工事の延長を請求することができる

との規定があります。

 

 

事前に、

契約書にこのような条項を

入れておけば、

契約後であっても、

納期の延長に関する交渉が

やりやすくなります。

 

 

 

 

 

 

 

事情変更の原則とは?

それでは、

契約書でこうした条項を

入れていなかった場合は、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

先ほども見たとおり、

上記のような納期変更に

関する取り決めを

していない限り、

いったん契約で決まった納期を、

当事者の一方的な意思のみで

変更することは

できないのが原則です。

 

 

しかし、

例外的に、

「事情変更の原則」

 

という考え方があります。

 

 

これは、

契約の成立後、その契約の基礎となっている事情につき、契約当事者が当初予見し得なかった著しい変化が生じ、もとの契約内容をそのまま履行させることが当事者間の衡平を損ない、信義に反する結果となる場合、契約の改定などが認められる 

とする考え方です。

 

 

極めて例外的な

場面ではありますが、

裁判例でも認められている

考え方です。

 

 

この事情変更の原則が

適用されるための要件は、

①  契約後に、契約の基礎となる事情に著しい変化が生じたこと

② 事情変更が、契約当初予見不可能であったこと

③   事情変更の結果、もとの契約の拘束力をそのまま承認することが、信義則に反する結果となること  

の3つを満たす

必要があります。

 

 

今回の、

国際情勢の変動によって、

原材料費の調達が困難になった

という事情があり(①)、

それが契約当初予見不可能

である場合(②)には、

契約時に定めた納期を

一切変えないということは、

ときに信義則に反する結果と

なり得ると考えます(③)。

 

 

したがって、

この「事情変更の原則」

という理論を使って、

契約時に定めた

納期の延長を交渉する

というのも

1つの方法だと思います。

 

 

ただし、

こうした法律的な理屈があっても、

実際上は、

契約で決められた納期を

延長するような交渉は、

そう簡単ではありません。

 

 

下手をすると、

納期の延長に関する交渉が難航し、

発注者側から、

納期を守らなかったという

債務不履行というクレームを

受ける可能性があります。

 

 

そうなると、

発注者から損害賠償を請求される

などのトラブルが起こり、

「裁判沙汰」に発展してしまう

危険があります。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということ。

 

 

「裁判沙汰」を避けるためには、

やはりきちんと契約書を作ること、

そして、

契約書の中に納期の変更に関する

条項を入れておくことが大切です。

 

 

実は、

今までちゃんとして契約書を

作っていなかったとか、

契約書はあるものの、

内容が大丈夫か不安だ、

という方は、

ご相談いただければと

思います。

 

法律相談のお申し込み

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、損害賠償を請求する、という場合に、まず「損害」というのは一体なんなのか?そんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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