「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「裁判」で相手を「あやまらせる」ことはできない?

裁判

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とにかく相手にあやまらせたい、

というご相談を受けることが

あります。

 

 

しかし、

残念ながら、

原則として「裁判」で

強制的に相手にあやまらせる

ことはできません。

 

 

(今日の「棒人間」 あやまってほしい?)

 

<毎日更新744日目>

「裁判」で相手に謝罪を強制することはできるか?

お金なんていりません。
とにかく、相手にあやまってほしいんです!

このように言われる方が、

実は少なくありません。

 

 

 

何かトラブルが起きて、

加害者に対して損害賠償の

請求をするかどうか、

そんなご相談の場面が典型的です。

 

お金の問題じゃないんです!
とにかく誠意を見せてほしい。

裁判で、相手を強制的にあやまらせることはできないんですか?

 

お気持ちはよくわかります。

 

 

とにかく、

相手に自分の非を認めて

あやまってもらいたい。

 

 

それだけで、

かなり溜飲が下がる、

という方もおられます。

 

 

しかし、

誠に残念ではありますが、

「あやまりたくない」

と思っている人に、

強制的にあやまらせる、

という方法は原則としてありません。

 

 

たとえ「裁判」を起こしたとしても、

基本的には「被害者にあやまりなさい」

という判決が出ることはありません。

 

 

これは、

憲法で思想・良心の自由が

保障されていることと

関係があります。

 

 

すなわち、

「あやまりたくない」

と思っている人に、

国家が強制的にあやまらせることは、

この思想・良心の自由を侵害する、

と考えられているからです。

 

 

そこで、

加害者に対して強制的に

何かをしようとした場合、

民事では基本的に「損害賠償」

という方法がとられます。

 

 

つまり、

強制的にお金を支払わせる

というのが、

被害者に対する被害回復の

基本になっているわけです。

 

 

ですから、

たとえ「裁判」を起こしても、

損害賠償という形でお金を

支払わせることはできますが、

謝罪を強制することはできません。

 

 

 

 

例外としての、名誉毀損の「謝罪広告」

 

このように、

「裁判」であやまることを強制する

ことができないのですが、

例外があります。

 

 

それは、

名誉毀損(めいよきそん)

を行った場合に、

加害者に「謝罪広告」を

掲載することが命じられる

ことがあります。

 

 

民法723条では、

次のように定められています。

他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命じることができる。

 

この、

後段の

「名誉を回復するのに適当な処分」

として、

「謝罪広告」を命じられる

ことがあるわけです。

 

 

具体的には、

 謝罪文

当社のサイトに掲載した●●というのは事実に反しており、これによって●●様の名誉を毀損したことを謝罪します。
誠に申し訳ございませんでした。

といったような文章を

掲載することになります。

 

 

名誉毀損の場合は、

こうした謝罪文がないと、

傷つけられた被害者の

名誉が回復せず、

事案によっては、

損害賠償だけでは不十分な

場合があるからです。

 

 

ただし、

これはあくまで例外です。

 

 

上記で述べたように、

どれだけ腹が立ったとしても、

裁判で相手に謝罪を

強制することはできない、

ということは覚えておいても

良いかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 原則として、裁判で強制的にあやまらせることはできない!

ということです。

 

 

なお、

上記は民事の話で、

たとえば人を殴って

怪我をさせれば、

もちろん民事上の損害賠償

だけではなく、

刑事の傷害罪という話に

なります。

 

 

刑事事件として立件されれば、

罰金や懲役といった刑罰を

受けることがあります。

 

 

しかし、

刑事事件の刑罰においても、

やはり強制的に「あやまらせる」

という制度はありません。

 

 

民事の場合と同様に、

内心の問題には、

国家が必要以上に

介入してはならない、

という憲法上の原則が

あるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、就業規則の「周知」とは?作っただけで安心していませんか、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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