最近、
「執行役員」という肩書きの
名刺をよく見かけます。
しかし、
「執行役員」は、
会社法上の「役員」ではなく、
法律上の制度では
ありませんので、
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 執行役員って偉い人??)
<毎日更新951日目>
以前のブログで、
会社の「取締役」と、
社員・従業員の違い
について書きました。
株式会社の運営というものは、
基本的に出資者である
株主が会社の所有者です。
そして、
その株主から具体的な
会社の経営や業務執行を
委任されたのが、
取締役などの会社の
「役員」と言われる
人たちです。
会社法上の「役員」には、
取締役、
会計参与、
監査役などがあります。
取締役などの
会社の役員は、
会社との間の契約関係は、
「委任契約」と
いうことになります。
他方で、
従業員や社員は、
会社との間の契約関係は、
「雇用契約」ということに
なります。
「雇用契約」というのは、
会社に対して労務を提供し、
その対価として賃金
という給料をもらう、
という契約です。
従業員や社員は、
雇い主である会社に
従属した立場で、
会社から具体的な
業務上の指揮命令を
受けて働きます。
当然、
会社から勤怠管理も
受けることになりますので、
出勤時間や退勤時間、
勤務時間などで会社の
決めたルールに従う
必要があります。
しかし、
取締役などの役員は、
会社との契約関係は
上記のように
「委任契約」です。
ですから、
会社から一定の
仕事を依頼されて行う点は
同じですが、
雇用契約のように
雇い主に従属している、
というわけではありません。
もっと自由な裁量があり、
会社から細かい勤怠管理を
受けることもありません。
なお、
取締役などの役員は、
株主総会によって
選任されます。
他方で、
最近、
会社の「執行役員」という
肩書きをよく耳にします。
この「執行役員」というのは、
どのような立場の人
なのでしょうか?
執行役員とは、
取締役が決定した事業方針に
従って業務を遂行する、
事業運営の責任者
のことを言います。
重要なことは、
「執行役員」というのは、
「役員」という名称は
ついていますが、
会社法上の「役員」ではない、
ということです。
要するに、
「執行役員」というのは、
法律上の制度ではなく、
あくまで会社が任意で
定めている役職名です。
ですから、
「執行役員」を置くか
どうかは会社の自由であり、
その具体的な役割や
規定も会社によって
異なります。
さらに、
法的な地位も、
「取締役」は、
上記のように会社との間で
委任契約を締結しています。
これに対し、
「執行役員」は、
多くの場合委任契約ではなく、
会社と雇用契約を結んでいます。
その意味では、
社員・従業員に
近い立場です。
ですから、
あくまで「取締役」などの
会社法上の「役員」のように、
いわゆる経営に直接携わる
立場とは異なるわけです。
ただ、
「執行役員」は、
取締役が決定した会社の
業務執行に関する方針について、
その業務を執行する
立場にありますので、
一定の重要なポジションには
あるわけです。
会社に「執行役員」を
置くメリットは、
現場の業務執行を
「執行役員」任せて、
会社全体の動きを
スムースにすることや
業務効率化を図れる
ということです。
「執行役員」がいることで、
「取締役」などの会社法上の役員は、
本来の業務である経営に
専念できるようになるわけです。
ただ、
上記で見たように、
「執行役員」というのは、
あくまで会社法で定められた
「役員」ではありません。
「取締役」などの「役員」は、
会社の経営や業務執行
についていわば最終責任を
負います。
経営判断に失敗して、
会社の業績が危うくなれば、
会社から損害賠償請求をされたり、
場合によっては私財を
投げ打たなければならない
場合もあります。
しかし、
「執行役員」は、
あくまで会社の雇用契約を
結んでいる立場ですので、
そこまでの責任追及は
難しいケースが多いでしょう。
よく、
会社の「執行役員」の名刺を見ると、
会社の一定の責任者のように
感じてしまうこともあるかも
知れません。
しかし、
法律上の地位は、
会社法上の「役員」とは
違いますので、
注意が必要です。
安易に「執行役員」の
名刺を信用することなく、
その会社の最終責任者を
きちんと把握しておくことは
大切でしょうね。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。