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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【パチンコ火災】誰が、どんな責任を負うのか?

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先日、

厚木のパチンコ店の駐車場で

起きた大規模火災。

 

 

あれだけの損害が

発生していますが、

いったい誰が、

どんな責任を負う

のでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 大規模火災で誰が責任を負うか?)

 

<毎日更新841日目>

火元の車の所有者は責任を負うのか?

先日、

神奈川県厚木市で

起きたパチンコ店

「マルハン厚木北店」の

駐車場の火災事故。

 

 

なんと、

自動車152台が焼け、

パチンコ店も一時営業停止を

余儀なくされました。

 

 

また、

この火災によって、

隣接のスーパーマーケットや

ホームセンターの建物などにも

被害が及んでいるようです。

 

 

今どき、

街中でこれだけ大規模な

火災が起こるのは珍しい

ケースでしょう。

 

 

怪我人が出なかったのが

不幸中の幸いと言って

良いでしょう。

 

 

しかし、

これだけの被害が出ているとなると、

いったい誰がその責任を負うのか、

ということが問題となってきます。

 

 

車のドライブレコーダーを分析して、

火元となった1台のディーゼル車が

特定されたそうです。

 

 

今のところ、

放火の可能性は低いと

されているようですが、

その場合、

この火元となった

自動車の所有者は、

責任を負うのでしょうか?

 

 

この点、

法律の原則では、

このようなケースでは、

民法709条の不法行為に基づく

損害賠償の問題となります。

 

 

すなわち、

故意または過失によって、

他人の権利を侵害した場合に、

その他人が被った損害を

賠償しなければならない

と定められています。

 

 

ところが、

火災の被害については、

この民法709条の特則として、

失火責任法という法律が

適用されます。

 

 

この失火責任法は、

正式名称は

「失火ノ責任ニ関スル法律」

といって、

明治32年にできた法律です。

 

 

この失火責任法では、

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

と定められています。

 

 

昔の法律で、

文語体なので非常に

読みにくいですね。

 

 

ここでは、

失火、

つまり火災の被害の場合は、

「失火者」、

つまり火災の原因を作った人に、

故意または「重大な過失」

があるという場合を除き、

上記の民法709条の不法行為の

規定は適用しない、

と定められています。

 

 

要するに、

「失火者」が単に火災の

原因について「過失」が

あるだけの場合は、

この「失火者」の

損害賠償責任が免除

されている、

というわけなのです。

 

 

これは、

この法律ができた明治時代は、

日本の家屋はほとんど木造で、

いったん火災が発生すると

被害額が巨額なものに

なってしまいます。

 

 

それをすべて「失火者」に

負担させるのは酷である、

という価値判断が

この法律の背景に

あります。

 

 

ただ、

故意に火をつけたとか、

「重大な過失」がある場合にまで

「失火者」の責任を免除するのは

おかしいので、

その場合は原則通り

不法行為責任を負わせる、

という建て付けに

なっています。

 

 

したがって、

この失火責任法によって、

火災について「失火者」に

損害賠償を請求するのは、

事実上不可能であると

されています。

 

 

ですから、

今回も、

火元となった車の所有者に

責任追及はできない、

と考えられます。

 

 

 

場合によっては、自動車メーカーの責任の可能性も??

ただ、

今回ちょっと気になっているのは、

放火の可能性は低く、

火元となった自動車を

駐車してから15分後に

エンジンの下部から出火した、

とされている点です。

 

 

あくまで推測ではありますが、

もしこの自動車に

何らかの欠陥があり、

それが原因で火災に

いたったとしたら、

どうなるのでしょうか?

 

 

実は、

もう1つ「製造物責任法」

という法律があります。

 

 

たとえば、

自動車に何らかの欠陥があり、

それによって他人に損害を

与えたという場合、

この自動車を製造した

メーカーは、

その損害を賠償

しなければならない、

とされています。

 

 

この製造物責任法では、

「欠陥」については、

当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること

を言うとされています。

 

 

もし、

火元となった自動車に

何らかの「欠陥」があり、

それが原因で火災が

起きた場合には、

この製造物責任法に基づき、

自動車メーカーに対して

責任追及を行うことは

できないでしょうか?

 

 

この点、

この「製造物責任法」と、

先ほど見た「失火責任法」の

関係が問題となります。

 

 

「製造物責任法」は、

物の「欠陥」が原因で損害が

発生した場合には、

メーカーの過失の有無を

問わず責任が

肯定されます。

 

 

すなわち、

特に過失がなくても

責任を負う

「無過失責任」

と呼ばれるものです。

 

 

他方で、

先ほど見た「失火責任法」は、

故意または「重大な過失」が

ある場合のみ責任を

負うとされ、

単に「過失」があるに

すぎない場合は、

責任を免除されます。

 

 

そうすると、

この場合も、

「失火責任法」が優先

されるとすると、

自動車メーカーに故意

または「重大な過失」がある

場合でなければ、

責任追及できない

ということになります。

 

 

ただ、

通常そのようなケースは

考えられないでしょう。

 

 

この点については裁判例があり、

次のとおり「製造物責任法」が

優先するとされています。

 

 

すなわち、

 失火責任法は、木造家屋が多く、一旦火災が発生すると被害額が甚大なものになり得るという日本特有の事情を理由に、原則として失火による不法行為責任を免れる旨を定めた法律であるが、欠陥のある物を製造した事業者が、上記のような理由により、製造物の欠陥を原因として発生した火災に基づく責任を免れるのは、合理的なこととはいえない

として、

製造物責任法に

基づく責任には、

失火責任法の

適用はない、

と判断しています。

 

 

そこで、

今回のケースでも、

自動車に何らかの

欠陥」があり、

それが火災の原因と

なっていると

認められた場合には、

自動車メーカーに対する

責任追及ができる

ものと考えます。

 

 

 

 

 

被害の回復は保険次第??

ただし、

一般的には自動車のメカニズムは

かなり専門的なものであり、

「欠陥」や、

まして「欠陥」が火災の

原因となったということを

証明することは、

それほど簡単ではありません。

 

 

もし、

製造物責任法に基づく

責任追及ができない場合には、

自動車の所有者の責任も、

上記の失火責任法によって

免責されますので、

極端な話、

誰に対しても法的な責任追及が

できないということに

なってしまいます。

 

 

そこで、

やはり今回の火災も、

被った損害をどこまで

回復できるかは、

どのような内容の「保険」を

かけていたかどうか、

ということになってきます。

 

 

まず、

焼けてしまった自動車

の問題ですが、

これは個々のドライバーが

車両保険に入っていれば、

その保険の補償の範囲内で

損害はカバーされる

ことになります。

 

 

また、

パチンコ店や近隣店舗の建物に

生じた損害については、

それぞれが契約している

火災保険によって

カバーされるでしょう。

 

 

火災保険は、

延焼による被害の場合も

補償されますので、

上記のように、

失火責任法によって

出火元の人に損害賠償請求が

できなくても、

その損害を回復することが

できます。

 

 

それでは、

パチンコ店や近隣の店舗が、

この火災によって一定期間

営業を停止せざるを

得なかった部分の、

いわゆる営業損害は

どうなるのでしょうか?

 

 

この辺は、

企業保険などに加入

している場合には、

休業補償条項によって

補償される場合があります。

 

 

すなわち、

建物が火災に

あった結果として、

営業利益の損失が

生じた場合には、

その損失が保険によって

補償される場合があります。

 

 

このへんは、

入っている保険の内容などに

よっていろいろと要件が

定められています。

 

 

いずれにしても、

今回の事件の教訓は、

火災の場合には、

出荷元に対する損害賠償の

請求が非常に難しい

ということ。

 

 

そのため、

やはり会社としては、

リスクヘッジのために

「保険」を活用する必要がある、

ということを改めて

実感させられましたね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、相続土地の国庫帰属制度ということで、いらない土地を引き取ってもらう方法というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は1日事務所で仕事でした。
午前中は事務所の所内会議、午後は顧問先のお客様との打ち合わせ、担当している案件の書面作成などでした。

ご提供中のメニュー

夏休み 父ちゃん弁当日記

塩握り2個、トマトサラダ、きゅうりとハムのサラダ、ピーマンと豚肉の甘辛炒め、タコさんウインナー、ミートボール、ポテトフライで、デザートはプリントゼリーでした。
朝の弁当作りも、だいぶ息切れ気味ですが、夏休みもあとわずなですのでがんばります!

 

 

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裁判しないで解決する
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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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