「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

契約をしたけど、相手方の財務内容が悪化 不払いリスクを避けるために、取引をストップしたい

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契約というものは、

一度結んだら、

基本的にそれに拘束されますから、

一方当事者の都合で取引を止める、

ということはできません。

 

 

しかし、

契約後に相手方の財務内容が悪化して、

不払いのリスクがある場合には、

「不安の抗弁権」と言って、

例外的に取引をストップ

できる場合があります。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 信用不安があるので、取引をストップしたい??)

 

<毎日更新882日目>

契約後に不渡りの噂が! 工事をストップしたい??

都内で建設業を営むA社長。

 

 

取引先との間で、

建物の建築工事を請け負い、

工事に着手。

 

 

しかし、

その後取引相手の財務状況が

悪化していて、

このままでは工事代金不払いの

リスクがある、

という緊急のご相談がありました。

今回、新規の取引先から、建物の建築工事を受注しました。
工事代金については、工事着工時に4割、工事完了後に6割を支払う内容になっています。

会話

なるほど、よくある建物建築請負工事のパターンですね。

それで、着工時の4割の代金はすでに払ってもらって、工事を開始したのですが、最近ちょっと気になる噂を耳にしたのです。

会話

それは、どんな噂でしょう?

その発注者である取引先の資金繰りがかなり悪化していて、近々不渡りを出すのではないか、という噂を聞いたのです。

会話

なるほど、それは心配ですね。

それで、もしその噂が本当だったらば、弊社としても残りの6割の工事代金を回収できなくなるリスクがあるので、今すぐ工事をストップしたいと考えているのですが、問題ないでしょうか?

会話

確かに、理屈の上では、契約後でも取引相手に信用不安があるような場合に、例外的にこちらの仕事をストップする「不安の抗弁権」という考え方があります。

「不安の抗弁権」ですか。

会話

そうした理屈があるにはあるんですが、要件がそれなりに厳しく、単に取引先の資金繰りが悪化しているという噂だけで工事をストップしてしまうのは危険です。

では、どうしたら良いでしょう?

会話

まずは、その取引先の資金繰りが悪化しているというのは、どの程度正確なのか、客観的な裏付けなどを早急に調査することが必要です。

なるほど。

会話

その上で、その資金繰りの悪化がかなり信ぴょう性がある場合には、取引相手に対して、財務内容についての資料の開示を求め、保証人などの追加の担保をお願いすることになります。

そうですか。

会話

それだけやって、それでも相手方がこちらの要求に応じない場合に、初めて「不安の抗弁権」を使ってこちらの工事をストップする、という流れが良いと考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不安の抗弁権」を使って、例外的に取引をストップできる場合とは?

建物の建築工事を

受注したということは、

法律的には取引先と

建物建築請負契約を

結んだことになります。

 

 

受注した方は、

当然契約上建物の

工事を完成させる義務

があります。

 

 

ですから、

一方的に工事を中止

することは契約違反となり、

取引先から損害賠償請求

をされるリスクがあります。

 

 

しかし、

上記の相談事例のように、

取引先の資金繰りが悪化した場合は、

どうでしょうか。

 

 

この場合には、

このまま工事を完成しても残りの

代金を支払ってもらえない

というリスクがあります。

 

 

そのような場合にまで、

あくまで工事を完成させ

なければならないというのは

不当でしょう。

 

 

こうした場合には、

例外的に工事を途中で

ストップすることが契約違反

にはならないと判断

される可能性があります。

 

 

これを専門的に

「不安の抗弁権」と言います。

 

 

「不安の抗弁権」というのは、

明文の法律の規定がある

わけではありませんが、

これを認めた裁判例があります。

 

 

それによると、

すでに成約した契約の趣旨にしたがってさらに商品を供給したのでは、その代金の改修を実現できないことを懸念するに足りる合理的な理由があり、かつ、後々の相手方の代金支払いを確保するために、担保の提供を求めるなど、信用の不安を払拭するための措置を求めたが、相手方がこれに応じなかった場合

 

このような場合には、

取引上の信義則と

公平の原則を根拠として、

「不安の抗弁権」を認めて、

継続的な商品の供給の

停止を認めた、

というものです。

 

 

 

 

 

こんなときのトラブル対処法、予防法はこれ!

ただし、

ういった理屈はあるものの、

「不安の抗弁権」が認められる

基準が明確ではありません。

 

 

ですから、

取引相手の財務内容が悪化

しているという噂話のみで、

いきなり取引を停止するのは

危険です。

 

 

もし、

「不安の抗弁権」が

認められない場合には、

こちらが一方的に契約で

決められている工事をストップ

したということで、

契約違反の責任を追及される

可能性があるからです。

 

 

そこで、

まずは、

噂レベルの取引先の

資金繰りの悪化について、

それがどの程度正確なのか、

客観的な裏付けを調査

することが必要です。

 

 

その上で、

もし資金繰りの悪化がそれなりの

信ぴょう性があった場合、

その取引相手に対して、

支払い能力や契約を守る

能力があるかどうかについて、

説明を求めるべきです。

 

 

その際には、

相手方の財務内容がわかる

資料(決算書類等)の開示を

求めても良いでしょう。

 

 

さらに、

それでも信用不安が残る場合には、

相手方に保証人などの新たな担保を

提供することを求めるなど、

信用不安を解消するための

交渉を行います。

 

 

そして、

それでも相手方がこうした

要求に応じなかった場合に、

初めて取引の停止(建築工事の停止)

を検討するべきだと考えます。

 

 

ただ、

そもそもこうしたトラブルを

防するための方策があります。

 

 

それは、

最初に新規の取引先と

契約を結ぶ段階で、

請負契約書に次のような条項を

あらかじめ入れておくことです。

 

手形の不渡り等の一定の事由が注文者に生じた場合は、請負人は注文者に対し、追加担保の提供、決算書類、試算表、資金繰り表などの財務書類の提出を求めることができる。注文者がこれに応じないときは、請負人は工事を拒むことができる

 

こうした条項を入れておけば、

実際に信用不安に当たる

一定の事由が発生した場合に、

上記の「不安の抗弁権」を

使えるかどうかを検討することなく、

工事をストップしてリスクヘッジを

図ることができます。

 

 

工事代金の不払いといったリスクは、

建設関係の業界にはつきものです。

 

 

大切なことは、

できるだけトラブルを事前に

予防する対策をとっておく、

ということですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

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昨日は、午前中は自宅で仕事、午後は事務所に出勤して仕事。
夕方からは、キャッシュフローコーチ仲間との月一の「予祝会」でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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