「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

社員への貸付、毎月の給料から天引きして返済させる、はあり?

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中小零細企業などでは、

必要に応じて社員が会社から

お金を借りるケースがあります。

 

 

そんなとき、

社員に払う毎月の給料から

天引きして返済させる、

ということはできる

のでしょうか?

 

 

できるとして、

その限度は?

などなどについて

お話しします。

 

 

 

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 給料からの天引きはあり??)

 

<毎日更新959日目>

社員への貸付と、返済方法

先日、

私の顧問先の建設会社の

A社長から、

ご相談をいただきました。

実は、先日、うちの社員にお金を貸しましてね。

会話

なるほど、何かご事情があったんですか?

そうですね、その社員の住んでいるアパートから今度引越しをするので、引越し費用として30万円貸してほしいと頼まれ、貸したのです。

会話

なるほど、引越し費用ですね。

それで、その返済なんですが、その社員の毎月の給料からいくらか天引きして返してもらう話になっているのですが、そのような返済方法は、法律的に問題ないでしょうか?

会話

この点、社員の賃金の直接全額払いの原則というのが、労働基準法でありましてね、原則として、給料から天引きはいけないことになっているのです。

なるほど、それじゃあ、いったんは給料を全額支払った上で、毎月一定額を返してもらう、という方法だったらどうでしょう?

会話

それなら問題ないでしょうね。
あと、先ほどの全額払いの原則ですが、もしその社員さんの真摯な同意があれば、例外的に給料からの天引きもOKとされています。

そうなんですね。

会話

いずれにしても、大切なことは、きちんと書面の形にしておくことです。

書面、と言いますと?

会話

まず、自社の社員さんとの間でも、きちんと貸金の契約書を作るべきです。そして、その契約書で、返済方法について、毎月の給料から一定額を天引きすることもきちんと定めておくべきです。

なるほど、よくわかりました。ちなみに、毎月の給料から天引きできる上限額のようなものはありますか?

会話

それは、毎月の給料の4分の1の金額までとされています。

 

 

 

 

賃金全額払いの原則と、その例外

中小零細企業では、

よく、

会社が社員さんにお金を

貸し付けるというケースを

見聞きすることがあります。

 

 

その場合、

お金を貸した会社としては、

やはりきちんと返済して

もらわなければなりません。

 

 

ところが、

ある程度まとまった金額になると

なかなか一括で返済して

もらうことは難しく、

分割払いで返してもらう

ことが多いでしょう。

 

 

その際には、

社員に支払う毎月の給料から

一定額を天引きして

返済してもらう方が、

返済が確実になります。

 

 

ところが、

他方で、

労働基準法では、

賃金の直接・全額払いの原則

というものが定められています。

 

 

すなわち、

労働基準法24条1項では、

賃金は,通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない。

と定められています。

 

 

給料というものは,

社員(やその家族)の生活を

支えるものであり,

給料が全額きちんと

支払われるかどうかは

社員にとっては死活問題です。

 

 

そこで、

社員に対する貸付金の返済などを

社員の給料から天引きして

支払わせることは、原則として

禁止されているのです。

 

 

それでは、

その社員が給料からの天引き

に同意しているときは

どうでしょうか?

 

 

お金を借りたい社員としても、

毎月の給料から一定額を

天引きしてもらうという

返済方法をむしろ望む

場合もあります。

 

 

これについては、

最高裁の判例があり、

その同意が労働者の自由な意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき

には天引きをすることも

例外的に許されるとしています。

 

 

ですから、

もし給料からの天引きを行うには、

その社員の真摯な

同意があることが前提で、

きちんとした同意書を作成して

おくことが大切です。

 

 

さらに、

労使協定で

「従業員に対する会社からの貸付金の返済は、毎月の給与から控除するものとする」

などと合意されている場合です。

 

 

この場合も、

例外的に、

毎月の給料から天引きで

返済を受けることが

可能となります。

 

 

ただし、

その場合は、

前提として、

あらかじめ就業規則に、

社員への貸付金の返済を

毎月の給料から天引きする

という返済方法を定めておく

必要があります。

 

 

 

 

 

どの程度「天引き」できるのか?

さて、

例外的に、

毎月の社員の給料から

天引きして返済して

もらうとして、

具体的にどの程度

天引きができるの

でしょうか?

 

 

これについては、

毎月の給与額の4分の1までが、

天引きできる上限額と

されています。

 

 

というのは、

民事執行法という法律で、

「給料の4分の3に相当する部分は、

差し押さえてはならない」

と定められています。

 

 

これを、

「差押禁止債権」と言います。

 

 

そして、

民法510条では、

債権が差押えを禁じたものであるときは、その債権者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

と定められています。

 

 

相殺というのは、

互いに債権債務を

負っているときに、

対等額でその部分を

チャラにしましょう、

というものです。

 

 

この点、

会社は社員に対して

給料の支払い義務を

負っています。

 

 

他方で、

会社からお金を

借りている社員は、

会社に対して返済の

義務を負っています。

毎月の給料額から、

返済額を天引き

するというのは、

まさにこの「相殺」に

他なりません。

 

 

ところが、

上記の民法の規定では、

「差押禁止債権」は相殺は

できないことに

なっています。

 

 

そして、

上記の民事執行法で、

給料の4分の3は

「差押禁止債権」に当たるので、

相殺できません。

 

 

そうなると、

結果的に、

給料からの天引き(すなわち相殺)

ができるのは、

給料の4分の1が上限となる、

というわけです。

 

 

近しい間柄であっても、

お金の貸し借りはとかく

トラブルの元になります。

 

 

とはいえ、

いろいろ事情があって、

社員さんに会社がお金を貸す

必要があることも

あるでしょう。

 

 

お金の貸し借りに端を発して、

社員さんとのトラブルに

なることを予防するには、

まずこうした給料支払いや

天引きに関するルールを

理解すること。

 

 

その上で、

きちんと貸金契約書等の

書面をしっかり作成して

おくことが重要ですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

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最新動画 

今回は、社員とのトラブル予防、雇用契約書を作った方がよい3つの理由、というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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