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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【社員の給料が差し押さえられた】会社は社員に給料を払ってよいのか??

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自社の社員が、

給料を差し押さえられた。

 

 

この社員に、

今まで通り給料を支払って

よいのでしょうか?

 

 

会社が社員にお金を

貸していたときは、

その場合も給料から

天引きできるのでしょうか?

 

 

これらのことについて、

まとめてみました。

 

 

(今日の「棒人間」 給料の差押えはつらいよ??)

 

<毎日更新960日目>

裁判所から、社員の給料の差押命令が届いた!

うちの社員の給料について、裁判所から差押命令が届きまして、どうしたらよいのでしょう??

差押えとは、

借金などの支払いを

怠っている人(債務者といいます)

に対して、

金融機関などがその

債務者持っている財産から

強制的に回収をはかる

行為です。

 

 

一番わかりやすいのは、

不動産を差し押さえて、

それを競売という

売却の手続きを行い、

その売却代金から貸した

お金などを回収すると

いうものです。

 

 

不動産だけではなく、

動産(金銀宝石など財産的な価値のあるもの)や、

預貯金などの債権も、

差し押さえの対象となります。

 

 

たとえば、

預貯金を差し押さえられると、

預貯金の口座を持っている

名義人であっても、

それ以降はその口座から

お金を引き出せなく

なってしまいます。

 

 

そして、

実は、

会社員や公務員など、

給料を得て生活している人

については、

その給料も、

差し押さえの対象と

なるのです。

 

 

すなわち、

金融機関などが、

その会社員が会社から支払いを

受ける給料を差し押さえて、

そこから自分の貸金の回収を

行うわけです。

 

 

この場合、

給料の支払い義務を

負っている会社を、

「第三債務者」と

言ったりします。

このとき、

会社が注意しなければ

ならないことがあります。

 

 

それは、

裁判所からの差押命令が

送られた後で、

会社がその社員に給料を

支払ってしまった場合です。

 

 

この場合は、

会社は、

差し押さえた金融機関から

請求された場合、

給料を二重に支払わなければ

ならなくなってしまいます。

 

 

すなわち、

差押えがなされると、

金融機関から会社に対し、

社員の給料をこちらに

振り込むように、

という連絡がきます。

 

 

そうした場合は、

会社は、

社員に支払ってしまうのではなく、

差押をした金融機関に支払いを

しなければならないことに

なるわけです。

 

 

間違えて、

社員に支払って

しまわないようにする

必要があります。

 

 

なお、

民事執行法で、

「給料の4分の3に相当する部分は、

差し押さえてはならない」

と定められています。

 

 

ですから、

金融機関が、

実際に給料の差し押さえが

できる範囲は、

給料の4分の1までの

金額となります。

 

 

 

 

会社の貸付金の回収はできるか?

さて、

昨日のブログでは、

会社が社員に対して、

お金を貸していた場合の

話を書きました。

 

 

その場合、

一定の要件を満たしていれば、

会社は、

社員の毎月の給料から

天引きして貸金の返済を

受けることができます。

 

社員への貸付、毎月の給料から天引きして返済させる、はあり?

 

具体的には、

社員の給料支払い請求権と、

会社が有している

貸金返還請求権を、

対等額で相殺することが

できるわけです。

 

 

そこで、

もし社員が金融機関などから

給料の差押えを受けたときにも、

会社は社員に対する

貸金で相殺して、

回収をはかることができるか、

ということが問題となります。

 

 

すなわち、

もし会社が社員の給料から

相殺して貸金の返済を

受けてしまうと、

差押をした債権者は、

せっかく差押をしても、

貸したお金を回収できない

ことになってしまう。

 

 

この場合、

会社の相殺が優先するのか、

それとも、

債権者の差押えが優先するのか、

という問題です。

この点、

会社と社員との間の

貸金契約書に、

給料から天引きで返済する

という記載が

定められている場合。

 

 

そしてさらに、

給料から貸金の返済金を

控除することができる

とする労使協定がある場合。

 

 

こうした場合には、

会社の相殺が優先し、

会社は社員の給料から

天引きして貸金の回収を

はかることができます。

 

 

しかし、

こうした要件を

満たしていない場合には、

金融機関の行う

差し押さえが優先する、

ということになるわけです。

 

 

 

 

 

給料の差押を受ける社員の事情

さて、

社員が自分が労働した

対価である、

会社からもらう給料を

差し押さえられる、

というのは、

よくよくの事情が

あってのことです。

 

 

一番多いパターンは、

やはり金融機関から

借金をしていて、

その借金を約束通りに

返済できなくなった

場合です。

 

 

この場合、

金融機関に職場を

知られていれば、

金融機関は給料を

差し押さえて、

貸金の回収を

はかろうとします。

 

 

それ以外には、

たとえば離婚後に

支払うべき子どもの養育費

の支払いを怠っていた

ような場合です。

 

 

これも、

たとえば離婚協議書を

公正証書の形で

作っていれば、

給料の差押えという

強制執行が可能と

なるのです。

 

 

いずれにしても、

自社の社員が給料の

差押えを受けた場合、

会社としてはどう対処

すべきでしょうか?

 

 

まず、

個人的な金銭トラブルに

陥っているということは、

あくまで私生活上の事がらです。

 

 

ですから、

会社としては、

給料の差押えを受けた

という事実だけで、

その社員に懲戒処分を

行うことはできません。

 

 

とは言え、

給料の差し押さえを

受けるということは、

やはり私生活で何らかの

金銭トラブルを抱えている

ということです。

 

 

もしこれを放置すると、

会社のお金に手をつけるなど、

社員が犯罪行為に走る

可能性があります。

 

 

そうでなくても、

たとえば借金苦で自殺をする

などといった可能性もあるかも

知れません。

 

 

そこで、

会社としては、

やはりこれを放置

するのではなく、

その社員からきちんと

事情を聞いた方が

よいでしょう。

 

 

場合によっては、

弁護士に依頼して、

債務整理(破産など)

行った方がよいケースも

あります。

 

 

そんなわけで、

やはり自社の社員の給料が

差し押さえられた、

という事態が発生した場合には、

独自の判断でことを

進めることは危険です。

 

 

給料を誰に支払うべきか、

貸付金の相殺ができるか、

社員の金銭トラブルをどうするか、

これらを含めて、

やはり専門家である弁護士に

ご相談された方がよいと

考えます。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

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最新動画 

今回は、社員とのトラブル予防、雇用契約書を作った方がよい3つの理由、というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中は裁判所で仕事、午後は事務所に戻って仕事。
夜は、ブログセミナーの関東にいる仲間と、横浜中華街で忘年会でした。
料理もお酒もおいしく、楽しく盛り上がりました。

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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