自社の敷地内に何者かが車両を放置。
大変迷惑しているので
この放置車両を公道にレッカー移動。
こういうことは
「自力救済(じりききゅうさい)」と言って
法的にはNGです。
(今日の「棒人間」 勝手にレッカー移動??)
<毎日更新1136日目>
とにかく邪魔で仕方がないので、当方でレッカー移動してしまうことはできないんですか??
A社長の会社の敷地内には
駐車場があるのですが
この駐車場に2週間くらい前から
持ち主不明の放置車両があるのです。
持ち主がわからないので
「どかしてくれ」と連絡
することもできません。
仕方がないので
A社長は警察に連絡したのです
警察は
と
あまり真剣に取り合ってくれません。
公道であればともかく
私有地ということになると
警察は急に尻込みします。
これは
警察の「民事不介入の原則」といって
個人間の紛争には
警察は必要以上に介入すべきではない
という考え方が背景にあります。
困り果てたA社長
それなら
自力で邪魔な放置車両を
レッカー移動させてしまおう
と考えています。
このA社長の行為は
法律上問題はないのでしょうか?
結論から言いますと
いかに自社の敷地内に置かれた
放置車両と言えども
勝手にレッカー移動する
ようなことはしてはいけません。
このような行為は
「自力救済(じりききゅうさい)」といって
法律上厳しく禁止されています。
まず
レッカー移動をして
もしこの車に傷などを
つけてしまった場合には
所有者に対して民事上の
損害賠償義務を負うことになります。
それだけではなく
許可なく勝手に別の場所に
レッカー移動することは
刑法上の器物損壊罪に
当たる可能性もあります。
さらに
自社敷地からレッカー移動して
公道にこの車両を放置した場合
往来妨害罪というこれまた刑法上の
犯罪に当たる可能性があります。
実際
公道上に車両を放置することは
大変に危険な行為です。
万が一
その放置車両が原因で
事故が起きたりして
人が亡くなったり怪我を
したという場合には
往来妨害致死傷罪という
重い犯罪になってしまいます。
そんなわけで
自社敷地内に車両を放置
されたからといって
この車両を勝手にレッカー移動
する行為は法的にNGなのです。
それならどうすれば
良いのかと言えば
そこはやはり法律が定める
正規の手続きを踏まざるを得ません。
まず第一は
この放置車両の所有者を
調べることから始まります。
この点
この自動車にナンバープレートが
付けられている場合には
このナンバーから自動車の
所有者を調査することができます。
具体的には
お近くの運輸支局または
自動車検査登録事務所の窓口に対して
自動車の登録事項等の証明書の交付を
請求することができます。
私有地における放置車両の
所有者や使用者を確認したい場合は
下記のとおり
「車両が放置されている場所」「見取り図」
「放置期間」「放置車両の写真」
などが必要となります。
このような手続きで
自動車の持ち主が
明らかになったら
この持ち主に連絡して
自動車の撤去を求める
ことになります。
その上で
撤去してもらえない場合には、
法的な手続きが必要となってきます。
具体的には
この自動車の持ち主に対して
土地の所有権や賃借権という権利
に基づく妨害排除請求の裁判を
起こすことになります。
そして
自動車の撤去を命じる判決を得たら
さらに裁判所に強制執行の申し立て
を行うことになります。
また
放置車両の所有者に対して
あわせて損害賠償の請求も
行うことになります。
このように
悪質な放置車両に対しては
やはり法律上の正攻法で
行かざるを得ません。
そうした手続きによらずに
勝手に放置車両を
レッカー移動したりする行為は
上記のとおり法的にNGです。
自力救済は
後々のトラブルの元になり
「裁判沙汰」を招く可能性も
大いにあります。
「放置車両」は非常に腹立たしいですが
そこは冷静な対処が必要となります。
それでは
また。
最新動画
今回は、「【不動産を競売で取得】中にいる人に退去してもらう方法」というテーマでお話ししています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。