「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【取締役会設置会社】取締役会を廃止したい場合

会社法関係

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取締役会を設置している会社で

3人いる取締役の1人が

辞めることになった。

 

 

欠員が生じた取締役を補充できない場合

取締役会の廃止の手続きを

行う必要が出てきます。

 

 

(今日の「棒人間」 「廃止」も楽ではない??)

 

<毎日更新1148日目>

取締役会を廃止したい

先日

建設業の会社を営むA社長から

ご相談を受けました。

実は、うちの会社には代表取締役である私を含めて、3人の取締役がいるのですが、そのうちの1人が高齢のため、この度辞めることになったのです。

なるほど、取締役の1人の方が退任される、ということですね。

そうなんです。

それで、空席になった取締役は、誰か別の方を補充されるのですか?

いや、特に新しい取締役の候補もいないし、私ともう1人の2人のままでよいかなと。

なるほど。ただ、A社長の会社は、「取締役会設置会社」でしたよね。

そうなんです。

取締役会設置会社では、会社法で取締役が3人以上必要とされているのです。もし取締役を補充しないということであれば、取締役会を廃止する必要が出てきます。

なるほど。取締役会を廃止するためには、どんな手続きが必要なのでしょうか?

取締役会は、会社の定款に記載されていますから、取締役会を廃止するためには、定款の変更が必要となります。

なるほど、定款の変更ですね。

あと、A社長の会社では、株式の譲渡には取締役会の承認が必要でしたよね。

はい、そうです。

そうであれば、その部分も、定款を変更して、取締役の承認が必要という部分を、株主総会の承認が必要、というように変更する必要が出てきますね。

 

 

 

「取締役会設置会社」とは?

株式会社は「取締役会」というものを

設置することができます。

 

 

いわゆる公開会社は必ず取締役会を

設置しなければならない

とされていますが

 

 

非公開会社については

取締役会を設置するかどうかは自由

ということになっています。

 

 

そして

この取締役会を設置している会社のことを

「取締役会設置会社」と言います。

 

 

取締役会の役割としては

まず、会社の業務執行の

決定を行う機関です。

 

 

取締役会設置会社では

会社の社長

すなわち代表取締役は

 

 

取締役会のメンバーである

取締役の中から選任されます。

 

 

そして

取締役会のメンバーである各取締役は

相互に他の取締役の業務執行を

監督する義務があります。

 

 

要するに

会社に「取締役会」という会議体を設け

そこで会社の業務執行の決定を行うことで

 

 

特定の取締役(特に社長・代表取締役)の

独断専行によって会社経営が

なされることを予防する

 

 

という趣旨があります。

 

 

ですから

「取締役会設置会社」というのは

 

 

大企業か

中小企業でもある程度の規模の会社を

想定したシステムと言えるでしょう。

 

 

この点

「取締役会設置会社」においては

 

 

会社の取締役は必ず3人以上

いなければならない

とされています。

 

 

というのは

取締役会というのは

あくまで会議体ですから

 

 

最終的には多数決によって

意思決定をしなければなりません。

 

 

その場合

少なくとも3人以上の

取締役がいないと

 

 

多数決によって意思決定を

することができないからです。

 

 

そこで

冒頭のA社長の会社のように

 

 

もともと3人いた取締役の

うちの1人が辞めた場合

 

 

3人以上となるように

新たに別の取締役を選任して

人数を補充する必要が出てきます。

 

 

 

 

 

「取締役会」を廃止するには?

ただ中小零細企業の中には

A社長の会社のように

 

 

あえて新たに取締役を補充して

取締役会設置会社の体裁を

維持する必要がない

 

 

という場合もあるでしょう。

 

 

その場合には

「取締役会」を廃止する

ということになります。

 

 

これは

会社法では

 

 

取締役会設置会社から

取締役会非設置会社に移行する

ということを意味します。

 

 

それでは

会社の取締役会を廃止して

 

 

取締役会非設置会社に

移行するためには

 

 

どのような手続きが

必要となるでしょうか?

 

 

この点

そもそも取締役会を設置する旨は

 

 

定款に記載する必要が

あるとされています。

 

 

ですから

取締役会を廃止して

取締役会非設置会社に移行するためには

 

 

この定款の規定を

変更する必要があります。

 

 

さらに

上記のA社長の会社と同様に

 

 

多くの中小零細企業では

株式の譲渡制限を設けています。

 

 

そして

取締役会設置会社の場合は

株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する

と定められています。

 

 

この株式譲渡制限も

実は定款に定められていることです。

 

 

しかし

取締役会を廃止してしまうと

 

 

株式の譲渡について取締役会の

承認を得ることが

できなくなってしまいます。

 

 

そこで

定款の上記の記載を変更し

株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する

と定める必要が出てきます。

 

 

なお

いずれにしても

定款を変更するには

 

 

株主総会の特別決議を行う

必要があるとされています。

 

 

株主総会の特別決議というのは

通常の株主総会決議とは異なり

 

 

議決権の過半数を有する株主が出席し

出席した株主の議決権の3分の2以上の

賛成を必要とする決議を言います。

 

 

定款変更という

会社にとって重要な決議ですので

 

 

それなりに決議の要件が

厳しくなっているということです。

 

 

いずれにしても

取締役会設置会社で

 

 

3人しかいない取締役の1人が

辞めてしまった場合には

 

 

場合によっては上記の取締役会自体の

廃止を検討する必要があります。

 

 

そして

その場合には

 

 

定款変更というある程度

慎重な手続きが必要となる

という点は注意が必要です。

 

 

このように

株式会社の制度というものは

 

 

時に中小零細企業にとって

難しい手続きを要求される

場合があり得ます。

 

 

判断に困った場合には

ぜひ弁護士に相談する

ようにして下さい。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

最新動画 

今回は、「【契約後に値上げ?】契約締結後に、金額変更はできるか?」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、朝3.5キロほど早朝ラン。午前中は自宅で仕事、新規のお客様の法律相談などでした。
午後は事務所で仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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