「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【同一労働・同一賃金】仕事の内容はまったく変わらないのに???

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正社員とパート社員、

働く時間や仕事の内容はほとんど

変わらないのに、

待遇は全然違う。

 

 

こういうことが割とよくあります。

 

 

正社員とパート、

という形式だけに基づいて、

不合理な差別待遇をしていると、

問題になりますよ!

というお話です。

 

 

 

(仕事の内容が変わらない「水牛」の待遇は?)

 

<毎日更新687日目>

正社員とパート、仕事の内容は変わらないのに、待遇が・・・

世の中には、

パート労働なのに、

実質的に正社員の人と仕事内容が

変わらない、

という場合があります。

 

 

さすがに、

これは私の顧問先の経営者の方

ではありませんが、

ある会社の内実をもれ聞いた

ことがあります。

 

 

その会社では、

経理の関係で、

正社員を1名、

パート社員を1名雇って

いるそうです。

 

 

実は、

このパートさんがベテランで、

もう8年もこの会社で経理の仕事を

しています。

 

 

それに対して、

正社員の方は定着率が悪く、

2〜3回は変わっているとのこと。

 

 

当然、

パートさんの方が仕事ができるので、

このパートさんが新しく入ってくる

新入社員の教育も含めて担当

してきたとのことです。

 

 

そして、

実際にこのパートさんは、

ほとんどフルタイムで働いていて、

正社員と労働時間や仕事内容が

ほとんど変わらないとのこと。

 

 

待遇面では、

正社員はきちんと基本給や昇給、

ボーナスも手当も割としっかりしている。

 

 

ところが、

パートさんは相変わらず時給で、

昇給もほとんどなく、

手当もなくボーナスもわずかしか

もらえません。

 

 

これを聞いて、

 同一労働、同一賃金

と頭に浮かんだ方は、

センスあり!ですね。

 

 

実際に、

この会社は60代の社長さんが一代で

築き上げた会社ですが、

この会社の後継者候補の息子さんが、

こうした社員の状況を大変心配

しています。

 

 

そこで、

お父さんである社長さんに対して、

さすがにこんな働かせ方はマズい!

と進言しているようですが、

社長は、

 今までこのやり方でやってきているのだから、これでいいのだ!

と言って、

ガンとして息子さんの進言を

受け入れません。

 

 

これは割とよくあるパターンで、

社長であるお父さんは、

自分の経営の才覚や経験にかなりの

自信を持っています。

 

 

ですから、

コンプライアンスとかなんとか言っても、

なかなか聞き入れてくれません。

 

 

 これまでこれでうまく行ってたんだから、変える必要なんかない!

という発想が強いのでしょうね。

 

 

こうした場合、

1つのショック療法ではありますが、

法律に違反した状態を続けると、

どんなリスクが待っているかを、

具体的にお見せすることも

時に効果があります。

 

 

 

 

 

同一労働・同一賃金、これに違反すると?

パートなどの非正規労働は、

正社員のような正規労働と比較して、

賃金水準が低い場合が

ほとんどでしょう。

 

 

ところが、

近年では、

それまで正社員が行ってきた仕事を、

非正規の社員に行わせるという状況が

広がってきました。

 

 

そうなると、

非正規でも、

仕事内容において、

正社員と変わらない働き方をしている

人であっても、

正規社員との待遇に格差がある、

という状況になり、

これが社会問題になりました。

 

 

そこで、数年前に、

「働き方改革」の一環として、

正規社員と非正規社員の不合理な待遇の

格差を正す、という目的で導入されたのが、

「同一労働・同一賃金の原則」

というものです。

 

 

この「同一労働・同一賃金の原則」自体は、

2021年4月より、

それまで適用が猶予されていた中小企業にも

適用が拡大されていますので、

注意が必要です。

 

 

具体的には、

パートタイム労働法という法律の

第8条というところで、

事業主は,その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給,賞与その他の待遇のそれぞれについて,当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において

当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度・・・,当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち,当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して,不合理と認められる相違を設けてはならない。

と規定されています。

 

 

そこで、

冒頭の事例のように、

正社員と労働時間や仕事内容が

ほとんど変わらないにもかかわらず、

基本給や昇給、ボーナス、

手当などで格差を設けることは、

この原則に違反する可能性が高いでしょう。

 

 

具体的に、

どんな場合が「不合理な差別待遇」

になるかどうかは、

ケースバイケースです。

 

 

この点,厚生労働省では,

「同一労働同一賃金ガイドライン」

というものを公表しています。

 

 

この中では,

典型的な事例として整理できるものについて,

その待遇差が問題となる事例,

問題とならない事例という形で

具体例を示していますので,

興味のある方はご参照下さい。

⏬⏬⏬

厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

 

 

さて、それでは、

会社がこの「同一労働同一賃金の原則」

に違反して、正規社員と非正規社員の

待遇などに「不合理な格差」

を設けた場合は、

どうなるのでしょうか?

 

 

この点、

上記のパートタイム労働法の8条

に違反する、不合理な差別待遇を

定めた労働条件自体が、

無効になるとされています。

 

 

ただ、

非正規社員のその差別的な労働条件が

無効にされたからといって、

その非正規社員の待遇が、

正社員のそれと同一になる、

というわけではありません。

 

 

この点、

非正規社員の差別的な待遇を定めた

労働条件が違法であり、

こうした違法な待遇を定めた

会社に対して、不法行為に基づく

損害賠償請求が認められる、

とされています。

 

 

ですから、

「同一労働同一賃金の原則」違反した

差別的な待遇を放置していると、

非正規の社員から損害賠償請求をされて、

場合によっては「裁判沙汰」に

発展する危険性もあります。

 

 

私の弁護士としての使命は、

中小零細企業のトラブルを

 「裁判しないで解決」すること

 

「裁判沙汰」を避けるためにも、

「同一労働・同一賃金の原則」に違反した

状態になっていないかどうか、

一度御社の社員の待遇を見直してみる

ことが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 「同一労働・同一賃金の原則」に違反していると、「裁判沙汰」になる危険がある!

ということです。

 

 

このブログで何度もお伝えして

いるように、

一度「裁判沙汰」になると、

解決までに相当の時間やお金やエネルギーを

費やさなければならなくなります。

 

 

「トラブル」は「予防」することが

最もコストがかからないのです。

 

 

特に、最近は昔と違い、

世間が会社経営のコンプライアンス

というものにうるさくなっています。

 

 

また、

働く人の権利意識も高くなっていて、

彼らもよく情報を集めています。

 

 

それに伴い、

裁判所の労働事件の件数も

過去最高を更新しています。

 

 

「手遅れ」になる前の

「予防」が何より大切ですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、Noと言える借主、貸主が家賃を一方的に値上げすることはできません、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

 昨日は、午前中に竹富島から石垣島に戻り、しばらく島内観光。
公設市場の食堂で泡盛と島らっきょうを楽しんでいると、周囲から大歓声が。日本がWBCの準決勝でメキシコに逆転勝ちした瞬間だったようです。
その後、石垣空港から午後の便で東京に戻りました。

https://teiichirou.com/206/

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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