「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【労基署は教えてくれない?】解雇予告手当を払えば解雇できる、は間違いです!

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「解雇予告手当」を1ヶ月分支払えば、

社員を解雇できる、

という誤解がいまだに多くあります。

 

 

「解雇予告手当」の問題は、

あくまで解雇が法的に有効

であることが大前提です。

 

 

無効な解雇について、

いくら「解雇予告手当」を支払っても、

解雇は有効になりませんので、

注意が必要です。

 

 

 

(今日の「棒人間」 それは間違いです!)

 

<毎日更新752日目>

労基署が教えてくれた通りにしたのに・・・?

建設会社を営むA社長。

 

 

最近、

ある社員を解雇したいと

考えています。

 

 

この社員は、

とにかく勤務態度が悪い。

 

 

仕事のやる気がないし、

先輩社員にも悪態はつく。

 

 

同僚の間でも、

「問題児」扱いされています。

 

 

彼1人がいるだけで、

会社の雰囲気がとても悪く、

会社の生産性にも影響して

しまいます。

 

 

そこで、

やむなく社長はこの社員を

解雇することに決めました。

 

 

ただ、

意外にこの社長は実直で

真面目な人でした。

 

解雇すると言っても、法律に違反しちゃいかんから、やっぱりきちんと労基署に相談に行こう。

そこで、

最寄りの労働基準監督署に

相談に行った社長は、

労基署の職員から次のように

言われました。

 

 

社員を解雇する場合には、労働基準法20条に基づいて、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。
予告しないで解雇するときは、その社員の30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
これを、「解雇予告手当」と言います。

なるほど、なるほど!
やはり労基署に相談に行って良かった。
早い方がいいので、1ヶ月分の解雇予告手当を支払って、さっさと解雇しよう。

そこで、

社長は、

解雇予告手当をこの社員に

支払った上で、

この社員を解雇しました。

 

 

ところが、

2ヶ月後、

社長の元に、

裁判所から封書が届きました。

 

 

おそるおそる中を開けてみると、

中には「訴状」という書面と、

「口頭弁論期日呼び出し状」

という書類が入っていました。

 

 

どうやら、

解雇した社員から、

「不当解雇」ということで

裁判を起こされたようでした。

 

 

裁判が始まってみると、

どうやら、社長が行った解雇は

法的に無効らしい、

という流れになってきました。

 

 

ちゃんと、労基署にまで足を運んで、アドバイスを受けた上で解雇したのに、なぜ解雇が無効なのか!💢

 

真面目な社長の怒りは

収まりませんでしたが、

結局この社員とは、

半年間裁判をした上、

数百万円の解決金をこの社員に

支払って和解しました。

 

 

いったいなぜ、

こんなことが起きるのでしょうか?

 

 

 

 

「解雇予告手当」とは?

上記のとおり、

労働基準法によって、

会社が社員を解雇

しようとする場合には、

少なくとも30日前に

その社員に予告

しなければならない、

とされています。

 

 

これは、

解雇というのは、

その社員のいわば生活手段を

奪うものであり、

社員に与える影響が

大きいので、

原則として即時の解雇は

認められず、

しかるべき時間的余裕を置いて

予告しなければならない、

としたものです。

 

 

そして、

もし会社がこの予告をしないで

解雇する場合には、

代わりに30日分以上の

平均賃金を支払わなければならない、

と定められており、

これがいわゆる

 

 解雇予告手当

と呼ばれるものです。

 

 

ここで、

多くの中小零細企業の経営者が

誤解しているポイントがあります。

 

 

それは、

上記の社長と同様に、

 解雇予告手当を1ヶ月分支払えば、社員を有効に解雇できる

という誤解です。

 

 

 

というのは、

解雇予告手当というのは、

あくまで会社が行う「解雇」が

法的に有効であることが

大前提になっているからです。

 

 

 

 

 

 

前提として、解雇が法的に「有効」でなければならない

 

この点、

そもそも日本の法律では、

社員の解雇を厳しく

制限しています。

 

 

すなわち、

労働契約法16条では

 

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

と定められています。

 

 

すなわち、

社員を解雇するためには、

 

①解雇の客観的合理的理由
②解雇の社会通念上の相当性 

という2つの要件が必要で、

この要件を満たしていない解雇は、

法的に「無効」であると

されるわけです。

 

 

解雇が法的に要件を

満たしていなくて「無効」

である場合は、

いくら解雇予告手当を支払っても、

有効な解雇とはならないので

注意が必要です。

 

 

それでは、

記で社長が相談に行った

労基署の職員は、

なぜそのことを社長に

教えてくれなかったのか?

 

 

それは、

労基署が「お役所」だからです。

 

 

つまり、

労基署は、

解雇を行う際に必要となる手続き

である解雇予告手当等の説明は

してくれます。

 

 

しかし、

その大前提としての、

具体的にその解雇が法的に有効

であるかどうかを判断できる

機関ではありません。

 

 

ですから、

やはりある社員を解雇しよう

というときに、

その解雇が法的に有効か

どうかという問題は、

弁護士や社労士という専門家に

事前にきちんと相談すべきです。

 

 

そうしないで、

社長の勝手な判断で社員を

「解雇」してしまうと、

上記の例のように、

後々「不当解雇」で裁判を

起こされることになりかねません。

 

 

私の弁護士としての使命は、

中小零細企業のトラブルを

 「裁判しないで解決」すること

 

 

「裁判沙汰」を避けるためにも、

やはり社員を解雇するかどうか

という重要な問題は、

専門家にきちんと相談することを

オススメします。

 

 

法律相談

 

 

 

 

 

というわけで、

今日のポイントは

 

 解雇予告手当1ヶ月分支払えば社員を解雇できる、というのは大きな誤解!

ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、何度注意しても直らない社員、社員の能力不足を理由とする解雇はできるか、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、久しぶりに朝10キロのランニング。
午前中は自宅で軽く仕事をしつつ、その後買い物へ。
お昼頃事務所に行って、午後はオンライン会議など。
夜は顧問先の法律相談でした。

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ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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