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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【再発率の高いうつ病】社員の職場復帰のタイミングをどう考えるか?

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今、

社員が職場でうつ病にかかり、

休職を余儀なくされるケースが

少なくありません。

 

 

休職していた社員から、

復職の希望があった場合、

会社としてはどのように

判断すべきなのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 社員の復職希望を鵜呑みにしてはいけない??)

 

<毎日更新794日目>

うつ病で休職中の社員から、「復職したい」との申し出が

今や、

うつ病患者の国内総数は

500万人以上、

国民の約4%がうつ病に

かかっているという時代です。

 

 

しかも、

うつ病患者は、

働き盛りの40代、

50代がもっとも多いとか。

 

 

こうなると、

うつ病はもはや、

誰がいつかかってもおかしくない

病気かも知れませんね。

 

 

うつ病になって、

休職していた社員から、

 そろそろ復職して働きたい

という希望が出てきた場合、

会社としてどのように

対処すべきでしょうか?

 

 

会社としては、

復職は喜ばしいことかも

知れませんが、

本当に復職させて大丈夫なのか、

心配になるところです。

 

 

というのは、

うつ病というのは、

実は再発率がとても高い

メンタル疾患です。

 

 

下手に復職をさせて、

またすぐに再発して休職、

ということでは、

会社としても困るわけです。

 

 

ですから、

会社としては、

なるべくうつ病が完全に治った

段階で復職してほしい、

と考えます。

 

 

他方で、

社員は、

早く復職するために、

自分は回復した、

完治したということを

アピールしがちです。

 

 

なぜなら、

いつまでも休んでいては、

職場の同僚に申し訳ないし、

自分の将来のキャリアも

心配だからです。

 

 

そういう真面目な性格の人が、

なおさらうつ病にかかりやすい、

とも言えます。

 

 

しかし、

会社がこういう社員の

希望を鵜呑みにして、

復職させるのは危険です。

 

 

無理をして復職しても、

再発する可能性が高く、

再発を繰り返せば繰り返すほど、

復帰が困難になるという

特色があるからです。

 

 

ですから、

まず産業医なりなんなり、

専門の医師の診断を

しっかり受けさせる、

ということが第一です。

 

 

ちなみに、

うつ病の患者は、

早く復職したいがために、

回復をアピールするといった

傾向があるため、

精神科医は患者の「回復した」

との主張はほぼ信用しない

そうですね。

 

 

 

社員の「回復度合い」をどう判定するか?

この点、

精神科医は、

うつ病患者を診断する際に、

どれだけ良くなっても、

「完治」という診断はせず、

「寛解(かんかい)」という診断を

することが多いようです。

 

 

「寛解」というのは、

完治はしていないけれども、

なんとかうつ病の症状が

収まっている状態。

 

 

やはりうつ病というのは、

再発率が高いので、

精神科医としても、

そう簡単に「完治」の診断は

出せないようです。

 

 

そうなると、

「完治」の診断が出ない限り、

会社が復職させない

ということになると、

その社員は半永久的に

復職ができなくなってしまいます。

 

 

これも妥当な処置ではありません。

 

 

うつ病を発症する以前の状態と

まったく同じ状態にまで

回復しなくても、

軽快のレベルでも復職は可能、

とされることがあります。

 

 

この点についての基準を

示した最高裁の判決があります。

 

 

もしその社員との労働契約を

締結する際に、

 

職種や業務内容を特定せずに契約を結んだ場合

 

この場合には、

以前の業務ができなかった

としても、社員が実現可能性のある

他の業務を行うことを希望

している場合には、それを考慮

しなければならないとされています。

 

 

具体的には、

建設業の現場監督を

していた社員が、病気を理由に

事務作業を申し出たような場合です。

 

 

このような場合には、

社員の復職の申し出を

拒否することは難しい

とされています。

 

 

他方で、

労働契約上で、

職種を限定して採用

された社員だった場合は

どうでしょうか?

 

 

この場合には、

労働契約上で期待された

労務の提供ができるかどうか、

が問題となってきます。

 

 

たとえば、

営業職として採用された社員の場合、

人とのコミュニケーションが

まだできないという状態であれば、

回復したとは言い難い、

ということになってきます。

 

 

このように、

法律的に見ると、

その社員との間の労働契約の

内容との関係で、

「回復」の程度も判断される、

ということになってきます。

 

 

 

 

 

 

うつ病にまつわる社員とのトラブルを予防するためには?

今の時代、

いつ誰がうつ病になっても

おかしくはありません。

 

 

ですから、

会社としても、

もしかしたら自社の社員が

うつ病にかかる可能性がある、

という前提で準備をしておく

必要があるでしょう。

 

 

まず、

当たり前ですが、

社員を採用するときには、

きちんとした「労働契約書」を

作ることです。

 

 

そして、

その社員の職務内容をきちんと

定めておくこと。

 

 

これは、

上記のうつ病からの「回復」の

法的な判断にあたって、

重要になってきます。

 

 

さらに、

就業規則で、

社員がうつ病などの病気で

働けなくなった場合の、

「休職」に関する規定を

きちんと定めておくことです。

 

 

また、

そもそも社員がうつ病に

なった原因として、

職場環境に問題がある

というケースも少なく

ありません。

 

 

この点、

会社は社員の生命・身体の安全に

配慮すべく、

職場環境を整えなければならないという、

安全配慮義務を負っています。

 

 

社内でうつ病の社員が

出たにもかかわらず、

なんらの対策を講じないでいると、

また同じようにうつ病に

かかる社員が出てくる

可能性があります。

 

 

そうなると、

会社は安全配慮義務違反の責任を

問われかねません。

 

 

職場環境については、

特に社内でパワハラや

セクハラの有無なども、

きちんと調査し、

対策を講じるべきでしょう。

 

 

また、

定期的に社員の健康診断や

メンタルヘルスに関する

研修を行う、

ということも一定の効果が

期待できます。

 

 

言うまでもないことですが、

会社というのは社員の方が

いてこそ成り立つ部分が

あります。

 

 

もし大切な社員が、

うつ病で長期間の休職や退職を

余儀なくされると、

会社の損失は計り知れません。

 

 

そういった観点からも、

会社は社員のうつ病などの

メンタル疾患を防ぐための

対策が求められますね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、裁判で相手を謝らせる、すなわち謝罪を強制することができるか、こんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 昨日は、息子が風邪をひいて熱があったので、自宅勤務でした。
午前中に病院に連れて行きましたが、途中で熱は下がって、家の中で元気に遊び回っていました。
昨日から、threadsが始まりましたね。一応アカウントを作ってみました。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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