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渋谷の弁護士吉田悌一郎

「社長」の交通事故で会社の売上が減少・「会社」の損害を賠償請求できるか?

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社長が交通事故に遭い

長期の入院を余儀なくされ

その結果会社の売上は激減。

 

 

交通事故の加害者に対して

会社の売上減少という損害の賠償を

求めることができるのでしょうか?

 

(今日の「棒人間」 入院中に売上が減ってしまう??)

 

<毎日更新1305日目>

「社長」の交通事故で、会社の売上が減少

事故に遭ったせいで3週間も入院するハメになって、その間営業できないからうちの会社の売上はガタ落ち。会社の損害もオタクの保険で賠償してくれ。

いやいや社長、今回の事故の被害者はあくまで社長個人です。会社は法律上「別人格」ですので、会社の損害までうちで出せませんよ。

いやしかし、うちみたいな小さな会社は、社長の私が動けないと会社の売上に直結するんだ、そんな杓子定規な対応、ヒドイじゃないか、訴えてやる!!

車を日常的に使って入れば

「交通事故」はつきものです。

 

 

「交通事故」で一番多いパターンは

なんといっても「追突」事故

だそうですね。

 

 

建設会社を営む冒頭のA社長も

日常的に仕事で車を使います。

 

 

トラックで現場にも行きますし

営業にも車を使います。

 

 

先日

A社長の運転する車が赤信号で

停車していたところ

 

 

後ろから走ってきた車に追突され

A社長はなんと3週間近い入院を

要するゲガを負わされました。

 

 

事故の原因は

加害者が運転中にスマホを見ていて

 

 

A社長の車が前方で停車している

ことに気づくのが遅れた

という最近よくあるパターンです。

 

 

事故の過失割合は100%加害者ということで

A社長に事故についての落ち度はありません。

 

 

A社長の会社は小規模な会社で

A社長が日々動いて営業に回らないと

売り上げが上がりません。

 

 

今回の事故で3週間も入院を

余儀なくされたA社長の

会社の売上は激減。

 

 

そこで

加害者の保険会社に対して

 

 

こうした会社の売り上げ減少分を

「損害」として賠償請求したところ

 

 

冒頭のやりとりのように

保険会社の担当者に冷たくあしらわれた

というわけです。

 

 

A社長の怒りはおさまりません。

 

 

 

 

あくまで「会社」と「社長個人」は別人格??

ここで

交通事故を起こした加害者は

 

 

被害者に対して

民事上、不法行為に基づく

損害賠償の義務を負います。

 

 

具体的には

被害者の入院費や治療費

休業損害、慰謝料などです。

 

 

ただし

加害者が賠償義務を負うのは

 

 

あくまで事故に遭った被害者本人

に発生した損害に限られます。

 

 

そして

 

 

交通事故で直接被害に遭った社長個人と

社長が経営する会社とは

法律上は「別人格」として扱われます。

 

 

ですから

極めて形式的に言えば

 

 

今回の事故であくまで被害者は

社長個人であって

 

 

社長が経営する会社は被害者ではない

ということになります。

 

 

そこで

会社の売上の減少という会社に

発生した損害についてまで

 

 

交通事故の加害者に賠償請求できるか

という問題が出てきます。

 

 

この点は

やはり原則として

 

 

会社の損害を交通事故の加害者に

対して賠償請求することはできません。

 

 

これは

結局法律上は別人格である

会社の損害についてまで

 

 

交通事故の加害者にすべて

賠償させるとなると

 

 

賠償の範囲が広くなりすぎ

場合によっては賠償額は

巨額に上る可能性があります。

 

 

いくら交通事故の

加害者であるからといって

 

 

そこまで莫大な賠償金を

支払わせるのは

公平ではないし

 

 

リスクが予測できなく

なる危険があるからです。

 

 

リスクが予測できない社会は

自由な経済活動を阻害

することにもなりかねません。

 

 

 

とは言え

この結論

 

 

実際に交通事故にあった

A社長からしてみれば

到底納得できないでしょう。

 

 

社長自らが動けなければ

会社の売り上げは激減してしまう

そんな会社は日本にゴマンとあります。

 

 

事故にさえ遭わなければ

A社長の会社の売上減少はなかった。

 

 

まして

今回の事故では加害者の過失が100%

 

 

なんの落ち度もないA社長にとって

あまりにも理不尽な結果となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

例外的に「会社」の損害の賠償請求ができる場合

 

実は

このA社長のような事例は

 

 

過去にもたくさんあり

裁判例も出ています。

 

 

そして

こうしたケースで

 

 

どんな場合も会社は一切

加害者に請求できないのか

 

 

というと

例外も存在してます。

 

 

これについては

最高裁判所の判例があります。

 

 

まず

会社が「法人」とは言っても

非常に小規模で

 

 

俗にいう個人会社であって

その実権が社長個人に

集中している場合。

 

 

しかも

その社長は

 

 

会社の機関として代わりの

きかない存在であり

 

 

経済的に見て社長個人と会社が

「一体をなす関係」にある

ような場合です。

 

 

このような場合には

例外的に

 

 

売上減少という会社の損害を

交通事故の加害者に対して賠償請求

できると判断しているものがあります。

 

 

冒頭のA社長のケースも

まさにこれに当てはまると考えられますので

その場合には

 

 

加害者(すなわち保険会社)に対して

会社が被った損害を賠償請求できる

という結論になるわけです。

 

 

それにしても

このような会社では

交通事故に限らず

 

 

社長が長期間の入院などを余儀なくされると

会社の売上や財務状況に直結して

しまうというリスクが常にあります。

 

 

こうした会社では

やはり社長自身の不慮の事故などに

備えた日常の対策も重要ですよね。

 

 

たとえば

所得保障保険に入っておくとか

 

 

きちんと幹部社員を育成して

自分がいなくても会社がある程度回る状況を

作っておくなどの必要はあるでしょう。

 

 

なかなかいっぺんには

難しいでしょうが

 

 

こうしたリスクもあることを念頭に

少しずつでも準備をされて

おくことをお勧めします。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、「住宅建築でよくある追加工事のトラブル・「裁判沙汰」を未然に防ぐ方法」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

 昨日は、午前中は弁護士会で健康診断へ。相変わらず血圧が高いとのご指摘を。その後は事務所で仕事。お客様との打ち合わせが2件ほどでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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