社員から、自己都合退職なのに、離職票に「会社都合退職」
と記載してほしいと頼まれることがあります。
しかし、安易にこれに応じてしまうと、後々「不当解雇だ!」
とひっくり返されるリスクがあります。
今日は、社員の求めに応じて「会社都合退職」とすることの
リスクと、対応策についてお話します(^ ^)
(酔っ払うといつ「ひっくり返されるか?」)
<毎日更新559日目>
社員が会社を辞めるとき、その社員が雇用保険(失業手当)
を受給するために、離職票という書類が必要となります。
この離職票の記載のことで、先日私の顧問先の社長から
ご相談を受けました。
(守秘義務がありますので、ご相談内容は大幅に変えています)
こんにちは。
今日はちょっとご相談がありまして。
こんにちは。
今日はどうされましたか?
実は今回、うちの社員の1人が、実家に帰るためにうちを退職することになったのです。
なるほど、そうなんですね。
それで、その社員が退職するということで、うちでこの社員の離職票を出さなければならないのですが、この社員から離職票に書く退職理由を「自己都合退職」ではなく、「会社都合退職」にしてほしいと頼まれたのです。
なるほど。
その社員さんの都合で退職するのだけれども、離職票の記載は「会社都合退職」にしてほしいということですね。
おっしゃるとおりです。
「自己都合退職」だと、雇用保険の3ヶ月の受給制限期間がありますが、「会社都合退職」であれば、すぐに雇用保険がもらえるから、というのがその理由のようです。
なるほど、それで便宜上「会社都合退職」にしてくれと?
そういうことなんです。
まあ、私としては特に問題がなければ、この社員の希望に沿ってあげたいのですが、離職票の退職理由を「会社都合」とすることで、特に問題はないでしょうか?
う〜ん、お気持ちはわかりますが、問題がないとは言えませんね。
それは、どんな問題ですか?
あくまで「万が一」のことを言いますけど、退職理由を「会社都合退職」としていると、その社員さんから後になって、「会社から解雇された、不当解雇だ!」と主張されるというリスクがあります。
そ、そんなことあるんでしょうか?
信じられないかも知れませんが、意外にそういうことも結構起きる可能性があるんです。
それじゃあ、こういう場合はどうしたら良いのでしょうか?
社員の希望を断ると、それはそれでモメたりするのではないかと心配なのですが・・・。
そうですね。
結論的には、このようなケースでは、「会社都合退職」という形式にすることに応じることはやむを得ないと思います。
ただし、
後々の紛争を予防するために、その社員さんとの間で別途、「退職の効力を争わない」という内容の合意書を結んでおくことをお勧めします。
社員が退職する際の離職票に記載すべき「退職理由」には、
自己都合退職と、会社都合退職の2種類があります。
自己都合退職とは、
を意味します。
他方で、会社都合退職とは、
のことを言います。
社員が退職後に雇用保険(いわゆる失業手当)を受ける場合、
退職理由が「自己都合退職」だと、3ヶ月間の受給制限期間が
もうけられます。
ですから、社員にとっては、実際の退職理由がどうであれ、
離職票の退職理由は「会社都合退職」の方が有利ということになります。
なので、社員が退職するときに、実態は「自己都合退職」であったとしても、
会社に対して「会社都合退職」にしてほしいと頼む、ということは
わりとよく聞く話ではあります。
そして、中小零細企業の実際としては、社員が退職すること自体には変わりは
ないので、このような社員からの申し出を受け入れることも多いかも知れません。
しかし、離職票に安易に「会社都合退職」と記載してしまうことは、
会社側にとって思わぬリスクがあります。
それは、後からこの社員から、会社都合による退職だから、それは実質的に
解雇と同じだとして、
と主張されるリスクがあります。
そんなバカなことあるのか?と思われるかも知れません。
しかし、会社を辞める、辞めないの場面では、双方の言葉のニュアンスや
微妙な事実認識の違いから、いろいろな「食い違い」が生じることが
あります。
本当は会社を辞めたくなかったのに、会社側のこれこれの事情で
会社を辞めざるを得なくなった!
などと主張されると、
離職票に「会社都合退職」と書かれていると、やはり会社に
不利になることがあります。
また、社員がメンタル疾患を理由に会社を辞めるような場合には、ご本人が
精神的に不安定になっていることも多く、後で「不当解雇だ」と言われる
リスクはより大きくなると言えるでしょう。
それならば、どうしたら良いのでしょうか?
できるだけ辞める社員の希望をかなえてあげたい、そんな社長さんも
多いでしょう。
また、会社側にとって退職してもらいたい社員だったような場合には、
「会社都合退職」にすることを断ると、
と言われて、退職の意思をくつがえされる、というリスクも
考えられます。
そこで、このようなケースでは、会社としては「会社都合退職」という形式
には応じつつも、後々のトラブルを予防するために、この社員との間で、
という内容の合意書を結んでおくことをお勧めします。
このように、離職票の退職理由の書き方一つで、下手をすると
後々トラブルや「裁判沙汰」を招くこともあります。
私の弁護士としての使命は、中小零細企業のトラブルを
「裁判沙汰」を避けるためにも、後で退職の効力を争われないような
手当はしておく必要があるでしょう。
あと、「会社都合退職」があると、助成金を受けられなくなる
こともあるようですので、この点のリスクもよく考える必要が
あるでしょうね。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
このように、今中小零細企業の経営者としては、やはり
を心配されている方も多いでしょう。
突然ですが、
この数字、なんだかわかりますか?
これは、
と、
その内、です。
その年度の就業者数が6,713万人ですので、約54人に1人の割合で「モヤっと」している おり、その内の4人に1人は
労働者が労働者がいることになります。
中小零細企業にとって、社員から裁判や労働審判を起こされる
リスクは年々高まっています。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。