自社の社内システムが変更するので、
支払い期日が遅れます、
こんなことを言ってくる
会社があります。
しかし、
支払い期日というものは、
基本的に契約で決まっており、
一方当事者が勝手に「変更」
できるものではありません。
(東京タワーの色が「変更」?)
<毎日更新710日目>
昔私が実際に担当した案件で、
うまく行かなかった経験の話を
してみたいと思います。
ある会社の社長さんからの
ご相談だったのですが、
この会社の取引先に対する
売掛金の回収についての
お話でした。
取引先が、
売掛金をちっとも支払って
くれないという、
まぁよくあるご相談です。
ただ、
ご相談を受けた時点で、
この売掛金の支払い期日から
約1ヶ月ほど経過していました。
あの〜、今まで1ヶ月もいったい何をやっていたのですか?
それが、支払い期日当日に、この会社から次ようなお知らせのメールが入ったんです。
当社システム変更による、お支払い期日の変更についてのお知らせ
この会社の社内システムが変更するので、支払い期日が2週間ほど遅れます、という連絡を受けたのです。
そ、それで、どうされました??
仕方がないので、2週間待って催促したのですが、システムの不具合が相変わらず続いているとかで、なんだかんだと支払いが遅れていたのです。
そんなこんなで、
支払い期日から1ヶ月
経過した段階で、
売掛金の回収の案件
ということで私が正式に
入りました。
急いで内容証明郵便を送って
催促しましたが、
相変わらず支払いはなし。
そこで、
裁判を起こすことに
なったのですが、
なんとこの会社、
裁判の途中で破産を
申し立て、
倒産してしまいました。
結局、
売掛金は回収できずに
終わってしまったのです。
私にとっても、
苦い思い出の1つです。
こんなことを堂々と言う会社が、
世の中には時々あるので
驚きだったりします。
支払い期日、
というものは、
基本的に取引をする当事者の間で、
契約できちんと決まって
いるものです。
ひとたび契約で決まった
支払い期日については、
当事者が一方的に変更
することなど、
できません。
社内システムの変更や
不具合など、
ということです。
それは、
自社の都合の問題であって、
契約で決まった支払い期日を
変更する理由にはまったく
なりません。
こんな理由に惑わされては
いけません。
支払いが苦しくなった会社
というのは、
あの手この手で支払いを
伸ばす理由を考え出すものです。
それをそれを真に受けてしまうと、
上記の例のように、
どんどん相手の会社の
財務状況が悪化し、
結果的に売掛金を回収できない
リスクが大きくなってしまいます。
ですから、
やはり取引相手が支払い期日に
遅れた場合は、
言い訳に左右されずに
きちんと催促を入れる、
ということはとても重要です。
それでも支払いがないときは、
裁判手続きなどすぐに
次の手を打つこと。
債権回収は
初動がとても重要です。
社内システムの変更や不具合、
などといった言い訳に左右されず、
毅然と対応することが大切です。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
それにしても、
社内システムの変更で
支払い期日を堂々と
遅らせるって、
かなりのツワモノですね。
こういう会社は、
常習的にこうした言い訳をして
あちこちで支払いを
遅らせている可能性もあります。
騙されないように
したいものですね!
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今回は、証拠は戦略的に残すもの、重要書類は必ずコピーを取りましょう、というテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。