「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

公益通報制度は、会社のコンプライアンスを実現するためのもの

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社員の内部通報が社内でもみ消される、という事件

が時々起こります。

 

 

内部通報や公益通報は、中小零細企業にとっても他

人ごとではありません。

 

 

いやむしろ、公益通報の制度は、中小零細企業でも

コンプライアンスを実現するために、積極的に位置

づけるべきではないか?というお話です(^ ^)

 

 

(問題が起きたらすぐ通報、は正しいか?@広島のビジネスホテル)

 

 

<毎日更新582日目>

土下座して内部通報をもみ消し?

ここ最近話題となっている、例の静岡県の保育園の

園児虐待の事件。

 

 

どうも保育園内部で、保育士が行った内部通報に対

して、園長が土下座をしてそのもみ消しを図ったの

ではないか、との疑いがもたれています。

 

 

「内部通報」というのは、企業や組織内部の問題を

知った社員などから、不正行為などに関する情報を

早期に入手するもの。

 

 

それによって、もっと大きな不正が行われることを

防止したり、早期の是正を図るための制度です。

 

 

「内部通報」というのは、特に法律用語ではありません。

 

 

他方で、法律上の制度として、「公益通報」という制度があります。

 

 

簡単に言えば、「公益通報」も「内部通報」の一種

と考えて差し支えありません。

 

 

「公益通報」に関しては、公益通報者保護法という

法律で次のように定義されています。

 

 

すなわち、「公益通報」とは

①労働者等(労働者、退職から 1 年以内の退職者、役員。公務員を含む。)が、
②不正の目的でなく、
③ 役務提供先等について、
④「通報対象事実」が、
⑤ 生じ又はまさに生じようとしている旨を、
⑥「通報先」に通報すること

 

②の不正の目的でなく、という要件がありますので、

例えば会社を脅して金銭を得る目的での通報などは

除外されます。

 

 

この公益通報者保護法では、公益通報を行った社員

に対する解雇や雇い止め、労働者派遣契約の解除な

どの不利益行為を行うことは禁止されています。

 

 

⑥の通報先には、勤務先の会社だけではなく、行政機関なども含まれます。

 

 

さらに、次のような場合には、報道機関や消費者団

体などに対する通報も、この法律の保護の対象(つ

まり上記の不利益取扱禁止)となります。

 

・勤務先や行政機関に通報すると不利益を受ける可能性がある場合
・証拠の隠滅がされような場合
・公益通報するなと口止めされるような場合

 

公益通報者に対して、法律でこのような保護が与え

られているのはなぜでしょうか?

 

 

それは、やはり企業や組織の不祥事を訴える人が、

上記の保育園の事例のように不当に口止めされた

り、不利益な取り扱いを受けてしまう可能性が高

いから、と言えます。

 

 

 

公益通報者保護制度をどう捉えるか?

会社の社員は通常,会社の業務をする中で,会社内

の不祥事などを把握することができる立場にあります。

 

 

しかし,会社と社員は対等ではなく,通常会社の方が優位にあります。

 

 

そして、社員は会社から業務上の指揮命令等の統制を

受けて,会社に対する誠実義務も負っています。

 

 

そのため,社員が会社の法令違反行為を発見しても,

それを通報することによる「公益」と,「会社の利

益」は利害が相反する関係になります。

 

 

 「公益通報」 VS   会社の利益

 

そこで,公益通報者保護法では,社員が公益通報を

行なったことを理由とする解雇やその他の不利益取

り扱いも禁止することを定め,公益通報をした社員

を保護しているのです。

 

 

本来、会社内に不正があった場合、それを社員が指

摘すれば、会社の正しい経営に貢献したことになる

ので、経営者としては喜ばしいはずなのです。

 

 

しかし、多くの経営者にとって、やはり社内の不正

問題というのは愉快ではなく、まして経営者がそれ

に関与していたような場合は厄介なことになります。

 

 

また、「通報」などというと、昔の密告をイメージ

するようで、いやしいことのように捉えられるフシもあります。

 

 

しかし、現代では、企業の不祥事に対する世間の目

は厳しく、コンプライアンスリスクは非常に大きくなっています。

 

 

企業の不祥事を隠して温存していたために、長年の

間に大きくなって、発覚する頃には、大事件に発展

した例は過去にたくさんあります。

 

 

そう考えれば、この「公益通報」は正しく使えば、

会社のコンプライアンスを実現するもので、むしろ

中小零細企業もこれを積極的に活用することが有効です。

 

 「公益通報」  会社の利益(コンプライアンスの実現)

 

2022年6月に、この公益通報者保護法が改正さ

れました。

 

 

そこで、社員数が301人以上の会社には、内部通

報に対応するための体制の整備(窓口設置、調査や

是正措置等)が義務づけられています。

 

 

他方で、社員数が300人以下の中小企業でも、こ

れらの整備は努力義務とされています。

 

 

努力義務ではあっても、上記の観点から中小零細企

業でもできる限り通報窓口の設置などの整備は行っ

た方が良いでしょう。

 

 

その際、必ずしも人員が豊富にいない中小零細企業

の場合は、社内に通報窓口を作ることが難しい場合

も少なくないと思います。

 

 

そのような場合には、顧問弁護士の事務所を通報窓

口にするという方法もあります。

 

 

顧問弁護士はあくまで社外の人間ですので、社員が

社内の人間関係を気にせず通報ができるというメリットがあります。

 

 

また、弁護士は守秘義務がありますので、相談者の

秘密を漏らすことはありませんし、法的な調査が必

要となる場合にも対応できるなど、一定の信頼が得られると思います。

 

 

いずれにしても、これからの時代は、中小零細企業

でもコンプライアンスリスクに対応するという観点

から、「公益通報」の制度を積極的に位置づけるべきだと思います。

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 公益通報制度は、コンプライアンス実現の強い味方になる!

ということです。

 

 

今の世の中の流れからすると、中小零細企業に対し

ても、今後公益通報者保護制度の規制が強まってい

く可能性があります。

 

 

法制度が変わってから慌てるのではなく、今からで

きる準備はしておきたいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、駐車場に持ち主不明の自動車が長期間放置されている、という場合に、この放置車両を撤去するにはどうしたらよいか?というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は午前中の新幹線で広島へ。
私が所属する毎日ブログのコミュニティーのBBA(ビジネスブログアスリート)の祭典、リボーンアワードに参加するためです。
品川から乗った新幹線は、京都まで激混み。
リボーンアワードでは、内容の素晴らしさもさることながら、多くの全国の毎日ブログの仲間と再会できて、とても楽しいひと時を過ごす頃ができました。
リボーンアワードのことは、また改めてブログに書きますね。

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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