「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【合意管轄】あれ、なぜか遠方の裁判所に??

裁判

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契約書には、

将来裁判になったときに、

どの裁判所を使うかをあらかじめ

決めておくことがあります。

 

 

これを

「合意管轄(ごういかんかつ)」

と言います。

 

 

相手方から提案された契約書を

よく見ないと、この合意管轄で

とんでもなく遠方の裁判所が

定められている、なんて場合も

あるので注意が必要です。

 

 

 

(昔、東京から通った岡山家庭裁判所玉島出張所)

 

<毎日更新630日目>

取引相手が提示してきた契約書をチェックしてほしい

先日、私の顧問先で、

都内で不動産会社を営む社長より、相

談がありました。

 

実はこの度、新規で北海道にある会社と取引をすることになりまして。
それで、先方が取引基本契約書の案を持ってきたのです。
今日は、その契約書のリーガルチェックをお願いしたいのです。

会話

なるほど、わかりました。
よく、取引の相手方が提示してくる契約書をろくにチェックもしないで調印してしまうケースがありますが、そういうことはリスクがあります。

やはりそうですか。

会話

どの会社も、自分に有利な内容の契約書を作るに決まっています。
相手方に有利な契約書というのは、御社にとって不利な内容が含まれている可能性もあるのです。

そうなんですね。
やはり調印する前にリーガルチェックをお願いしてよかったです。

会話

この契約書ですが、ほぼ内容は問題ないと思いますが、次の条項だけがちょっと気になります。

第●条 本契約及び個別契約に関する紛争の管轄裁判所は、甲(相手方)の本店所在地を管轄する裁判所とする。

この条項はどういう意味なんでしょう?

会話

確か、相手方は北海道の会社でしたよね?
これは合意管轄条項と言って、もし将来当事者間でトラブルが起こって裁判になった場合、どの裁判所で手続きをするかを合意する条項です。

この条項だと、どこの裁判所でやることになるのでしょうか?

会話

相手方(甲)の本店所在地と書いてますので、北海道の裁判所でやることに合意した、という内容なのです。

それって、もし相手方と裁判になったら、こちらが北海道の裁判所に行かなければならない、ということですか?

会話

少し前はそうでした。
ただ、最近では電話会議というシステムを使ったり、Webによる裁判期日も普及してきています。
ですから、わざわざ北海道に行かなければならないことは少ないでしょう。
ただ、証人尋問の手続きになると、一度は北海道の裁判所に行かなければならなくなります。

なるほど、やっぱり相手方に有利な条項が入っていて、油断ならないですね!

会話

まぁ、万が一裁判になった場合の話ですから、それほど心配する必要はないかと思います。
ただ、可能なら北海道の裁判所ではなくて、東京の裁判所に変えてもらった方が御社にとっては良いでしょうね。

 

「合意管轄」ってなに?

裁判所というのは、

日本全国各地にたくさん

存在しています。

 

 

トラブルが起きて裁判に

なったとき、どこの裁判所で

やるかは、民事訴訟法という法律

で決まっています。

 

 

たとえば、

建物明渡請求の裁判の場合は、

その建物の所在地を管轄する裁判所、

という具合です。

 

 

ただ、当事者間の合意で、

将来裁判沙汰になった場合には、

どの裁判所を使うかを合意に

よって決めることができる

場合があります。

 

 

これを専門用語で

 合意管轄(ごういかんかつ)

と言います。

 

 

取引先と契約書を作る場合には、

たいていこの合意管轄を定めておく

ことが多いです。

 

 

取引先が同じ地域にある場合には、

特に問題になりません。

 

 

ところが、遠くの地域の取引先との

契約書の場合、この合意管轄でどちらの

裁判所を用いるかが問題となります。

 

 

もし東京の会社が、

北海道の裁判所を利用しなければ

ならないとすると、昔はかなりの不利を

強いられることになりました。

 

 

裁判の期日というのは、

1ヶ月に1回程度開かれ、

1年くらい続くことが多いわけです。

 

 

毎月北海道の裁判所に通う時間と

お金がバカになりません。

 

 

東京の弁護士に依頼すれば、

出張旅費と日当もかかってきます。

 

 

そんなわけで、一昔前は、

この合意管轄をどこの裁判所にするかは、

契約当事者にとって大きな問題でした。

 

 

しかし、最近では、

裁判所も電話会議システムと言って、

わざわざ遠方まで毎回通わなくても、

裁判期日を電話で対応できるようになりました。

 

 

さらに、裁判のIT化も進んでいて、

Microsoftのteamsを使って、

Webで裁判期日もできるように

なっています。

 

 

そうすると、

昔のように毎回わざわざ遠方まで

出張しなくても良くなったわけです。

 

 

ただ、少なくとも証人尋問の期日には、

リアルで裁判所に出廷しなければ

なりませんので、そのときは遠方への

出張を余儀なくされます。

 

 

ですから、

自分のホームグラウンドでの裁判が

可能であれば、それに越したことは

ないでしょう。

 

 

可能な限り、

管轄裁判所は自社の最寄りの裁判所を

定めるようにしておいた方が良いでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 遠方の裁判所でもかつてほどの不利益はないが、自社に近い裁判所にするに越したことはない!

ということです。

 

 

そういえば、

昔担当していた案件で、

岡山の裁判所まで通っていたことが

ありました。

 

 

せっかく岡山まで行くのだから、

1泊して観光しよう、いつもと思いながら、

結局約2年間通って毎回日帰りでした。

 

 

日帰りで岡山へ行くとなると、

ほとんど1日仕事です。

 

 

向こうの裁判所にいる時間以外は、

ほとんど新幹線での移動時間。

 

 

我ながら、

よく通ったもんだと思います(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、会社が社員の給料を減額したい、という場合に、会社が一方的に減額できるかどうか、そんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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