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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【秘密保持契約】情報提供側、情報受け手側、立場の違いによる契約書のチェックポイント

契約書

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最近何かと話題の

「秘密保持契約」(NDA)ですが、

秘密情報を提供する側と、

受ける側では立場や

利害が違ってきます。

 

 

そこで、

契約書をチェックする際には、

それぞれの立場からの視点で

チェックするポイントが

違ってきます。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 それは秘密情報??)

 

<毎日更新927日目>

秘密保持契約の重要性と特徴

現代では、

「秘密保持契約」という

ものの重要性が非常に

高まっていると言われます。

 

 

「秘密保持契約」とは、

当事者の一方から他方に

対して提供される情報を、

契約をもって秘密として

取り扱うことを

内容とする契約です。

 

 

いわば、

秘密情報を正当な理由なく

外部に漏らしたりしない

ことを約束する契約、

と言えます。

 

 

私も日々、

顧問先から「秘密保持契約書」の

作成やリーガルチェックを

依頼されることがあります。

 

 

たとえば、

新製品や技術開発などにおいては、

自社内だけではなく、

外部の企業や専門家と提携したり、

協力関係を持つ必要が出てきます。

 

 

この点、

新製品等の開発においては、

その会社の企業秘密なども

用いることになるため、

こうした秘密が競争相手に

漏れたりすると、

会社は大きな損失を被る

ことがあります。

 

 

また、

企業の合併等のM&Aや

事業承継も多くなっています。

 

 

こうした場面でも、

契約締結の交渉の場面で、

相手方に対して会社の顧客情報や

財務内容等の秘密情報を

開示しなければならない

場合もあります。

 

 

この場合も、

経営上の重要な情報が外部に

流出することを防ぐために、

事前に「秘密保持契約」が

結ばれることになります。

 

 

このように、

重要性を増している

「秘密保持契約」ですが、

これはそうした秘密情報を

提供する側なのか、

それともその秘密情報を

受ける側なのか、

で利害が変わってきます。

 

 

ですから、

会社が相手方との間で締結する

「秘密保持契約」を

チェックする際にも、

両者の立場の違いによって、

チェックすべきポイントが

違ってくるのです。

 

 

 

 

秘密情報提供側からみる契約書のチェックポイント

秘密情報を提供する側からすると、

自社が提供した秘密情報が、

外部に漏れたりしては

大きな損失を被る

というリスクがあります。

 

 

そこで、

こちらの立場では、

① 相手方に対して、秘密情報をきちんと守るための義務を課しているか

② 相手方の情報管理の体制に問題はないか

といった観点から、

契約書をチェックする

ことになります。

 

 

そして、

まず、

契約上保護の対象となる

「秘密情報」は何なのかを

明確にする必要があります。

 

 

実務上は、

本契約において、秘密情報とは、本事業遂行の目的で、書面、電子メール、口頭、電子記憶媒体その他形態を問わず、相手方(開示者)より提供又は開示された技術上及び営業上の情報のうち、開示の際に秘密である旨明示されたものをいう

といったような

定め方をします。

 

 

その上で、

この秘密情報は、

提供を受けた側が、

事業遂行の目的以外に

使用することを禁止し、

開示者の書面による事前の

同意を得ることなく、

秘密情報を第三者に開示

することも禁止します。

 

 

さらに、

秘密情報の提供を受けた側の、

この秘密情報を利用

できる者の範囲も、

事業を遂行する上で

必要最小限の範囲の

取締役その他の役員及び

従業員に限定したりします。

 

 

そして、

これらの人に対しても、

在任中であると退職後

であるとを問わず、

本契約で定められた

秘密保持義務と同等の

義務を課すことが

重要になります。

 

 

また、

秘密情報の複写や複製も規制し、

やはり開示者の事前の

書面による同意を

要求したりします。

 

 

さらに、

情報提供を受けた側の

秘密情報の管理体制も問題にし、

開示者が秘密情報の管理状況の

報告を求めることが

できるようにしたり、

場合によっては会社に

立ち入り調査を行う権限を

設定したりします。

 

 

要するに、

秘密情報を提供する側からすると、

相手方に対して、

秘密情報を守るために

いかに厳しい義務を

課すことができるか。

 

 

さらに、

相手方の情報管理の体制に

どれだけ開示者が介入する

ことができるような権限を

設定するか、

ということがポイント

ということになってきます。

 

 

 

秘密情報の受け手側からみる契約書のチェックポイント

反対に、

秘密情報の提供を

受ける側からすると、

秘密保持契約上の義務が

あまりに厳しすぎると、

自分たちの事業の

手かせ足かせを

ハメられることになって、

好ましくありません。

 

 

この場合も、

まず契約の対象とされる

「秘密情報」は何か、

を明確に定めておく

必要があります。

 

 

すなわち、

情報を受ける側からすると、

提供される情報のすべてを

秘密情報の対象とされてしまうと、

自社における管理が

困難な場合も少なくありません。

 

 

そうすると、

秘密保持契約に違反する

ケースが生じやすくなるため、

相手方(開示者)との間で

無用なトラブルが

生じかねません。

 

 

そこで、

情報を受ける側としては、

なるべく秘密情報の対象を限定し、

明確にしておくことが

重要になります。

 

 

さらに、

秘密保持契約の対象から

外すという例外規定も

設けておく必要があります。

 

 

具体的には、

① 相手方から開示を受ける前にすでに公に知られていた情報
② 相手方から開示を受けた時点で、すでに保有していた情報
③ 相手方から開示された後に、自らの落ち度ではなく公となった情報
正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を課されることなく適法に取得した情報

などが、

例外にあたります。

 

 

また、

上記の情報提供者の

側からみた場合に、

秘密情報の利用者の範囲を

限定する必要がある

という話がありました。

 

 

これは、

情報提供の受け手にとっても、

誰が秘密情報を利用できる

権限があるかを明確にする

規定であるので、

受け手にとっても必要な規定

ということになります。

 

 

このように、

「秘密保持契約」というものは、

情報を提供する側なのか、

情報の受け手の側なのかで

利害が違ってきます。

 

 

果たして、

自社の立場で「秘密保持契約」が

使いやすい内容に

なっているかどうか、

という観点からの

チェックが欠かせません。

 

 

その場合、

上記でみたそれぞれの立場からの

チェックポイントを参考に

してみてください。

 

 

そして、

どうしてもよくわからない、

という場合は、

専門家である弁護士に、

「秘密保持契約書」の作成や

リーガルチェックを

依頼した方が良い場合も

あると思われます。

 

 

それにしても、

同じ「契約書」と言っても、

それぞれの利害や立場によって、

見るべきチェックポイントは

全然違ってきます。

 

 

知らない間に自社に不利な

内容の契約書を結ばされていた、

というようなことがないように、

気をつけたいものですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

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昨日は、午前中は自宅で仕事。
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午後は事務所に出勤して仕事。
顧問先のお客様から依頼された書面の作成、新規でご依頼いただいている案件の見積書作成その他諸々の業務などでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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