「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【「請負」のつもりが?】社長、それ「雇用契約」と認定されます!

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

仕事を外注に出して、

「請負契約」を結んだつもりでも、

あとで「雇用契約」と判断される。

 

 

現実には、

そんな危険性があります。

 

 

どんな場合が「請負」で、

どんな場合が「雇用」なのか?

 

 

経営者としてリスクを避けるためには、

その違いをある程度知っておいた方が

良いでしょう。

 

 

 

 

(渋谷再開発の現場・ここで働く人は「雇用」か?)

 

<毎日更新665日目>

「ひとり親方」との請負契約

仕事を「外注」に出したい、

というとき、よく「請負契約」

というものが使われます。

 

 

建設業などでも、

よく「ひとり親方」と呼ばれる個人事業主の方と、

「請負契約」を結んで現場の仕事を願い

することがあります。

 

 

この「請負契約」は、

実際に社員などを雇う(雇用契約)よりも、

会社にとって都合が良い部分があります。

 

 

たとえば、

「請負契約」であれば、

1つの現場の工事だけ仕事をお願いして、

それが終われば、

契約関係を解消することも可能です。

 

 

また、

社員を雇う「雇用契約」の場合には、

原則として1日8時間、週に40時間を

超えて働かせてはいけない、

という縛りがかかります。

 

 

そして、

その時間を超えて働かせる場合には、

法定の割増賃金(残業代)を

支払う必要があります。

 

 

しかし、

これが「請負契約」であれば、

そのような働く時間の制限は、

ありません。

 

 

「請負契約」は、

あくまで仕事を請け負った側が、

働く時間などを自分の裁量で決められる

ことが前提となっているからです。

 

 

建設業だけではなく、

他の業種でも、

いわゆるフリーランスの方に仕事を

「外注」に出すことがあります。

 

 

この場合も、

通常は雇用契約ではなく、

請負契約や業務委託契約が

用いられます。

 

 

このように、

会社にとって便利な「請負契約」ですが、

その実態からみて、「雇用契約」であると

判断される場合がありますので、

注意が必要です。

 

 

 

 

 

それが「雇用契約」と認定される場合とは?

こう書くと、

そんなバカな!
うちはちゃんと「請負契約書」を作っているんだ! 

という声が聞こえてきそうですね。

 

 

 

たしかに、

私がこのブログでもいつも言っているように、

ビジネスにおいて「契約書」を作ることは、

良いことです。

 

 

しかし、

契約というものは、

「契約書」の形式的な言葉ではなく、

その実態で決まる

 

という側面があります。

 

 

どういうことかと言うと、

「請負契約」というのは、

あくまで「一定の仕事を完成させる」

ということが本質です。

 

 

約束した仕事を完成させれば良いので、

どうやって仕事を完成させるかについては、

請け負った側にある程度裁量権が

認められます。

 

 

いわば、

仕事を発注する側(会社)と、

請け負った側(ひとり親方)が

あくまで対等な立場で契約をするものです。

 

 

また、

仕事の対価である報酬も、

あくまで「完成させた仕事」に対して

いくら、という形で支払われます。

 

 

他方で、

「雇用契約」は、

働く人(労働者)が、

使用者(事業主・会社)に対して、

労務を提要することが本質です。

 

 

ですから、

労働者は使用者に対して、

従属的な立場にあり、

労働者はあくまで使用者の細かい指示

のもとに仕事をします。

 

 

また、

事の対価である賃金(給料)も、

基本的に働いた日数や時間などを

基準に支払われます。

 

 

これが、

「請負契約」と「雇用契約」の違いです。

 

 

ところが、

世の中には、

形式上は「請負契約」となっていても、

その実態が「雇用契約」とほとんど変わらない、

という場合も存在します。

 

 

もし仮に、

「雇用契約」であると認定されてしまうと、

どうなるか?

 

 

使用者(事業主・会社)には、

社会保険の加入義務が生じたり、

働かせる時間によっては残業代の

支払い義務が生じたりします。

 

 

また、

「雇用契約」となると、

もし必要な現場の仕事が終わっても、

簡単に辞めてもらうことができません。

 

 

「雇用契約」では、

「解雇」が厳しく規制されているからです。

 

 

では、実際に、

たとえば「ひとり親方」などについて、

「請負」か「雇用」かの判断基準はどうなのか?

 

 

大きく言って、

次の4つがポイントになります。

 

 

仕事の依頼に対する諾否の自由の有無

仕事を頼まれて、

断る自由があるかどうかです。

 

 

「請負契約」ならば、

あくまで当事者は対等なので、

断れるはず。

 

 

しかし、

「雇用契約」となると、

労働者は、

使用者の業務命令に従う義務が

ありますので、断る自由は

原則としてありません。

 

 

つまり、

仕事の依頼に対する諾否の自由がないと、

「雇用契約」と認定されやすく

なってしまいます。

 

 

時間的・場所的拘束の有無や、その強さ

これが強いと、

やはり「雇用契約」になりやすくなります。

 

 

働く場所(現場)を指示されていて、

しかも、働く時間も午前9時から午後5時まで

と決まっていて、働く側がその辺を

自由に決められないような場合、

ですね。

 

 

逆に、

その辺がある程度働く側に裁量が

あるような場合は、

「請負契約」になりやすくなるでしょう。

 

 

たとえば、

工事が終わったら早く帰れるとか、

空いた日に別の仕事を入れることができる、

などですね。

 

 

業務遂行に関する具体的な指揮監督の有無

「雇用契約」の場合は、

あくまで使用者の指揮監督のもとに

「労務」を提供しますので、

細かい業務命令や指揮監督を

受けることになります。

 

 

しかし、

「請負契約」であれば、

「仕事を完成させる」までのプロセスは、

ある程度請け負った側に

自由裁量があります。

 

 

ですから、

「請負契約」であるにもかかわらず

、そうした自由がなく、

細かい指揮監督を受けるとか、

使う道具や機材などもこと細かく指定される、

などと言った場合は、

「雇用契約」と判断されやすくなります。

 

 

何に対して報酬が支払われるか

仕事の対価として支払われるものが、

働いた日や時間を基準に

決められるような場合は、

「雇用契約」になりやすいでしょう。

 

 

他方で、

あくまで出来高払いとか、

完成した仕事の対価として

支払われる場合は、

「請負契約」になりやすい要素です。

 

 

また、

経費や社会保険料、

交通費等を支払わないことを前提に、

一般的な労働者よりもかなり高額な報酬が

支払われる場合なども、

「請負契約」になりやすい要素と言えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

「請負」か「雇用」かは、契約書の記載ではなく、仕事の実態で判断される!

ということです。

 

 

そんなわけで、

「外注」は便利ではありますが、

やり方によっては「雇用契約」と判断される

リスクがあります。

 

 

万が一「雇用」と判断されると、

「不当解雇」だとか、

「残業代請求」だとか、

「労災」だとか、

雇用契約で想定されるあらゆるトラブルが

現実になる可能性があります。

 

 

私の弁護士としての使命は、

中小零細企業のトラブルを

 「裁判しないで解決」すること

 

 

「裁判沙汰」を避けるためにも、

「請負」と「雇用」の違いは知って

おいた方が良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、電子契約書に印紙を貼る必要があるのか、また、電子契約書をプリントアウトしたり、PDFで送信したようば場合はどうなのか、こんなテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご提供中のメニュー

 

 

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

お問い合わせ

住所 150-0031
東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階
マップを見る
受付時間 【平日】9:30〜18:00
【土曜日】9:30〜12:00
渋谷共同法律事務所のHP

           

裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

カテゴリー