社員が会社のお金に手をつける
「横領」事件が後をたちません。
「横領」行為は、
とかく暴走して大きな
被害金額になりがちです。
なぜ、
社員の「横領」は暴走して
しまうのでしょうか?
(ストライダーで「暴走」??)
<毎日更新709日目>
社員が会社のお金に手を
つけてしまう「横領」、
これはよく問題になっています。
最近、
立て続けに多額のお金を
社員が横領したとのニュースが
ありました。
1つは、
大阪でクボタの子会社の
元部長が約1億6000万円を
着服した疑いで逮捕されました。
報道によれば、
この元部長は、
会社の代表名義の銀行印を
悪用し、
会社の小切手16枚を金融機関で
換金した上で、
1億6000万円を着服
したとのことです。
さらに、
この元部長は、
横領の発覚を防ぐために
会計システムを不正に
操作していたそうです。
この元部長、
横領したお金の大半を馬券の
購入にあててしまったようです。
もう1件は、
北海道の釧路信用金庫で、
元支店長代理が約1億円を
横領したとして、
逮捕・起訴されたとの
ニュースです。
この元支店長代理は、
勤務先の支店のATMを49回に
わたって操作し、
合計で1億1150万円を
引き出して、
横領したとのことです。
この元支店長代理も、
横領したお金は投資やギャンブル
にあてていたとのことです。
たった1人の社員が、
会社の億単位のお金を横領
するというのは、
かなり大胆な犯行のように
見えます。
果たして、
バレないとでも思っていた
のでしょうか?
これらの社員は、
それほど大胆不敵な悪人だったのか?
というと、
実はそうでもないのです。
社員が多額のお金を横領
してしまうには、
それなりの理由があります。
私も、過去に、
社員が多額の会社のお金を
横領した事件をいくつか
扱ってきました。
会社のお金に手をつける
社員の行動には、
ある共通するパターン
というものがあります。
いくら1億円を横領した、
と言っても、
いきなり会社のお金を1億円も
横領する人はいません。
そんな度胸はないでしょう。
最初は、5万円とか、
10万円といった、
すぐに自分のお金で返せる
レベルの金額から手をつけます。
いかに、
1億円を横領するような社員でも、
一番最初に会社のお金に
手をつけるときは、
それはハラハラ、ドキドキ
したはずです。
なにしろ、
超えてはならない一線を、
初めて越えるわけですからね。
ところが、
やってみると、
あっけないほど上手く
いってしまう。
というのがやった人の感想だと思います。
しかし、
何度か成功しているうちに、
段々と味をしめてきます。
手をつける金額も、
最初は数万円程度でしたが、
それが数十万円と段々大きく
なっていくのも特徴です。
そのうち、
会社から横領したお金を元手に、
このお金を大きくしようとか
そんなことを考え始めます。
そう、
横領者の多くが、
そのお金をギャンブルや
投資につぎ込みます。
しかし、
そう簡単には行きません。
そのうちどんどん深みに
ハマっていきます。
最初は少ないお金を
抜いていたものが、
段々と気持ちも大きくなって、
横領する金額は大きくなって
いきます。
気づいたときには、
数百万円とか、
数千万円のレベルにまで
膨れ上がっていて、
とても返せない金額に
なっています。
こうなると、
あとは会社に発覚するのは
時間の問題になります。
こんな風に、
真面目に働いていたサラリーマンが、
ちょっとした出来心から会社の
お金に手をつけ、
気づいたら引き返せないほどの
深みにハマってしまう。
私はこれまで、
複数こういうパターンを
見てきました。
結局、
どんな人間も、
人間としての弱さを持って
いる以上、
こうした事件は不可避的に
起こりうるのです。
どんな会社も
例外ではありません。
もちろん、
横領を防ぐための社員教育も
重要でしょう。
しかし、
人間の意思には
限界があります。
それよりも、
大切なことは、
社員の横領を防ぐような
「仕組み化」をどう作るか?
です。
こうした横領事件
が起きる背景には、
1人の社員が
会社のお金を扱う
大きな権限を与えられて
いることが多いです。
ですから、
社員の横領事件を
防ぐための第一歩は、
必ず会社のお金を
複数でチェックできる体制
を作ること。
たとえば、
社員の立替金なども、
請求書ですぐに支払うのは
やめた方がいいでしょう。
必ず出金伝票を書かせ、
上司の決裁を得た上で
支払うようにするなどです。
また、
会社の経理に関しても、
1人に任せずに複数つけるとか、
いろいろあります。
ただし、
難しいのは、
中小零細企業の場合、
そのような人的なリソースが
十分に確保できないことです。
そこで、
日常は経理担当者1人に
任せざるを得ないとしても、
必ず定期的に預金通帳履歴を
確認するとか、
支出については資料と共に
確認するなどといったことは
最低限必要だろうと思います。
さらに、
中小零細企業の場合は、
社長や上司が
部下の日常にきちんと
関心を持って観察
することが大切です。
もちろん、
プライバシーや
個人情報の問題が
あって限界は
ありますが。
ただ、
その社員の家族関係とか、
健康状態とか、
交友関係とか、
趣味とか、
生活が突然派手に
なったりしていないかとか、
そういったことに
関心を持つことは重要
ですね。
やはり、
会社のお金に
手をつける人は、
心の奥深くで闇を
抱えていることが
多いです。
重大な事件になるのを
防ぐためにも、
こうした心のケア
といった問題も含めて、
経営者としては、
社員の日常の行動に
関心を持って観察
する必要があるでしょう。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
これも私の経験上ですが、
社員に横領されたお金というのは、
まず回収が不可能になることが
多いです。
ごくまれに、
横領したお金で財テクを
やって成功して、
お金を持っているなんて
ケースもありますが、
非常にレアです。
大半の事件では、
横領したお金はギャンブルや
投資に使われて残っていません。
つまり、
その分は事実上会社の損失
になってしまうわけで、
これは中小零細企業にとっては、
経営の屋台骨を揺るがしかねません。
やはり、
社員の横領を防ぐ仕組み化
づくりはどの会社も真剣に
考えなければならない
でしょうね。
最新動画
今回は、違法な社員の引き抜きというテーマで、元請け会社が下請けの社員を引き抜いた場合について、お話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。