大変に便利なチャットGPT
などのAI技術。
しかし、
プロとして当然やるべきことを、
手抜きするためのツールでは
ありません。
AIを上手に使いこなすには、
利用者の利用方法やリテラシーに
大きく依存する面があります。
(今日の「棒人間」 AIは信用できない??)
<毎日更新757日目>
アメリカで、
チャットGPTを利用して、
存在しない判例を引用して
しまった弁護士がいる
ということで、
話題になっています。
ニューヨーク州の弁護士が、
審理中の民事裁判で、
資料作成にオープンAIの
生成AI(人工知能)である
チャットGPTを利用した結果、
存在しない判例を引用して
しまったとのことです。
資料で引用された判例が
見つからなかったため、
裁判官が確認したところ、
弁護士がチャットGPTを
使っていたことが発覚。
この弁護士は、
6件の実在しない判例を
引用していたそうです。
裁判官は、
インチキな引用を使ったインチキな司法判断が記述された資料が提出された💢
と指摘。
この弁護士を懲戒処分にするか
どうかを判断するために、
今後審理を開くよていとのことです。
この弁護士は、
チャットGPTについて、
と述べているそうです。
ちょっとまった、
この事件、
悪いのはチャットGPT
なんでしょうか?
裁判所の「判例」というのは、
簡単に言えば、
過去に裁判所で出された判決で、
法的な判断を示した部分
のことです。
過去に同種の事案で
判例があれば、
同じような事案に対しては、
同様の判決が出される
可能性が高くなります。
ですから、
弁護士としては、
裁判の中で、
自分の主張に有利な
判例を探し、
引用します。
いわば、
裁判官に対して、
とアピールするために、
判例を引用するわけです。
また、
逆に、
相手方の主張が間違っている
という根拠として、
判例を引用する場合もあります。
すなわち、
というアピールのための引用です。
いずれにしても、
大切なことは、
判例を引用する場合には、
当たり前ですが、
必ずその判例の原文に
あたって確認すること。
判例というものは、
実際にしっかりと読んでみないと、
今回の自分の主張を補強する
材料として使えるかどうか、
ということはわかりません。
似たような事案であっても、
世の中に2つと同じ事案は
ありません。
どこまでがその判例の
射程範囲になるのか?
微妙に事案が違えば、
裁判所の判断も変わりうるので、
本当にその判例が使えるか
どうかは、
しっかりと読み込んで吟味を
する必要があるのです。
上記のアメリカの事件ですが、
この弁護士は、
チャットGPTが示した
判例について、
原文を確認することなく
引用してしまったようです。
私の感覚からすると、
よくそんな恐ろしいことするな〜
と思います。
上記のように、
本当に自分のそのときの主張に
その判例が有利に使えるかどうか、
きちんと原文を確認してみないと
わからないからです。
自分に有利な判例だと思って
原文をよく読んでみたら、
逆に自分の主張に不利に
働くことがわかった、
なんていうことは、
裁判実務をやっていれば
いくらでもあります。
そんな場合はもちろん
引用はしません。
私もチャットGPTは
時々使っていて、
大変便利ではあります。
しかし、
チャットGPTは、
本来プロとしてやるべき仕事の
手抜きをするための道具では
ありません。
裁判における弁護士の仕事とは、
依頼者の有利な法的主張を
組み立て、
それを裏付ける資料を集めること。
その資料の1つとして、
過去の判例というものが
あります。
どんな資料もそうですが、
やはり第一次情報にきちんと
あたって分析しなければ、
本当にその裁判に有利に
使える材料になるかどうか
はわかりません。
しっかり吟味してから
使わないと、
逆にこちらに不利な材料に
なってしまうことも
あるのです。
ですから、
弁護士としては、
当然に第一次情報をしっかり
吟味するという仕事が
欠かせません。
上記のアメリカの事例は、
偽の判例を示したチャットGPTが
悪いのではなく、
手抜きをしてきちんと
判例の原文にあたらなかった
弁護士の手抜き仕事の結果、
ということができます。
裁判というものは、
ときに依頼者の人生を
左右します。
それだけの重大な局面で、
弁護士が手抜きをして裁判に負けたら、
依頼者は浮かばれないでしょう。
自分の依頼者の大切な
人生がかかっている、
そのくらいのプライドと自覚を、
弁護士は持ちたいものです。
チャットGPTは
便利ではありますが、
使い方を間違えては
いけません。
プロとして、
当然やるべきことを
手抜きしていると、
とんでもない痛い目に遭う。
これは、
どんな仕事でも同じですよね。
それでは、
また。
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今回は、お店の前に工事車両が止まっていて、営業妨害になっているときに、店舗の大家さんに対して文句が言えるか、こんなテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。