「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【マスクと業務指示】元請け会社が下請け会社の社員に、マスクを強制することはできるか?

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暑くなってくるこの頃ですが、

現場でマスクをつけて

暑そうに仕事をしている人を

見かけます。

 

 

元請け会社が、

下請け会社の社員に対して、

現場仕事でマスクの着用を

強制することは

できるのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 夏のマスクは暑い)

 

<毎日更新769日目>

元請け会社がマスクを強制?

新型コロナウイルスが、

感染症法上の位置づけが、

それまでの2類から5類に

引き下げられました。

 

 

それに伴い、

厚労省の見解でも、

マスクの着用は個人の判断が基本

とされています。

 

 

私も、

今は基本はマスクは外して

行動しています。

 

 

マスクをつけるのは、

お客様との打ち合わせ

のときくらいですね。

 

 

6月に入り、

蒸し暑い時期になって

きましたので、

マスクをしなくて良いのは

本当に助かります。

 

 

というか、

昨年までよく夏場も律儀に

マスクをつけていたもんだなぁ〜

と感心します。

 

 

しかし、

街中を歩いていると、

東京でもまだマスクを

つけている人が

少なくありません。

 

 

というか、

まだ6〜7割くらいの人は、

屋外でもマスクをつけて

いるのではないでしょうか?

 

 

屋外で現場仕事の人なども、

マスクをつけて暑そうに

仕事をしているのが

気になります。

 

 

そういえば、

先日ある建設業の社長さんから、

こんなお話を伺いました。

 

もう暑いし、現場の社員にもマスクなしで仕事をさせたいんです。
しかし、元請けがえらく固い会社で、うちの社員にもマスクをつけろとうるさく言ってくるんです。

なるほど、

そもそも、

元請け会社が、

下請け会社の社員に対して、

マスクをつけるように

強制することはできる

のでしょうか?

 

 

 

 

 

元請け会社が下請け会社の社員に業務指示ができるのか?

そもそも、

マスクは「個人の判断」という

ことになっています。

 

 

そこで、

会社が自社の社員に対して、

業務中のマスクの着用を命じる、

ということはできる

のでしょうか?

 

 

この点、

会社は社員に対して、

合理性がある限り、

業務命令というものを

出すことができます。

 

 

そして、

厚労省のホームページを見ると、

マスクの着用は個人の判断に委ねられるものではありますが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容されます。

と書かれています。

 

 

ですから、

コロナ感染対策という

名目であれば、

一応会社は自社の

社員に対して、

業務命令としてマスクの

着用を命じることが

できます。

 

 

それでは、

元請け会社が下請けの

社員に対して、

マスクの着用を命じることが

できるのでしょうか?

 

 

この点、

原則論を言えば、

元請け会社と、

下請け会社の社員との間には、

直接の雇用契約はありません。

 

 

とすれば、

元請けは、

下請けの社員に対する業務命令を

出す権限はなさそうです。

 

 

ただ、

元請け会社と下請け会社との間の

取引上の契約において、

現場で下請けの社員が、

元請け会社の指揮命令を受けて

業務にあたることが定められて

いる場合があります。

 

 

実際に、

現場で下請けの社員が、

元請けの社員の指示に従って

仕事をするということは

よくありますよね。

 

 

そこで、

そのような取引上の契約が

なされていれば、

上記のようにコロナ感染対策の

必要性があれば、

元請け会社が現場で

下請けの社員に対して、

マスクの着用を命じる

ことはできる、

ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

他方で、社員に対する安全配慮義務はどうなる?

他方で、

会社は、

社員の生命・身体の安全を

守るために職場環境を整えるという、

安全配慮義務を負っています。

 

 

暑い夏の現場で、

社員にマスクの着用を命じて、

それが原因で社員が熱中症で

倒れたらどうなるか?

 

 

その場合には、

会社は安全配慮義務違反の

責任を問われることがあります。

 

 

そして、

もし元請け会社と下請けの

社員との間に、

上記のような指揮命令関係が

あるような場合には、

元請け会社も下請けの社員に

対して安全配慮義務を負う、

とされています。

 

 

ですから、

暑い夏の現場の仕事の場合には、

コロナ感染対策と、

社員の熱中症のリスクなどの

バランスをきちんと

考えなければいけません。

 

 

現場仕事で、

特に人が密集しているような

場合は別として、

どうしてもマスクを着用して

作業をしなければならない、

というような場面はそれほど

ないように思います。

 

 

下請け会社としても、

自社の社員に対する

安全配慮義務があります。

 

 

ですから、

そのような観点から、

元請け会社に対し、

場合によっては現場における

マスクの着用を免除してもらう

よう交渉することが必要

だと思います。

 

 

日本の場合、

特に形だけマスクを

つけていれば、

といったような風潮も

あるように思います。

 

 

しかし、

これからの季節は熱中症の

リスクが高まります。

 

 

形よりも、

実質を見て現場の社員さんの

労働環境に配慮したいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回は、なくならない弁護士の横領事件、「弁護士は金持ち」は幻想です、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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