原材料高騰で利益が圧迫されても
元請(親)事業者が値上げに
応じてくれない。
こうした「買いたたき」などの
下請法違反が後を断たないため
政府もついに下請法改正などに
向けて動き出すようです。
(今日の「棒人間」 値上げを「叩く」??」
<毎日更新1133日目>
公正取引委員会が
下請法違反の件数などを
公表しています。
それによると
下請事業者への支払い遅延や
買いたたきといった
下請法違反に関する親事業者
への指導や勧告が
2023年度は8281件あったそうです。
そのうち
親事業者への指導が8268件
下請事業者の不利益が大きいとして
親事業者を公表しての勧告は
13件だったそうです。
そして
親事業者や下請事業者に対する定期調査は
過去最多の41万件に上ったとのことです。
報道によれば
公正取引委員会は
下請事業者への価格転嫁などの
実態をより広く把握する
必要があるとして
調査件数を増やしているようです。
背景には
原材料高騰などで下請事業者の
利益が圧迫される中
親事業者が価格の転嫁に
応じない「買いたたき」など
下請法違反の事例が減らない
現実があるようです。
それに関連して
政府は
中小企業の賃上げの定着をめざし
労務費の価格転嫁の徹底や
下請法の改正を検討すると発表しました。
具体的には
岸田政権の看板政策「新しい資本主義」
の実現に向けた実行計画の改訂案
の中で言及されたようです。
この改定案では
と明記されているようです。
そして
大企業が下請事業者に支払う代金を
不当に低くする「買いたたき」を防ぐため
下請法の改正も検討するとのことで
違反行為により勧告を受けた企業の
補助金交付や入札資格の停止を
検討するとされています。
実際
中小の下請事業者が
親事業者に値上げを求めても
拒絶されるというケースはよ
く耳にします。
下請事業者としては
原材料高騰で利益が圧迫される。
人手不足なので人材を確保したいが
賃上げもできない
そんなジレンマに悩まされています。
下請事業者と元請(親)事業者には
通常力関係がありますので
下請事業者は理不尽な取引を
強要されるというケースがあり得ます。
そこで
下請事業者と元請(親)事業者
との間の取引の公正をはかり
下請事業者を保護するための法律が
下請法なのです。
この下請法は
元請(親)事業者の行為を
さまざまな角度から規制しています。
まず
元請(親)事業者に対して
発注内容を明確に記載した
書面を交付することを
義務付けています。
この書面には
たとえば代金額
代金の支払期日
支払方法
商品の検査完了期日などを明確に
記載することとされています。
もし元請(親)事業者が
この義務に違反して
書面を交付しなかった場合は
50万円以下の罰金
という罰則もあります。
また
下請法では
いくつかの元請(親)事業者に
対する禁止行為
が定められています。
まず
たとえば
同種の仕事の対価として通常支払われる
対価と比較して著しく低い額
を不当に定める行為は
いわゆる買い叩きとして
禁止されます。
公正取引委員会の下請法の
運用基準では、
などの行為が
この「買いたたき」にあたることが
明記されています。
また
発注時に定めた代金額を元請(親)事業者が
減額することも禁止されています。
さらに
元請(親)事業者が下請けに支払うべき
代金の支払いを遅延することも禁止されます。
元請(親)事業者は
下請けから物品等を受け取った日から
60日以内で定められる支払期日までに
代金を支払うことが法律上
義務付けられています。
また
元請(親)事業者が
発注した商品等の受領を拒否したり
不当に返品することなども
禁止されています。
それでは
元請(親)事業者がこのような
下請法に違反した場合
下請事業者としては
具体的にどのような行動を起こしたら
よいのでしょうか?
まず
公正取引委員会や中小企業庁に相談
に行くという方法があります。
公正取引委員会や中小企業庁では
下請取引が公正に行われているか
どうかを把握するため
毎年
元請(親)事業者や下請事業者に対する
書面調査を実施しています。
また
必要に応じて
元請(親)事業者が保存している
取引記録の調査や立ち入り検査を
実施しています。
さらに
元請けに下請法違反の事実がある場合は
再発防止などの措置を実施するように
勧告や公表を行っています。
そして
これらの書面調査に従わなかった場合や
立入検査を拒否したり妨害した場合にも
50万円以下の罰金という
罰則が課せられます。
このように
下請法は
罰則など一定の強制力のある法律ですので
元請けによる不当な行為に対する有力な
対抗手段になり得るわけです。
価格の転嫁や賃上げ
といった問題に絡んで
政府もようやく下請法違反の規制に
本腰を入れ始めていると
言えるでしょう。
不当な取引に対して
泣き寝入りせずに
下請法を使って対抗することも
検討すべきと考えます。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。