「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【賃貸物件】借主の素性を確認しないで貸したらどうなるか?

不動産賃貸

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自分の物件を人に貸す場合、

きちんと貸主の素性を確認し、

賃貸借契約書を作成するのが

本来です。

 

 

賃料に目がくらみ、

こうした一見面倒な手続きを

省略して、

他人に物件を貸してしまうと、

後でとんでもないリスクを負う

危険性があります。

 

 

 

(今日の「棒人間」 安易に物件を貸してしまうと、後が大変??)

 

<毎日更新820日目>

紹介者を信用して物件を貸したら・・・

飲食店を経営しながら、

別の場所で不動産物件(建物)

を所有してたAさんは、

空き物件(店舗)

誰かに貸したいと、

入居者の募集をかけて

いました。

 

 

すると、

知人のBさんの紹介で、

借りたいという人が

見つかりました。

 

 

Aさんは、

普段は飲食店の営業に忙しく、

不動産賃貸の方は特に

専門的な知識も

ありませんでした。

 

 

そこで、

今回は契約など諸々の手続きを

知人のBさんにすべて

お願いすることにしました。

 

 

Bさんとの間には、

長年の信頼関係があったので、

今回の契約者が、

どのようにその物件(店舗)

利用するのかを、

Aさんは詳しくは

確認しませんでした。

 

 

とはいえ、

借主がどんな店舗を営業するのかを

Bさんに確認したところ、

何かトラブルになったら、すべての責任は私が負います

とBさんが言っていたので、

Aさんはそれ以上突っ込んで

聞くことはありませんでした。

 

 

また、

結局借主とも一度も

面談することなく、

物件の賃貸借が始まりました。

 

 

Aさんとしては

不安もありましたが、

実はその当時、

Aさんの本業の飲食店の経営が

だいぶ厳しい状態でした。

 

 

Aさんとしては、

この空き物件を早く貸して

賃料収入を得たいという

思いがありましたので、

すべてをBさんの

言うとおりにして、

お任せしていました。

 

 

ところが、

物件を貸してしばらくしてから、

なんと借主がこの物件で

焼肉店を開業したことが

発覚しました。

 

 

この物件の所在地は、

どちらかというと住宅街に近く、

焼肉屋の騒音や匂いなどで、

近隣住民から苦情が来ていました。

 

 

Aさんは、

慌ててBさんに確認したところ、

なんとBさんは、

借主との間で賃貸借契約書も

作成していないことが

わかりました。

 

 

まさか、

住宅街で焼肉屋を開業される

と思っていなかった

Aさんとしては、

今回の賃貸借契約を解約して、

借主にはすぐに

出ていってもらいたい、

と考えています。

 

 

 

 

一度貸した物件から追い出すのは本当に大変

ところが、

話はそう簡単には

行きません。

 

 

今回、

Aさんは、

Bさんにすべてを任しており、

借主の素性などを

確かめることも

しませんでした。

 

 

それどころか、

借主との間で賃貸借契約書も

作成していないということです。

 

 

この点、

法的に賃貸借契約が

成立するためには、

必ずしも契約書を

作成する必要はなく、

口頭でも契約は成立します。

 

 

しかし、

賃貸借契約書を作成すれば、

必ずその物件の使用目的を

定めるのが通常です。

 

 

たとえば、

賃貸目的がオフィスとして

借りるというものであれば、

借主はそれに違反して

そこで飲食店を開業したり

することはできなくなります。

 

 

ところが、

今回は、

契約書を作っていませんので、

もちろんそうした賃貸目的も

はっきり定まっていません。

 

 

ということは、

借主がその物件で

焼肉店を開業しても、

それは必ずしも「契約違反」とは

言えなくなってしまいます。

 

 

さらに、

契約書がないので、

特に賃貸借の期間というものも

定められていません。

 

 

この点、

こうした期間の定めのない

建物賃貸借の場合、

当事者はいつでも解約の申入れが

できるとされています。

 

 

そして、

貸主から解約の申し入れを

行った場合には、

解約の申し入れの日から

6ヶ月を経過することによって、

賃貸借契約は終了すると

されています。

 

 

ただし、

借地借家法という法律によって、

この貸主からの解約には、

厳しい条件が付けられています。

 

 

すなわち、

貸主が賃貸借契約の解約の

申し入れを行うためには、

建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない

とされているのです。

 

 

そして、

この「正当の事由」は、

裁判上でもなかなか認められず、

貸主にとっては大変大きな

ハードルになっています。

 

 

 

 

 

 

こうした賃貸借トラブルを予防するためには何が大切か?

要するに、

こうした建物などをいったん

他人に賃貸してしまうと、

そう簡単には契約を解除して

出ていってもらうことは

できない、

ということです。

 

 

Aさんとしては、

紹介者のBさんを

信用して契約したのに、

と言いたいところですが、

解約の「正当事由」を判断

するに当たっては、

そうしたことは考慮されません。

 

 

やはり、

どんなに信用できる人であっても、

自分の物件の賃貸借契約を

人任せにするということは、

大変リスクの大きいことです。

 

 

賃貸借契約というのは、

上記のとおりそう簡単に

貸主からの中途解約はできず、

ある程度長いおつきあいに

なるのですから、

借主の素性をきちんと

調べるということは大切です。

 

 

その上で、

当たり前ですが、

きちんとした賃貸借契約書を

作成しておくことです。

 

 

先ほど、

契約の成立には、

必ずしも契約書の作成は

必要ないと言いました。

 

 

しかし、

実際上、

契約書には重要なことが

決められます。

 

 

たとえば、

賃貸借契約であれば、

先ほど述べた賃貸目的、

賃貸借の期間、

賃料などなどです。

 

 

口約束では、

こうした重要なことが

取り決められず、

曖昧なままになって

しまいます。

 

 

契約の重要事項が

曖昧なままでは、

後々で借主との間で

トラブルになり、

「裁判沙汰」に発展する

危険があります。

 

 

この点、

のミッションは、

ということ。

 

 

冒頭の事例でも、

最初にきちんと

契約書を作成して、

賃貸目的を確認しておけば、

突然住宅街で焼肉屋を

開業されて驚く、

ということはなかった

はずです。

 

 

「裁判沙汰」を避けるためには、

きちんと事前に契約書を

作成しておくことは、

何より重要ですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、家賃を滞納する借主に対して、すぐに出ていってくれといえるかどうかか、こうした借主に出ていってもらう手順などについてお話しています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は終日自宅で仕事でした。
オンラインによる裁判期日や打ち合わせ、新規の法律相談などでした。
夕方は、息子の習い事(英会話)の送迎でした。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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