「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【仕事の準備、後片付け、移動時間】それって、労働時間??

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建設業など「現場仕事」の場合、

現場で仕事をする時間だけが

「労働時間」であると

誤解している方がいます。

 

 

しかし、

仕事前の準備時間や後片付けの時間、

現場までの移動時間も、

「労働時間」と評価される場合

がありますので、

注意が必要です。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 準備時間も「労働時間」??)

 

<毎日更新828日目>

現場にいる時間だけが労働時間??

私の顧問先の会社には、

建設業や造園業、

廃棄物処理業などの

いわゆる「現場仕事」の

業種も少なくありません。

 

 

こうした「現場仕事」の社長から、

こんな話を聞くことがあります。

うちの会社では、現場の仕事が午前8時から夕方5時まで、お昼に1時間休憩があるので、1日の労働時間は8時間です。

ところが、

よくよく聞いてみると、

問題がある場合があります。

会話

あの〜、御社の場合は、社員さんは現場に直行・直帰なのですか?

いやいや、いろいろと仕事前の準備がありますからね。
一応、午前7時に会社に来てもらって、道具をトラックに積んで、トラックで現場まで行ってもらいます。

会話

なるほど・・・・・。
帰りはどうなってますか?

帰りも同じで、現場が終わってからトラックで会社まで戻ってもらって、後片付けをしてから社員は帰ります。

会話

そうすると、現場での仕事時間以外に、前後でそれぞれ1時間ずつ、準備や後片付け、移動の時間がある、ということですね。

まあ、そうなりますね。
なにしろ、うちは現場仕事ですからねぇ。

会話

それは、労働時間8時間ではなくて、それを超えて2時間の時間外労働が発生している可能性がありますよ。

こんな風に、

現場で働いている時間だけが

「労働時間」だと誤解している

社長さんがおられます。

 

 

 

 

しかし、

現場仕事の場合は、

上記のように仕事前の準備時間

や後片付けの時間、

現場までの移動時間があり、

こうした時間も、

「労働時間」であると

判断される場合があります。

 

 

そこで、

そもそも法律上の「労働時間」

とは何なのか?

ということが問題に

なってきます。

 

 

この点、

「労働時間」とは、

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間

をいうとされています。

 

 

 

労働者は社員、

使用者は会社と置きかえても

良いでしょう。

 

 

社員が現場で仕事をしている時間が、

「指揮命令下に置かれている時間」

に当たることは争いないでしょう。

 

 

問題は、

上記の仕事前の準備時間や

後片付けの時間、

現場までの移動時間などが、

この「指揮命令下に置かれている時間」に

当たるかどうか、

ということです。

 

 

 

 

「労働時間」かどうかを判断する3つの要素

「使用者の指揮命令下に置かれている時間」

と言っても、

これだけでは抽象的で、

果たしてこれに

当たるかどうかが

はっきりしない

場合があります。

 

 

そこで、

「指揮命令下に置かれている時間」

かどうかを判断するにあたり、

具体的に主に次の3つの要素を

考慮して判断すべきだと

されています。

 

 

業務遂行に関する義務づけ

この点、

こうした事前準備や後片付け等の時間が、

会社からの個別的に指示や命令,

就業規則等の記載などによって、

明示的に義務づけられて

いるようなケース。

 

 

このように明示的に

義務づけられていれば、

それは「指揮命令下に置かれている時間」

に当たり、

したがって、

そうした時間が「労働時間」に

当たることは明らかです。

 

 

それでは、

このような明示的な義務づけが

ない場合はどうでしょうか?

 

 

この点,

明示的な義務づけがなかったとしても,

黙示的な義務づけがあったと

評価できる場合には,

やはり業務遂行に関する

義務づけがあると評価されます。

 

 

つまり、

そのような場合も、

「指揮命令下に置かれている時間」、

すなわち「労働時間」であると

判断されます。

 

 

黙示的な義務づけというのは,

簡単に言えば,

暗黙の了解というか,

それを行うことが当然であるという

社内の風潮や慣行が確立している状態。

 

 

つまり、

明確な指示や命令などがなくても、

使用者からの義務づけが

なされていると評価できる

ような場合のことを指します。

 

 

また,

黙示的な義務づけがあるとまでは

評価できないとしても,

業務遂行に関する義務づけが

あるとされるような場合も、

「指揮命令下に置かれている時間」

であるとされる場合があります。

 

 

これは、

たとえば、

明示または黙示の義務づけはなくても、

その行為(上記の例では事前準備や後片付け)

を行わないことによる不利益や

業務上の不都合等の

諸般の状況からして,

社員がその行為等を行わざるを

得なくされているような

場合を指します。

 

 

上記の例で見ると,

現場での建設業務という

性質からして,

事前準備や後片付け

(ないしはそのための移動時間)

について,

少なくとも黙示的な義務づけが

あったと言える事案でしょう。

 

 

また、

仮にそれがなかったとしても,

事前に会社に行ってトラックに

道具や資材を積み込んで現場に

転していくという行為を

やらなければ,

現場の仕事に支障が出ることは

明らかです。

 

 

ですから、

労働者はそうした行為を

行わざるを得ないものとして、

業務遂行に関する義務づけが

あると評価されるでしょう。

 

 

場所的な拘束性

社員が会社からの指示を受け,

ある一定の場所において

業務に従事していたかどうかも,

「使用者の指揮命令下に置かれている時間」

か否かの判断にとって

重要な要素となります。

 

 

たとえば,

作業服に着替える時間について。

 

 

仮に自宅で作業服を着て

現場に直行することが許されていた,

というような場合は,

作業服を着ることについての

場所的拘束性はありません。

 

 

ですから、

その時間は労働時間とは言えない

ことになります。

 

 

また,

現場まで行く時間については,

現場直行が許されているのであれば,

それは通常の通勤時間

(自宅から会社まで行く時間)

と変わりません。

 

 

ですから、基本的にはこの時間も

労働時間には当たりません

(ただし,

その移動時間の長さ等によっては

労働時間に該当する可能性もあります)。

 

 

しかし,

トラックに道具や資材を積んで

現場に行く必要があるという場合,

通常はそうした事前準備の作業は

会社で行わなければなりません。

 

 

ですから、

その場合は場所的拘束性があるとして,

その時間は

「指揮命令下に置かれている時間」

であると評価されやすいことに

なります(会社から現場までの以上時間も同様)。

 

 

その行為の業務性

さらに,

その問題となっている

行為の業務性も,

「使用者の指揮命令下に置かれている時間」

かどうかの重要な

判断要素となります。

 

 

この点,

上記の例のように,

現場で仕事をするための

事前の準備行為や,

事後の後片付けなどは,

やはり業務性の高い行為であると

評価されるでしょう。

 

 

ですから、

やはり

「使用者の指揮命令下に置かれている時間」 

と評価されやすい

ことになります。

 

 

しかし,

たとえば,上記の例で,

後片付けが終わった後に,

社長から

おい、ちょっと一杯行こう!

と誘われて飲みに行った

場合はどうか?

 

 

お酒を飲んでいる時間は

通常は業務性のある行為とは

されませんので,

その時間は「労働時間」には

当たらないということに

なります。

 

 

さて、

これらの要素から判断すると,

上記の事例では,

事前準備や事後の片付け,

また会社から現場間の往復の

移動時間などは,

「労働時間」に当たると

評価される可能性が高い

と考えます。

 

 

 

 

 

 

建設業2024年問題への影響

ここ数日、

このブログでも

取り上げていますが、

特に建設業の場合、

これは2024年問題に

影響してきます。

 

 

すなわち、

建設業について、

来年の4月1日から、

残業時間の上限規制が

適用されます。

 

 

具体的には、

残業は原則として月45時間、

年間360時間までと

されています。

 

 

ただし、

労使が特別に合意した場合には、

例外的にこれを超えて

残業させることができます。

 

 

しかし、

その場合でも、

以下の規制がかかります。

・年間720時間以内(休日労働は含まない)

・複数月平均で80時間以内(休日労働含む)

・月100時間未満(休日労働含む)

・月45時間を超えて良いのは年6回まで

 

 

しかし、

こうした事前準備や

後片付け等の時間が

「労働時間」であると

判断された場合、

これも残業の上限規制に

関わってきます。

 

 

いつの間にかこの

上限規制に違反していて、

労働基準法違反で摘発される、

といったリスクが出てきます。

 

 

さらに、

この問題を曖昧なままにしておくと,

将来社員から未払い残業代の

請求をされるという

リスクがあります。

 

 

特に,

残業代を含む賃金請求権の時効が

2年から3年に延長され,

それが今後は5年に

延長される予定です。

 

 

したがって,

これまで以上に過去に遡って,

多額の未払い残業代の請求を

受けるリスクが高まっている

と言えます。

 

 

金額が多額になれば、

交渉で話がまとまらず、

社員との間で「裁判沙汰」

になる可能性も

否定できません。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということ。

 

 

「裁判沙汰」を避けるためには、

この問題を曖昧なまま

放置しないことです。

 

 

たとえば上記の例のように,

事前準備や事後の片付け、

現場への移動時間などが

不可欠なものであるならば,

それらの時間もきちんと

労働時間に組み入れて,

就業規則等を整備し直して,

明確にしておくことが

重要であると思われます。

 

 

とまぁ、

今週は特に建設業の2024年問題

に焦点をあて、

社員の「労働時間」の問題を

深堀りしてきました。

 

 

建設業の社長さんにとっては、

結構耳が痛い内容だったかも

知れません。

 

 

ただ、

2024年問題は避けて

通れないし、

もう間近に迫っています。

 

 

やはりどこかで、

「現実と向き合う」

ということが必要だと

思います。

 

 

私は、

そんな悩める建設業の

社長さんを応援しています。

 

 

お困りごとや

不安なことがあれば、

ぜひご相談ください!

 

 

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ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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