飲食店が激混みする
平日のランチタイム。
実は、
ランチタイムの飲食店が混む原因は、
労働基準法にあったんです、
というお話しです。
(今日の「棒人間」 ランチタイムに並ぶのは「無駄」??)
<毎日更新892日目>
平日のランチタイムというのは、
飲食店は大変に混雑しますね。
私は、
一応自由業という立場ですので、
その日のスケジュールが許す限り、
お昼ご飯は12時から13時の
ランチタイムを避けるように
しています。
この時間帯に飲食店に入ると、
まず入る前に並ばなければ
ならない場合があります。
まず、
この並ぶ時間が無駄。
さらに、
お店に入って注文しても、
料理が出てくるまでに
時間がかかることが多い。
そんなこんなで、
1時間あるランチタイムも、
あっという間になくなって
しまいます。
会社員の方などは、
本当に大変だなあと
思います。
ただ、
大変なのは飲食店の利用者
だけではありません。
ご飯を提供するお店の側も、
これまた大変です。
お昼の12時から13時の間に
お客さんが集中する。
店内は大忙しで、
入りたくても入れない
お客さんがいたりすれば、
商売の機会損失にも
なります。
もっと、
お客さんが時間帯を
分散して来てくれれば、
お店の人も働きやすく、
機会損失も減るでしょう。
そもそも、
ランチタイムが混むのは、
日本の多くの会社が、
お昼の12時から13時の1時間を
お昼休憩の時間に設定している
からです。
なぜ、
お昼のこの1時間を休憩時間に
指定する会社が多いのかと言うと、
実はその原因の1つが「労働基準法」
という法律にあったのです。
労働基準法の34条2項で、
休憩時間は、一斉に与えなければならない
と規定されているのです。
ですから、
原則として、
ある会社のA部署は11時30分から
12時30分まで、
B部署は12時から13時まで、
C部署は12時30分から13時30分まで、
などと休憩時間を
変えることができない、
というわけです。
あるいは、
同じ会社でやはりその社員さん
ごとに休憩時間を変える、
ということもできません。
ただし、
職種によっては、
こうした社員の休憩時間を一斉に
与えるのが困難な場合もあります。
そこで、
例外的に、
運送業、
商業、
金融・広告業、
映画・演劇業などについては、
事業の性質上、
一斉付与が困難な事業として、
休暇を一斉に与えなくてもよい、
とされています
(労働基準法40条、労働基準法施行規則31条)。
さらに、
それ以外の業種であっても、
労働者の過半数で組織する労働組合が
ある場合はその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合が
ない場合は労働者の過半数を
代表する労働者との書面による
協定があるとき。
この場合も、
やはり休暇を一斉に
与えなくてもよい、
とされています。
ですから、
こうした協定を結んでおけば、
部署ごととか、
人ごとに違った休憩時間を
与えることもできる、
というわけです。
ところが、
今でも多くの会社は、
お昼の12時から13時の時間を、
休憩時間として「一斉に」
与えています。
なぜかと言えば、
その方が会社側にとって
「労務管理」がしやすい、
という面はあるでしょう。
そもそも、
なぜこのような休暇の一斉付与が
法律で定められているかと言うと、
これは戦前の「工場法」という法律で
とられていた原則を、
今の労働基準法でも採用した、
というのがその理由です。
つまり、
一昔前の工場で働く労働者を
想定して作られたのが、
この休暇の一斉付与の原則
というわけなのです。
かつての昭和の製造業全盛時代で、
大量の労働者を動員して工場で
物を作っていた時代には、
確かに休暇の一斉付与、
というのは一定の合理性が
あったのかも知れません。
しかし、
人々の価値観や働き方が多様化
している今の令和の時代に、
こうした休暇の一斉付与に
どの程度合理性があるのか
疑問です。
この休暇の一斉付与、
問題はランチタイムが混む
というだけではありません。
同じ会社で毎日同じメンバーと
連れ立ってランチに行く、
という人がいます。
本当に仲が良くて一緒に
ランチに行っているのなら
良いと思いますが、
それでも「毎日」となると、
どうなんでしょうね。
もし、
本当は休憩時間くらい1人で
好きに時間を使いたいのに、
同僚や上司との「連れランチ」に
行かざるを得ない、
としたらどうでしょう?
ちなみに、
私自身はこの
「連れランチ」が大嫌い(笑)
ランチはいつも1人で
出かけるのが基本で、
人と一緒にランチをするのは、
それこそ年に数回といった
レベルです。
まあ、
私は非常に「マイペース」な
人間ですからね。
それはさておき、
この半強制的な「連れランチ」も、
やはり休憩の一斉付与に
関係があると思いますね。
人ごとに休憩時間が違っていれば、
こういう問題も回避できるわけです。
IT技術が発達している現代であれば、
人ごとに休憩時間が違っていても、
「労務管理」にはそれほど大きな
支障はないものと思われます。
いずれにしても、
今の世の中に工場労働者を
想定して作られた法律を
漫然と適用するのも、
どうかと思いますね。
労働法も、
時代にあったものにリニューアル
してほしいものです。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。