「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「お金を払えば、社員を解雇ができる」はホント?ウソ?

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巷には、

「お金を払えば、社員を解雇できる」

という人がいますが、

法的には間違いです。

 

 

経営者としては、

正しい知識を身につけないと、

社員との「裁判沙汰」に陥る

危険がありますので、

注意が必要です。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 お金を払えば解雇できる??)

 

<毎日更新898日目>

お金さえ払えば、社員を解雇できる??

辞めてもらいたいと

思っている社員に、

会社を辞めてもらう「解雇」

 

 

この「解雇」の手続きに関しては、

いろいろな誤った情報が

巷にあふれている印象を受けます。

 

 

まず、

「日本の法律では、解雇はできない」

と思い込んでいる経営者の方がいます。

 

 

これは間違いで、

後で述べるとおり、

要件は厳しいですが、

その要件を満たせば「解雇」が

できないことはありません。

 

 

他方で、

先日、

ある有名な人が、

非公式の場ではありましたが、

 日本で解雇ができないと思っている人がいるが、あれはウソだ!

 日本は、「お金」さえ払えば解雇できるんだ!

と言っている場面がありました。

 

 

この、

「お金さえ払えば、社員を解雇できる」

という人も、

結構世の中にいます。

 

 

果たしてこの、

「お金さえ払えば、社員を解雇できる」

というのは、

法的に正しいのでしょうか?

 

 

 

社員を解雇するための法的な要件

このブログでも、

何度かお伝えしているとおり、

社員を解雇するためには、

それなりの法的なハードルが

あります。

 

 

すなわち

日本では、

労働契約法16条で、

社員の解雇について

次のように規定されています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

すなわち、

日本の法律では、

社員を解雇するためには、

①解雇の客観的合理的理由
②解雇の社会通念上の相当性

という2つの要件が必要で、

この要件を満たしていない解雇は、

法的には「無効」である

とされるわけです。

 

 

そして、

①の解雇の客観的合理的理由とは、

労働者の能力不足、

義務違反、

あるいは経営上の必要性等、

解雇を正当化できるだけの

理由を意味します。

 

 

ただし、

単にこうした理由があればよい、

というものではありません。

 

 

「解雇の客観的合理的理由」

と言えるためには、

これらの理由が相当程度

重大なものである

必要があります。

 

 

さらに、

②の解雇の社会通念上の相当性は、

個々の社員の事情に照らして、

「解雇」という処分が重すぎないか、

会社ができる限り解雇を避ける努力

をしたかどうか、

などの要素で相当性があるか

否かが判断されます。

 

 

そして、

実際に裁判の場になると、

こうした解雇の有効性は

厳しく判断され、

なかなか解雇が有効とは

認められません。

 

 

このように、

日本の法律ではそう簡単に

社員を解雇することは

できないのです。

 

 

そして、

こうした要件を満たして

いないにも関わらず、

「お金を払えば社員を解雇できる」

ということはありません。

 

 

つまり、

我が国では、

お金を支払って社員を解雇

にするという法的な制度は

存在しないわけです。

 

 

ですから、

「日本では、お金を払えば社員を解雇できる」

というのは、

法的には間違い、

ということになります。

 

 

 

 

 

お金を出して辞めてもらう、という方法について

とは言え、

世の中、

企業経営の実務として、

事実上社員にお金を払って

会社を辞めてもらう、

という方法が取られることは

あります。

 

 

この点、

もし会社が社員を解雇すると、

後々その社員から

裁判を起こされて、

「不当解雇」だと争われる

可能性があります。

 

 

そして、

裁判所において、

上記の解雇の要件を

満たしていないと

判断されると、

解雇は無効となって

しまいます。

 

 

その場合、

解雇して裁判で争われていた

1年くらいの期間の給料を、

会社はバックペイとして

支払わなければならなく

なります。

 

 

そこで、

そうしたことを見越して、

辞めてもらたいと思う社員と、

事実上交渉をするわけです。

 

 

その際に、

たとえば、

辞める際の退職金に、

給料の半年分くらいを

上積みして提案する、

というやり方が取られる

ことがあります。

 

 

こうしたやり方は、

解雇を強行して、

後で「不当解雇」で裁判で

争われるよりも、

よほど企業として合理的な

方法だと思います。

 

 

ただ、

気をつけなければならないのは、

この場合はあくまで任意の

「交渉」であって、

交渉相手である社員の承諾が

得られた場合のみ、

このような解決方法が功を奏する、

という点です。

 

 

その際、

社員があくまで

「会社を辞めたくない」

とがんばった場合は、

いくらお金を払っても、

社員に強制的に辞めて

もらうことはできません。

 

 

あくまで、

「交渉の手段」として、

「お金」を支払っているに

過ぎません。

 

 

この点は注意が必要です。

 

 

いずれにしても、

社員の解雇の問題は、

モメると社員との間の

「裁判沙汰」になりやすい

デリケートな問題です。

 

 

やり方を間違えると、

社員との「裁判沙汰」の泥沼に

なる危険があります。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということです。

 

 

「裁判沙汰」

を避けるためには、

安易に

 お金を払えば社員を解雇できるんだ!

と思い込むことは

大変に危険です。

 

 

この辺、

経営者として正確な知識を

身につけておきたいものですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

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今回は、社員が会社の顧客を奪って独立! こうしたトラブルを避けるためには? 「競業避止義務」をどう活用するか?というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、早朝から、渋谷区倫理法人会経営者モーニングセミナーに参加。
その後は、同じ渋谷区内の顧問先を訪問して打ち合わせ。
その後は、渋谷で食事と買い物。
午後は事務所に出て仕事、お客様と面談、今度の裁判所での和解協議の打ち合わせなどでした。
夕方は早めに帰って、息子の習い事(美術教室)の送迎しながら、合間に自宅で仕事。顧問先の就業規則作成など。
夜は夕飯作りを担当しました。得意のドライカレーを作って好評でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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