「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【着替え時間は労働時間?】賃金支払義務のある「労働時間」とは??

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店舗などで、

営業開始前の「着替え」の時間は

「労働時間」にあたるのか?

 

 

このように、

「労働時間」にあたるか

どうかが微妙な時間と

いうものがありますが、

こうした時間をあいまいな

ままにしておくことは、

リスクがあります。

 

 

 

(今日の「棒人間」 着替えの時間は労働時間??)

 

<毎日更新899日目>

イケアで、「着替え」の時間の賃金が未払い??

 仕事用の制服に着替える時間は、「労働時間」なのか???

家具販売店で有名な

イケアが・ジャパンが、

なんと2006年の開業以来、

店舗従業員の制服への

着替えを労働時間に

含めていなかった、

ということが問題となっています。

 

 

この点、

厚生労働省が定めている、

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

というものがあります。

 

 

この中で、

使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した 後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

は、

「労働時間」に該当する、

とされているのです。

 

 

労働組合「東京管理職ユニオン」が、

昨年9月から、

着替えの時間を労働時間に

含めるように、

イケアと団体交渉を

行っていたそうです。

 

 

その後、

イケアでは、

今年の9月から、

着替えを一律5分とみなして

労働時間に含めるとの

ルール改定を行い、

従業員に通知したそうです。

 

 

イケアの店員さんが、

店舗で接客等の仕事に

従事している時間が

「労働時間」に当たることは、

誰も疑いを持たないでしょう。

 

 

ところが、

そうした本来の業務以外の、

制服への着替えの時間などが

「労働時間」にあたるかどうかは、

少し微妙な部分もあります。

 

 

「着替え」などは、

ごく短時間のことなので、

多くの職場ではスルー

されてきていた部分があります。

 

 

この問題は、

多くのサービス産業などに

影響を与える可能性があります。

 

 

「労働時間」かどうかをどう判断するか??

ここで、

そもそも法律上の「労働時間」

とは何なのか?

ということが問題に

なってきます。

 

 

この点、

「労働時間」とは、

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間

をいうとされています。

 

 

 

労働者は従業員、

使用者は会社と置きかえても

良いでしょう。

 

 

従業員が現場で仕事をしている時間が、

「指揮命令下に置かれている時間」

に当たることは争いないでしょう。

 

 

問題は、

上記の仕事前の着替えの時間などが、

この「指揮命令下に置かれている時間」に

当たるかどうか、

ということです。

 

 

まず、こうした「着替え」の時間が、

会社からの個別的な指示や命令、

就業規則等の記載によって、

明示的に義務づけられていた

場合です。

 

 

このように、

明示的に義務づけられていれば、

それは

「指揮命令下に置かれている時間」

であり、

「労働時間」にあたることは

明らかでしょう。

 

 

上記の厚労省のガイドラインでも、

使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え

とはっきり記載されて

いるわけです。

 

 

問題は、

そのような明示的な

義務づけがなかった場合は、

どうなるのか?

ということです。

 

 

たとえば、

もし仮に、

明示的な義務づけが

なかったとしても、

社内では暗黙の了解というか、

それを行うことが当然

であるという風潮や慣行が

確立している場合があります。

 

 

あるいは、

そこまで言えなくても、

それをやらないと

業務上不都合が生じる

ような場合、

諸般の状況からして、

社員がその行為等を

行わざるを得なくされて

いるような場合もあります。

 

 

こうした場合も、

法的には、

黙示的な義務づけがあるとか、

業務遂行に関する義務づけが

あるとされて、

こうした時間も

「指揮命令下に置かれている時間」

と判断される傾向にあります。

 

 

 

 

 

「未払い賃金請求」のリスク

この問題が怖いのは、

もしこうした

「着替え」の時間が、

後から「労働時間」に

含まれるとされた場合、

その分の賃金をまとめて

支払わなければならなく

なることです。

 

 

上記のイケアの場合でも、

従業員は全国で約3800人いて、

中には未払い額が数万円に

上る従業員もいるとのことです。

 

 

そうすると、

たかが「着替え」の時間とは言え、

後から莫大な金額の

未払い賃金を支払わなければ

ならないということになります。

 

 

ですから、

この「着替え」の時間も含めて、

「労働時間」かどうかが

明確でない時間を

あいまいなままにしておく

ことは危険です。

 

 

このブログでも過去に

取り上げましたが、

たとえば現場仕事における準備や

後片付けの時間、

会社から現場までの移動時間なども、

まったく同じ問題があります。

 

 

【仕事の準備、後片付け、移動時間】それって、労働時間??

 

 

この問題を放置していると、

後から従業員との間で

未払い賃金をめぐるトラブルとなり、

最悪は「裁判沙汰」に陥る

危険があります。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということ。

 

 

従業員との間の「裁判沙汰」を

予防するためには、

一度こうしたあいまいな時間が

「労働時間」にあたるかどうかを

きちんと吟味する必要が

あると考えます。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

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昨日は、終日在宅勤務。
Voicy、ブログ、YouTubeの動画編集などのルーティンのほか、顧問先の就業規則作成などでした。
夕方は息子の習い事(空手)の送り。
夜は、息子がお友達のお宅にお呼ばれだったので、1人で近所の居酒屋で夕食でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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