「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「タバコ休憩」は休憩時間?それとも労働時間?

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仕事中にタバコを吸いに行く

「タバコ休憩」

 

 

喫煙者に対する風当たりが

強まっている昨今、

「タバコ休憩」は不公平だ

という声をよく聞きます。

 

 

法律的に見ると、

この「タバコ休憩」は

休憩時間か、

労働時間か、

どちらでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 タバコ休憩は不公平??)

 

<毎日更新910日目>

「タバコ休憩」は不公平??

うちの会社では、1日に何度もタバコ休憩と称して、仕事中にタバコを吸いに外に出ている人がいます。
タバコを吸わない私たちは、そんな休憩時間はないのに、これって不公平ではないですか?

今の世の中、

喫煙者に対する風当たりは

ますます強くなっています。

 

 

実は私、

約10年前までは喫煙者、

それも1日2箱くらい吸う

まぁまぁなヘビースモーカー

でした。

 

 

事務所で仕事中も、

時おり外に抜け出して、

タバコを吸いに行って

おりました(汗)。

 

 

確かに、

1回タバコを吸いに行くと、

5分程度時間がかかりますので、

1日に何度も吸いに行くと、

結構な時間の「タバコ休憩」を

とることになるわけです。

 

 

そうなると、

タバコを吸わない

社員さんから見れば、

確かに「不公平」だと

感じるかも知れませんね。

 

 

実際、

上記のような喫煙者

に対する苦情は、

よく耳にすることが

あります。

 

 

1回1回は大したことの

ない時間ですが、

回数が重なると

結構な時間になる

「タバコ休憩」。

 

 

この「タバコ休憩」は、

法的に休憩時間なのでしょうか?

それとも労働時間なのでしょうか?

 

 

 

「タバコ休憩」は休憩時間か?労働時間か?

もし、

「タバコ休憩」が

休憩時間だとすると、

会社としては、

その時間は賃金の

支払い義務がない、

ということになります。

 

 

実は、

この問題は、

社員が会社に対して

未払い残業代を請求します。

 

 

逆に会社がこれに

対抗する主張として、

「タバコ休憩」は

労働時間ではないのだから、

その分は賃金を減額すべきだ

という反論として出てきます。

 

 

この問題に関する裁判例は

どうなっているかというと、

ケースによって判断が

分かれています。

 

 

ある裁判例では、

居酒屋の店長が、

アルバイト店員と一緒に

勤務していて、

店舗の中の更衣室兼倉庫で

この店長が「タバコ休憩」を

とっていたというケースです。

 

 

このケースでは、

アルバイト店員だけでは

対応できない場合には、

店長が「タバコ休憩」中でも

直ちに対応しなければ

ならなかったとようです。

 

 

そこで、

このような時間は実労働に

従事していなくても、

「休憩時間」と見る

ことはできない、

と判断しています。

 

 

この点は、

労働法上、

労働時間とはどんな時間か

という問題が関わってきます。

 

 

「労働時間」とは、

 労働者が、使用者の指揮命令下に置かれている時間

を言うとされています。

 

 

これは、

実労働に従事している

時間だけではなく、

一見休憩時間のように

見えても、

それが労働者のまったくの

自由時間ではないという時間。

 

 

すなわち、

「何かあったら対応しなければ

ならない時間」であれば、

そのような時間も

「使用者の指揮命令下に

置かれた時間」ということに

なります。

 

 

この基準によって、

上記の店長の「タバコ休憩」は

休憩時間ではなく、

労働時間と判断された

ということです。

 

 

他方で、

これとは逆の判断を

した裁判例もあります。

 

 

こちらの裁判例は、

コンビニエンスストアの店長が

「タバコ休憩」をとっていた

ケースです。

 

 

こちらのケースでは、

1日に4〜5回以上、

勤務していた店舗を出て、

所定の喫煙場所まで行って

タバコを吸っていた

とのことです。

 

 

この店長は、

「タバコ休憩」のために

一度店舗を出ると、

戻るまでに10分前後を

要していたことが

多かったそうです。

 

 

このケースで、

裁判所は、

喫煙場所が勤務店舗から離れていることや、

喫煙のための時間を考慮すると、店長が喫煙場所までの往復に要する時間及び喫煙している時間は、会社の指揮命令下から脱していたと評価するのが相当であり、昼食休憩にこれら時間を加え、店長は、1日に1時間の休憩を取得していたとするのが相当である。

と判断しています。

 

 

この辺は、

要するに、

「タバコ休憩」が

「労働者が使用者の指揮命令下

に置かれた時間」に当たるか

どうかは、

程度問題という部分が

あります。

 

 

要素としては、

1日に何回くらい

「タバコ休憩」をとっているか、

喫煙場所が、

職場の中にあるのか、

それとも職場から離れた

場所にあるのか、

1回のタバコ休憩に要する

時間などを考慮して

断されるようですね。

 

 

 

「タバコ休憩」をどう考えるか?

確かに、

職場から離れた場所で

1回10分程度の

「タバコ休憩」を

1日に何度も取れば、

結構な時間を「タバコ休憩」の

ために費やしていることに

なります。

 

 

他方で、

いくら喫煙者に厳しい

時代だからといって、

会社が「タバコ休憩」を

一切禁止するというのも

やり過ぎです。

 

 

「タバコ休憩」であっても、

適度な時間や回数の

休憩であれば、

逆に仕事の効率を向上

させる効果も期待できます。

 

 

この辺は、

たとえばトイレ休憩とか、

お茶など飲み物を買いに

行く休憩なども、

同じことが言えるでしょう。

 

 

あまり窮屈な形ではなく、

社員がリラックスして

仕事ができる環境の整備も、

会社としては必要なことです。

 

 

他方で、

確かに、

あまりにも「タバコ休憩」が

多いなどして、

業務に支障が出る場合には、

一種の「職務専念義務違反」

となり得ます。

 

 

その場合には、

会社としては、

もう少し「タバコ休憩」を

減らすなどの業務指示を

行うことが可能でしょう。

 

 

月並みではありますが、

タバコを吸う人も、

吸わない人も、

不公平感や過度な束縛感を

感じることなく働ける

職場になるよう、

配慮したいものです。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

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昨日は伊東に一泊。
月曜日ですが、息子の小学校が振替休日だったので、家族で旅行に来ました。
帰りに鎌倉観光をして帰ってきました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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