一度作った就業規則を、
後生大事に長年
しまい込んでいる、
というケースがあります。
実は、
就業規則も「生きもの」であり、
労働条件の変更や法改正に
対応してアップデートしないと、
会社にとって思わぬリスクに
なることがあります。
(今日の「棒人間」 古いままの就業規則はダメ??)
<毎日更新965日目>
あの〜、退職金規程に基づいて、退職金を支払ってもらいたんですが・・・
先日、
お父様から会社の経営を
引き継いだというある
2代目の社長さんから
ご相談を受けました。
社長としては、
しばらく会社の経営が
安定するまで、
社員の退職金制度は
導入しないつもりでいました。
ところが、
お父様の代から勤めている
ある古参の社員がこのたび
退職することに
なったそうです。
そして、
この社員から、
退職金の支払いを請求された、
とのこと。
社長は、
慌てて会社の就業規則を
確認しました。
大きな声では言えないのですが、
この就業規則は、
お父様が社長の時代に、
もう30年くらい前に
作られた就業規則で、
実は今の社長が就業規則の
内容を読むのは初めて。
すると、
なんと退職金規程というものが
存在していた。
退職金制度はもうけていない、
と思っていた
今の社長からすると、
まさに「寝耳に水」の話です。
社長としては、
これは父親の代に作った
かなり昔のものだから、
こんな退職金規程は無効だ、
と主張したいようです。
しかし、
適法に成立した
就業規則というものは、
社員との間の労働契約の
内容となるものですから、
現社長が一方的に無効だと
主張できるものでは
ありません。
このように、
古い就業規則を
そのままにしていると、
実はさまざまな
リスクがあるのです。
しかし、
実際に多くの中小零細企業で、
一度作った就業規則を
後生事にしまいこんでおり、
その後まったく内容のチェックも、
リニューアルもしていない、
というケースがあります。
古いままの就業規則を
放置しておくことは、
さまざまなリスクがあります。
1つは、
上記の例のように、
そもそも過去の就業規則の内容と、
今現在の労働条件が異なっている
可能性があることです。
退職金などの賃金の
問題だけではなく、
出勤時間や退勤時間などの
労働時間に関する事項も、
過去の就業規則とは変化
している場合があります。
そのような場合に、
就業規則も今の労働条件に
合わせて改定する、
ということをしないと、
過去の就業規則に記載された
労働条件が優先してしまう
可能性があります。
それだけではなく、
労働をめぐる法律も
頻繁に改正されます。
特に、
2019年からの働き方改革
関連法などの影響で、
ここ最近は、
多くの法改正が
なされています。
たとえば、
労働時間の上限規制、
有給休暇の取得義務、
労働時間の客観的な把握、
育児・介護休業法の改正、
などなど、
法改正に合わせて
就業規則を改定しなければ
ならないものも
多くあります。
さらに、
パワハラ防止法(大企業は2020年6月から、
中小企業は2022年4月から)によって、
会社のパワハラ対策が
義務化されており、
ハラスメント防止規程などを
整備する必要もあります。
労働条件の問題にしろ、
法改正の問題にしろ、
就業規則を古いままで
放置していると、
上記の退職金の問題のように、
社員との間のトラブルの
原因になります。
社長が、
就業規則の内容を
きちんと把握して
いなかったとしても、
古いままの就業規則が適用されて、
社内で混乱が生じることが
あります。
最悪の場合には、
社員との「裁判沙汰」に
陥る危険もあります。
この点、
私のミッションは、
ということ。
社員との間の「裁判沙汰」を
予防するためには、
就業規則を古いままで
放置しておくことは危険です。
きちんと現状にあったもの、
法改正に対応した就業規則に
「リニューアル」することが
欠かせません。
そんなわけで、
一度御社の「就業規則」の
見直しをすることを
お勧めします。
そして、
不安がある場合には、
社労士は弁護士などの専門家に
相談するようにしてください。
会社というものは「生きもの」で、
そこで働く社員さんも「生きもの」
そうであれば、
会社と社員との間のルールを
定める就業規則も、
当然「生きもの」なのです。
古くなって「故障」
している部分はないか、
定期的なメンテナンスを
心がけたいものです。
それでは、
また。
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。