「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【社員が会社のすすめるセミナーに参加】これって労働時間?

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最近、

社長さんが社員さんを連れて

セミナーに参加する、

という姿をよく見かけます。

 

 

これは会社にとっては

一定のメリットがあります。

 

 

他方で、

社員さんの立場に立ってみると、

このセミナー参加の時間は

「労働時間」にあたるのかどうか、

気になるところだと思います。

 

 

 

 

(とあるセミナーの様子@福岡)

 

<毎日更新633日目>

社員が休日にセミナー参加、これって労働時間?

少し前に、

あるセミナーで登壇した時の話です。

 

 

それは、

主に経営者の方向けに、

社員さんとの法的なトラブルを

予防するにはどうしたら良いか?

というテーマでお話ししました。

 

 

そのときに、

ある会社の社長さんが、

人事担当の社員さんを一緒に連れて

参加してくれました。

 

 

最近このようなケースをチラホラ見かけます。

 

 

私が受講者として受けるセミナーなどでも、

社員さんを一緒に連れて参加している

社長さんが時々います。

 

 

経営者向けのセミナーに社員さんも

一緒に参加してもらうメリットは、

社長が社員さんとの間で

 情報を共有できる

というものでしょう。

 

 

社長だけがセミナーを受けて、

会社に戻って

この前、とても良いセミナーを受けた。
だから、うちの会社でも今度●●に取り組もう!

 と言っても、

なかなか社員さんに伝わりません。

 

 

社員さんは内心、

 また社長がおかしなセミナー受けてきて、影響されてなんか変なこと言い出してるぞw

とうんざりしているかも

知れません。

 

 

しかし、

社員さんも一緒にセミナーを受けてもらう、

ということになれば、セミナーの内容や

意義を社長から社員さんに伝える、

という作業が不要になります。

 

 

むしろ、

社員さんも同じ情報や問題意識を共有でき、

優秀な社員さんであれば、

いちいち社長から指示されなくても、

自分で考えて動く、

ということも可能になります。

 

 

そうなれば、

会社組織全体としてみれば、

大変にコストパフォーマンスが

良くなる、というわけです。

 

 

ただ、

もし休日に社員さんが社長と一緒に

セミナーに参加したとすれば、

この時間は「労働時間」に当たる

のでしょうか?

 

 

もし仮に「労働時間」に当たるとすれば、

残業代、すなわち休日の割増賃金を

支払わなければならないことになります。

 

 

社長からしてみれば、

 そんなバカな!セミナー代は社員の分も俺が負担しているのに!

と思うかも知れません。

 

 

しかし、それは関係ない、

というか、

社長が参加させているのであれば、

社員のセミナー代を会社が

負担するのは当然のことです。

 

 

 

 

 

 

「自主的な参加」と言えるかどうかの判断基準

そもそも労働時間とは,

どのような時間を言うのでしょうか?

 

この点,裁判例では,

「労働者の行為が会社の指揮命令下に置かれた」ものと客観的に評価できる時間が労働時間に当たる

とされています。

 

客観的に決まるというのは,

たとえば就業規則や労働契約の定めが

どうなっているかによって形式的に

決まるのではないということ。

 

 

あくまでケースバイケースで,

その実態を見て会社の指揮命令下に

置かれていたかどうかが判断される

という意味です。

 

 

たとえば,社長が命令でセミナーへの

参加を社員に義務付けた場合は,

当然指揮命令下に置かれた時間と

評価されます。

 

 

ですから、セミナー参加の時間は

労働時間となり,給料(割増賃金)

の支払いが必要となります。

 

 

また,仮に建前上は自由参加とされて

いたとしても,

参加しなかったときに給料が減額されるとか,人事評価がマイナスになる等の不利益な取り扱いを受ける場合

こんな場合も,実質的には参加が強制

されていたといえ,労働時間と判断

されることになるでしょう。

 

 

ですから,先程の例で言えば,

社長が社員にセミナー参加を命じた,

あるいは事実上社員が参加することが

強制されていたような場合には,

給料を支払う必要があることになります。

 

 

他方で、セミナーは、その内容によっては、

社員さんにとって大きな学びになったり、

社員さん自身のキャリアアップに

つながることもあります。

 

 

つまり、社員さんが自主的に参加したい、

と希望することも十分にあり得ることです。

 

 

もし仮に、社員の参加が完全に自由であれば,

それは「会社の指揮命令下に置かれた」

ものとは言えない場合もあるでしょう。

 

 

その場合は、セミナー参加の時間は

労働時間とは言えず,給料を支払う

必要はないということになります。

 

 

要は、わかりやすく言えば、

事実上その参加が

 「強制」だったのか、「自由」だったのか

という点がポイントになります。

 

 

この辺は、ケースバイケース

と言わざるを得ないでしょう。

 

 

ただ、私は、結局のところ

社員のセミナー参加が自由か強制かは、

会社(社長)と社員との関係性が

大きく影響するのではないか、

と思います。

 

 

特に、

顔が見える中小零細企業の場合、

社長と社員との関係性が良好で、

相互にしっかりとした信頼関係がある場合。

 

 

この場合には、

社員さんにとってもメリットのある

セミナーに参加した場合、

社員さんは

 あれは強制されたんだ!

とは普通は言わないでしょう。

 

 

ところが、

社長と社員との関係性が良くなくて、

しかも社長がワンマンで、

なかなか普段から社長に意見も言えない、

そんな雰囲気では、たとえ社員が

表面上は自主的に参加していたとしても、

 あれは実は強制だった、嫌だったけど断れなかった・・・

ということになりがちです。

 

 

結局のところ、

中小零細企業においては、

この手の問題は、

社長と社員さんとの普段の関係が

モノを言ってくる、というわけです。

 

 

やはり、

社員さんとの信頼関係の構築

これに勝る労務対策はないですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 会社がすすめる社員へのセミナー参加は、「労働時間」となる可能性があるので注意が必要!

ということです。

 

 

あ、ところで、

私のセミナーに参加してくださった

会社の方は、社長さんもとても

良い方で、社員さんも学ぶ意欲が

とても旺盛な方でした。

 

 

この社長さんと社員さんは関係も

良さそうで、しっかりとした信頼関係も

ありそうでしたので、

「自主的か強制か」云々なんて話は

問題にならないように感じました(^ ^)

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、中小零細企業が押さえておきたい個人情報保護法、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、朝早起きして10キロランニング。
午前中は事務所に出勤して仕事、午後は四谷で珍しくリアルの会議に参加、その後夕方からは同じく四谷の別の場所で打ち合わせなどでした。

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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