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渋谷の弁護士吉田悌一郎

借りていたオフィスが競売に?出ていかなければならないのか?

不動産賃貸

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会社のオフィスとして

借りていた建物が、

競売にかけられて、

競売で買い受けた新しい

所有者から出ていくように

請求された。

 

 

そのような場合、

出ていかなければ

ならないのでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 突然の差押えに慌てる??)

 

<毎日更新966日目>

借りていたオフィスが競売に?

先日、

知り合いのA社長から

緊急のご相談の

ご希望が入りました。

 

 

A社長の会社では、

ビルの1室を借りて

そこをオフィスにして

使っています。

 

実は、ちょっと困ったことがおきまして・・・。

会話

A社長、いったいどうされました?

実は、うちの会社がオフィスとして借りているビルが、貸主が借金を返済できないということで、競売にかけられてしまったのです。

会話

なるほど。それで、どうなりましたか?

先日、そのビルを競売で買い受けたという新しい所有者がやってきて、このビルを明け渡してほしい、というのです。

会話

なるほど、そうだったんですか。

この場合、うちは明け渡さなければならないのでしょうか?

会話

そのビルには、抵当権がつけられていたのでしょうか?

はい、確かそうだと聞いています。

会話

その先後関係をうかがいたいのですが、そのビルに抵当権がつけられたのは、社長の会社がそのビルをオフィスとして借りる前のことですか?

それが、私も入居するときによく確認しなかったのですが、どうも私どもの会社が入居するときには、そのビルには金融機関の抵当権がつけられていたようなです。

会話

そうですか。
残念ながら、それが事実だとすると、今回は新所有者の請求があれば、社長の会社はビルを明け渡さなければならないことになります。

そ、そうなんですか・・・。

会話

抵当権がつけられた物件を借りる際には、こういうリスクがあるのです。

と言いますと?

会話

物件に抵当権がつけられているということは、物件の所有者、つまり貸主が金融機関からお金を借りていることを意味します。

なるほど。

会話

そういう物件は、将来的に所有者が金融機関に借りたお金を返せなくなったら、金融機関から抵当権を実行されて、物件を競売にかけられてしまうリスクがあるわけです。

そうだったんですね〜。

会話

そうなんです。ですから、借りる際に、その賃借物件に抵当権がつけられているかどうかを確認することが必要です。

そこをよく確認しなかったのですよね〜。

会話

残念ながら、抵当権がつけられているとわかっていて、その物件を借りた場合は、そうしたリスクを分かった上で借りているので、競売で買い受けた新所有者の方が優先してしまう、というわけです。

 

賃借人が出ていかなければならない場合とは?

例えば、

ビルの1室を所有して

いるオーナーが、

その部屋を賃借したとします。

 

 

その後、

オーナーが借金が返せなくなって、

そのビルを債権者から

差し押さえられて、

競売にかけられたとします。

 

 

競売というのは、

借金などが返せなく

なった場合に、

その人が持っている

不動産を裁判所が

差し押さえて、

 

 

それを強制的に

売却してお金に替える、

という手続きです。

 

 

もし、

このビルに、

債権者の抵当権が

つけられて

いなかった場合。

 

 

この場合は、

ビルが競売されて、

所有者が変わったとしても、

借りている賃借人は、

特に出ていく必要は

ありません。

 

 

この場合は、

賃借人は、

自分の建物賃借権という権利を、

競売で買い受けた新所有者に

対しても主張できる、

という関係になるからです。

 

 

ところが、

このビルに金融機関の

抵当権がつけられており、

金融機関が抵当権を実行して、

競売がなされた場合は、

少し話が違ってきます。

 

 

抵当権というのは、

たとえば金融機関が

お金を貸す際に、

もし返せないときに

その不動産を競売して

優先的に貸した

お金を返してもらえる、

という権利です。

 

 

この場合は、

不動産に抵当権の

設定登記がなされるので、

この物件に抵当権が

ついていることは、

誰でも調べればわかります。

 

 

もし、

ビルが賃貸に出された後で、

金融機関の抵当権が

設定された場合。

 

 

この場合も、

ビルを借りている賃借人は、

抵当権が実行されても

出ていく必要はありません。

 

 

同じく賃借人は、

自らの建物賃借権を

主張できることになります。

 

 

というのは、

抵当権をつける

金融機関としても、

その時点で物件が

賃借されていて、

賃借権を主張する人が

いることを認識した上で

抵当権を設定している

からです。

 

 

つまり、

金融機関としても、

抵当権を実行して

競売する段階で、

借主から賃借権を

主張されることを

予測できるわけです。

 

 

反対に、

すでにビルに抵当権が

設定された後で、

賃借人がこのビルを

借りた場合は

どうでしょうか?

 

 

この場合は、

抵当権が実行されて、

競売にかけられると、

 

 

賃借人は、

競売で買い受けた

新所有者に対して、

建物抵当権を主張

することができません。

 

 

つまり、

新所有者から

建物明渡の請求をされると、

出ていかなければならない、

という結論になります。

 

 

この場合、

抵当権をつける段階で、

賃借人がいませんので、

金融機関としては、

将来抵当権実行の段階で、

その物件の賃借権を

主張する人がいることを

予測できません。

 

 

他方で、

賃借人としては、

借りる際にその物件の

登記を調べれば、

その時点で抵当権が

設定された物件だ

ということがわかります。

 

 

ですから、

賃借人は、

将来抵当権が実行されれば、

新所有者から建物の

明渡しを求められる

リスクがあることを

予測できるわけです。

 

 

以上を図にまとめると、

次のようになります。

 

 

オフィス物件を借りる際の注意点

というわけで、

会社として、

オフィスを借りる際には、

注意しなければ

ならないことがあります。

 

 

それは、

その借りる物件の

登記情報を調べて、

抵当権が設定されているか

どうかを確認することです。

 

 

もちろん、

抵当権が設定されている

物件を借りない方がよい、

とまでは言えません。

 

 

場所的にも、

賃料的にも魅力的で

好都合な物件かも

知れません。

 

 

しかも、

抵当権を設定されていても、

賃貸人(所有者)が

ちゃんと借金を

返済していれば、

特に抵当権を実行される

ことはありません。

 

 

ただし、

上記のように、

万が一賃貸人(所有者)の

借金返済が滞り、

金融機関から抵当権を

実行されて、

競売にかけられた場合。

 

 

その場合には、

競売でその物件を

買い受けた新所有者から

建物明渡を請求されると、

それに従って出て

いかなければならなく

なります。

 

 

滅多にない話とはいえ、

いきなり会社のオフィスを

移転してくれと言われても、

普通の会社では大変

困るでしょう。

 

 

大切なことは、

そのようなリスクを

きちんと理解した上で、

オフィスを賃借することだと

思います。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

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昨日はクリスマス。ということで、息子はいつもよりも30分も早く目覚め、クリスマスツリーの下にあるプレゼントを確認。サンタさん、今年も無事にきてくれたようでした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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