「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

建物明渡の裁判の途中で借主が死亡、どうしたら良いか?

裁判

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裁判の途中で、

裁判の相手方が亡くなって

しまうことがあります。

 

 

その場合、

裁判は終了して

しまうのでしょうか?

 

 

終了しないとすると、

その裁判はどうなって

しまうのでしょうか?

(今日の「棒人間」 裁判の引き継ぎは辛い??)

 

<毎日更新1039日目>

建物明渡請求の裁判の途中で借主が死亡

民事裁判をやっている最中に、

相手が亡くなってしまう

ということがあります。

 

 

そんなとき、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

都内で、

不動産賃貸業を営む会社の

社長であるA社長より、

先日ご相談を受けました。

実は、我が社で管理している賃貸物件で困った借主がいまして。

会話

なるほど、どんな借主なんですか?

それが、高齢の一人暮らしの人なんですが、もう半年分も家賃を滞納していまして。

会話

半年分とは、ずいぶん大きいですね。

そうなんです。保証人に請求しても連絡が取れなくて。
そこで、仕方なく賃貸借契約を解除して、建物の明渡しを請求する裁判を起こしたんです。

会話

なるほど、建物明渡の裁判を起こしたわけですね。まあ、家賃半年の滞納ということなので、普通なら契約解除と明渡しは認められるでしょうね。

ところが、裁判の途中で、なんとこの借主が亡くなってしまったんです。

会話

亡くなられた???

はい。なんでも、後から聞いた話では、この借主が、夜中に急に体調が悪化して、自分で救急車を呼んで病院に搬送されたそうなんですが、その搬送先の病院で亡くなったとのことです。

会話

そうだったんですね。

こういう場合って、私が起こした裁判はどうなるんですかね?

会話

そうですね、民事裁判で当事者が亡くなった場合は、いったん訴訟手続きは中断します。
そして、亡くなった方の相続人に裁判の手続を引き継いでもらう手続きを行なった上で、裁判の続きをやることになるのです。

はぁ〜、もう借主は亡くなっているのに、まだ裁判をしなければいけないんですかね〜。

会話

建物の賃借権は、相続の対象となります。ですから、まずその借主の相続人を調べて、その相続人に訴訟を引き継いでもらう手続きが必要となるんです。

うちの方で部屋をさっさと片付けてしまってはいけないんでしょうか?

会話

それは、「自力救済」と言って禁止されています。そんなことをすると、後々相続人が出てきて文句を言われた場合に面倒なことになります。

 

「裁判」の引き継ぎの手続き

このように、

民事裁判の途中で、

一方の当事者が

亡くなった場合には、

どうなるのでしょうか?

 

 

この場合、

裁判で争われていた

権利関係の性質によって、

相続人に相続されるか

どうかが分かれます。

 

 

たとえば、

離婚の裁判など、

その「人」だけが持っている

権利関係の裁判は、

相続人に引き継がれる

ことはありません。

 

 

この場合は、

当事者の死亡によって

そのまま裁判は「終了」

ということになります。

 

 

他方で、

財産関係の裁判などは、

当事者が死亡すると、

その相続人に権利関係が

引き継がれることになります。

 

 

冒頭のご相談事例のように、

建物明渡の裁判も、

財産関係の裁判であり、

相続人に引き継がれます。

 

 

そこで、

そのような裁判は、

一方の当事者が

死亡した場合は、

裁判手続きはいったん

「中断」します。

 

 

この場合、

相手方の当事者や、

死亡した当事者の相続人が、

裁判の引き継ぎの

申し立てを行います。

 

 

これを、

専門的に「受継申立」

(じゅけいもうしたて)

と言います。

 

 

そして、

裁判所によってこの

「受継申立」が認められると、

亡くなった当事者の相続人を

新たな当事者として、

裁判が再開される、

という流れになります。

 

 

亡くなった当事者の

相続人がすぐに

分かればよいですが、

実務上相続人がすぐに

はわからない場合も

あります。

 

 

その場合には、

亡くなった当事者の

戸籍謄本を調査して、

その人の相続人を調査する

手続きが必要となります。

 

 

場合によっては、

この手続きに1〜2ヶ月

くらいかかることも

あります。

 

 

 

 

 

 

勝手に片付ける、はNG!

そんなわけで、

裁判の相手方が死亡

したからといって、

当然に裁判が終了する

わけではありません。

 

 

相続人に裁判を

引き継いでもらう

手続きが必要と

なるわけですが、

上記にようにそれなりに

面倒な場合もあります。

 

 

そこで、

冒頭のA社長のように、

建物の明渡しを請求

している貸主としては、

 

 

もはや借主は

亡くなっているのだし、

部屋の中の家具などを

勝手に処分してしまう

ことはできない

のでしょうか?

 

 

実は、

これは

「自力救済

(じりききゅうさい)」

といって、

法律的にはNGの

行為なのです。

 

 

これをやってしまうと、

後々亡くなった人の

相続人が出てきた場合に、

トラブルに発展する

ことになります。

 

 

具体的には、

刑法上の住居侵入罪や

器物損壊罪にあたり得る

行為です。

 

 

また、民事上も、

部屋の中のものを勝手に

処分されたということで、

損害賠償請求をされる

可能性があります。

 

 

それこそ、

「自力救済」を

やってしまうと、

新たな「裁判沙汰」に

陥る危険性があります。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということ。

 

 

「裁判沙汰」を

避けるためには、

面倒でも「自力救済」

はせずに、

正攻法の手続きを

踏んでいく必要が

あります。

 

 

そんなわけで、

裁判の途中で

相手方が亡くなっても、

「裁判は終わった」などと

早とちりしないようにする

必要がありますね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

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今回は、「会社の株式がバラバラに分散、どんなリスクがあるか?」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

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昨日は、午前中は速読(楽読)のレッスンを自宅でオンラインで。
午後は八王子にある、今度新規で顧問契約のご依頼をいただいた会社へ訪問。
その後は事務所で仕事、夕方はボクシングの練習に行きました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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