
「下請法」という法律が改正されるにあたり
そもそも「下請け」という言葉自体が
見直されています。
「下請け」という言葉には
企業間の上下関係や優劣関係といった
差別的なニュアンスがあるためです。
(今日の「棒人間」 名前で威張る人??)
<毎日更新1141日目>
政府は
原材料価格の増加分を取引価格に
転嫁しやすい環境を整備するために
下請法などの改正を議論しています。
この下請法の改正の議論のなかで
という指摘があります。
そのような議論の中で
そもそも「下請法」という法律の
名称自体を変えるべきだ
との意見が出ているようです。
確かに
「下請け」という言葉は
上下とか優劣をつけるような
差別的なイメージを持たせ、
という意見も少なくないようです。
実際に、
という指摘もあります。
さらに
法改正に積極的な議員からは
という趣旨の意見も出されています。
そもそも
下請法とは、正式名称を
「下請代金支払遅延等防止法」
と言います。
「下請法」は
1956年にできた法律です。
戦後の企業の復興期に
大規模な建設や製造業の需要が増える中
一企業だけで全ての工程を行うのは
難しくなりました。
そのため
多くの企業が一部の業務を委託することで
効率的に生産を行うようになりました。
これが
下請け業務が広まるきっかけ
であったと言われています。
本来
企業同士対等な立場で自由に取引を行う
というのが資本主義社会の理想ではあります。
しかし
現実には力の強い企業と
弱い企業が世の中には存在します。
特に
元請けや親事業者といわれる企業と
「下請け」と言われる企業の間には
事実上力関係や優劣関係が
存在するのが普通です。
こうした力関係や優越関係を背景に
元請けや親事業者が
下請け業者に対して
理不尽な取引を要求するケースが
往々にして起こります。
「下請法」は
こうした元請けや親事業者による
下請け事業者に対する理不尽な
取引を要求することを規制し
不公正な取引を排除するための
法律と言えます。
具体的に
「下請法」は
たとえば正当な理由のない代金支払いの遅れや
原材料費等のコスト増を価格に
反映させない買いたたき
納入品の返品など
親事業者に対して一定の
行為を禁止しています。
とは言え
今でも特に大企業などを中心として
下請法に違反する事例が絶えません。
そこには様々な経済構造
の問題などもありますから
その原因を一概に断定
することはできません。
ただ
やはり「下請け」という言葉の持つ
ネガティブなイメージは
意外に大きな影響力を
持っているように思います。
よく
「名は体を表す」と言います。
そして
なんだかんだ言っても
法律の名前や用語というものは
影響力があります。
もし今の世の中
「下請け」という言葉がある意味差別的な
ニュアンスを含んでいるとすれば
やはり法律の名前を変えるというのは
重要だと思います。
実は
法律というものは
その時代
その地域の世間の世相を
背景に作られる部分があります。
ですから
もちろん完全ではあり得ず
時代の変化に応じて
やはり法律も変化して
いくべきものです。
過去にも
普通に法律の用語として
使われていたものが
差別用語だとして改正された
事例はたくさんあります。
たとえば
昔の民法で定められていた
「聾者・唖者・盲者」「禁治産者」
といった言葉。
これらは
障がい者を差別する用語だということで
今では「成年後見」とか「補佐」「補助」
といった用語に変えられています。
昔あった「癩病」という言葉も
癩予防法という法律が廃止され
「ハンセン病」という名称に
変えられています。
そんなわけで
やはり「下請法」も
あくまで対等な企業同士の公正な取引を
はかるための法律という前提に立って
新しい名称を考えた方が良さそうですね。
法律の名前・名称が持つ意味
これは意外に重要な面がある
というお話しでした。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。