実際に契約書が作られた日よりも過去の日付を
記載する契約書の「バックデート」
契約書のバックデートは、とかくトラブルの
原因になるので、避けた方が良いですよ、
というお話です(^ ^)
(時間をさかのぼることはできるか?)
<毎日更新547日目>
割とよく聞かれるご質問の1つに、
契約書の日付の問題があります。
中でも、
実際に契約書を作成した日よりも、過去の日付を書くいわゆる「バックデート」は法律上有効ですか?
と聞かれることがあります。
たとえば、ある会社がコンサルタントと契約を締結
したとしましょう。
実際に契約書にサインした日付は11月1日でしたが、
契約書に書かれた日付欄には、10月15日と書かれていた。
結論から言いますと、契約書の日付をいつにするか?
ということは、特に法律で決まりはありません。
ただ、ここで整理しなければならないのは、
・契約書を作成した日(契約をした日)と、
・その契約が法的な効力が発生する日(始期)
は別物だということです。
実際に契約書を作成した日と、契約の効力発生の日が
ずれるという場合には、次のような条項を入れることが
一般的です。
このような条項を入れておけば、契約書に記載された日付が
いつであれ、契約の効力発生時期が明確になるので問題は
ありません。
しかし、このような条項を入れておかなかった場合には、
契約の効力発生時期がいつなのか?
ということが問題になります。
特に、冒頭のコンサルタントとの契約のように、契約書の日付が、
実際に契約書を作成した日付とは違う、ずれているという場合は、
契約の効力発生時期をめぐってトラブルの原因ともなります。
特に、契約書の日付を、実際に契約書を作った日よりも
過去にさかのぼらせるいわゆる「バックデート」は、
問題が起こりやすいと言えるでしょう。
上記の例で言えば、コンサルタントと契約を結んだ
会社からすれば、あくまで契約書を作成したのは
11月1日なので、その日から効力が発生すると
思っている。
しかし、コンサルタントの主張は、
契約書の日付は10月15日になっているので、10月についても半月分の報酬が発生します!
と言われたらどうでしょう?
先ほど、契約書の日付と、実際の契約の効力発生日(始期)
は別物だと言いましたが、効力発生に関する条項が特に
ない場合には、
と推定されてしまいます。
ですから、会社としては、いやいやコンサルタントの
サービスが始まったのは11月1日からであり、
10月は特に何のサービスも受けていなかった、
という証拠を集める必要が出てきてしまいます。
このように、契約書の日付を過去にさかのぼらせる
バックデートは、とかくトラブルの原因になりがちです。
私の弁護士としての使命は、中小零細企業のトラブルを
「裁判沙汰」やトラブルを避けるためにも、こうした
契約書のバックデートは避けた方が良いでしょう。
だいたい、実際に契約書を作成した日とは違う日時を記載
するというのは、事実とは異なる書類を作成することに
なりますので、企業のコンプライアンスの観点からも
問題があると思います。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
あ、ちなみに、次のことをやると、これは
脱税になりますので、完全アウトです!
・来期の売上に見せるために将来の日付を記載する→売上の過少申告
・今期の経費に見せるために過去の日付を記載する→経費の架空計上
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今回は、中小企業の事業承継に関連して、社長が認知症になってしまった場合の備えとしての民事信託という制度について、お話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。