11月1日に施行が迫って
いるフリーランス保護法。
フリーランスと取引を
する発注者企業にとって
まず気をつけるべきは
3条通知と呼ばれる書面を
整備することです。
(今日の「棒人間」 通知する人?)
<毎日更新1274日目>
いよいよ
11月1日から「フリーランス保護法」
が施行されます。
フリーランス保護法の正式名称は
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
フリーランスというのは
いわば独立事業者なのですが
企業の取引社会の中では
どうしても弱い立場におかれがちです。
そこで
そうしたフリーランスの事業者を
保護するための法律が
このフリーランス保護法というものです。
実は
このフリーランス保護法は
中小零細企業にとって
そこそこ大きな影響があります。
中小零細企業は
こうしたフリーランスとの間で
業務委託契約を締結するなどして
取引を行う機会が
多いと言われています。
ここで
「フリーランス保護法」の対象となる
「フリーランス」というのは
どういう人たちを言うのでしょうか?
この点は
法律に定義がありまして
取引の相手が次の場合に適用されます。
要するに
取引の相手が
1人の個人事業主か
会社の1人社長である場合に
このフリーランス保護法の対象となる
ということですね。
このフリーランス保護法で
まず注意しなければならないのは
いわゆる「3条通知」
と言われるものです。
これは
発注会社がフリーランスに
仕事を発注する際に
委託する仕事の内容や
報酬の額
支払い期日などを
書面または
電磁的記録(メールなど)に
記載して交付(ないし送信)
しなければならない
とされています。
このことが
フリーランス保護法の3条に
規定されているので
この通知のことを「3条通知」と
言ったりするわけです。
具体的に3条通知に記載を
義務づけられているのは
以下の事項です。
なお
この3条通知は
「契約書」の形で定めても良いですが
発注書の形で記載しても
良いこととされています。
以下に
この3条通知の内容を盛り込んだ
発注書のひな形を示しておきます。
①から⑦まで上記の
番号に対応しています。
なお
⑤の提出先は
オンラインで成果物を納品する場合などには
提出先のメールアドレスなどを
記載すればよいとされています。
また
⑧の支払方法は
現金や銀行振込の場合は
記載不要とされています。
電子マネーや手形での支払いの場合には
記載が必要だということになります。
さて
発注する企業がこの3条通知を
行わなかった場合は
どうなるでしょうか?
この場合は
違反企業として
行政庁から勧告や命令を受けたり
立入検査や罰則を受ける
こともあり得ます。
それだけではなく
実際の取引上
発注企業にとっての
不利益があります。
フリーランス保護法では
フリーランス側の落ち度が
ないにも関わらず
仕事の受領を拒否したり
返品したり
やり直しを命じたり
報酬を減額したりすることが
禁止されています。
この点
フリーランスが発注した指示に従わずに
発注者が納得する成果物が
できなかった場合を想定します。
この場合は
発注する企業としては
やり直しを命じたり
返品したり
場合によっては報酬を減額したい
という場合もあるでしょう。
もちろん
フリーランスの側に落ち度があれば
このような措置も違反ではありません。
しかし
フリーランスの落ち度によって
本来発注者が依頼した仕事を
きちんとやらなかったということは
どうやって証明したら良いのでしょうか?
これこそが
上記の3条通知なのです。
すなわち
発注者の側で
上記の3条通知の中で
フリーランスに依頼した業務の内容を
きちんと記載しておくこと。
そうすれば
フリーランスがそれに
適合しない仕事をした場合に
発注者側はそのことを
指摘しやすくなります。
ところが
3条通知がないか
依頼した業務の内容がきちんと
書かれていない場合は
どうでしょうか?
果たして
何が依頼した業務なのかもはっきりせず
フリーランスの仕事が依頼に
適していないことを
証明できなくなります。
そうなると
フリーランス側の落ち度を
証明することができず
発注者としては
上記のとおり
受取拒否や返品
やり直しを命じたり
報酬を減額することが
できなくなってしまいます。
そんなわけで
フリーランスをとの間のトラブルや
「裁判沙汰」を避けるためにも
フリーランスに業務を発注する場合は
この3条通知をきちんと
作成することが大切です。
まもなく施行される
フリーランス保護法
上記で述べたとおり
中小零細企業こそ
この準備をきちんと
しておきたいものです。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。