「あなたは腐ったミカンだ」
という社員に対するひどい
パワハラと退職勧奨。
当然「裁判沙汰」になり
結局多額の解決金の支払いを
余儀なくされることに。
会社側としても
きちんと「パワハラ」の理解を深め
「パワハラ」防止の対策を
とることが重要です。
(今日の「棒人間」 腐りかけたミカン??)
<毎日更新1284日目>
追手門学院というところで
職員3人に対するパワハラと退職強要で
今回学院側が裁判上の和解として
合計9200万円を支払うことで
和解が成立したとの報道がありました。
「腐ったミカン」職員3人が退職迫られ鬱病に 追手門学院、解決金9200万円で和解
この事件はなかなかすごくて
この追手門学院とコンサルタント会社の
「ブレインアカデミー」が
実施した研修などによって
職員が執拗な退職強要を受け
精神疾患を発症して休職に
追い込まれたとのこと。
退職した職員が
学校法人やこのブレインアカデミー
などを相手に
損害賠償を求めて2020年8月に
提訴していました。
この研修というのが
1日8時間、5日間にわたって
行われたそうです。
その中身が
カーテンが閉められた薄暗い部屋の中で
講師が一人ひとりに人格否定の
言葉を放つひどい「パワハラ」
そのものだったとか。
といった言葉を投げかけられたそうです。
「腐ったミカン」と言えば
あの有名な金八先生の第二シリーズの
「腐ったミカンの方程式」ですね。
1981年に放送されたシリーズで
当時小学生だった私は
リアルタイムで見たというより
確か再放送で見たような
記憶があります。
このシリーズは
当時社会問題となっていた中学生の
「校内暴力」がテーマでした。
「腐ったミカンの方程式」というのは
このドラマの中で出てくるのですが
みかん箱の中に、カビの生えたみかんがひとつでもあれば、他のみかんにもカビが繁殖し、結果的に全部のみかんがダメになってしまう
というもの。
こんな「方程式」を唱え
不良の生徒を教育現場から切り捨て
ようとする教師に対して
金八先生が叫んだのが
冒頭のセリフです。
それにしても
現実社会で
こんな「腐ったミカン」理論
を持ち出して人格攻撃をするとは
相当にひどいケースと
言えるでしょうね。
「パワハラ」というのは
少々あいまいな概念で
現実には
何が「パワハラ」なのか
はっきりししない面もあります。
しかし
「パワハラ」は法律で
定義されていて
「パワハラ」行為は明確に
禁止されています。
すなわち
「労働施策総合推進法」
通称「パワハラ防止法」という
法律で定められています。
法律上
職場におけるパワーハラスメントとは
を言うとされています。
また
退職の強要
これも程度によっては
違法行為になり得ます。
すなわち
その社員が自ら会社を辞めて
もらうように説得することを
「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」
と言います。
この退職勧奨も
やり方によっては
その社員に対する不法行為となります。
さて
違法は「パワハラ」や退職強要が
行われた場合の会社の法的な責任は
どうなるのでしょうか?
労働契約法5条では
会社の安全配慮義務として
次のような規定があります。
使用者(会社)は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
つまり、会社は
社員との間の労働契約に基づく
義務の1つとして
会社は社員に対する
安全配慮義務を負っています。
これは
会社というものは
社員を使って利益を上げる
組織である以上
そこで働く社員の労働環境の
安全にきちんと配慮すべきである
という考え方が背景にあります。
違法な「パワハラ」や退職強要で
社員が精神疾患にかかったような場合には
まさにこの会社の安全配慮義務違反
ということになり
会社は社員に対して
損害賠償の義務が発生します。
また
上記の「パワハラ防止法」においては
パワハラを防止する等のために
会社に様々な義務が課されています。
【パワハラ防止法】会社のパワハラ防止策として義務化されていること
社員との間で
トラブルや「裁判沙汰」を
避けるためにも
会社が「パワハラ」に対する理解を深め
その対策をきちんと行うことは重要ですね。
それにしても
金八先生のドラマの
「腐ったミカンの方程式」
冒頭のセリフに続いて
金八先生が涙ながらに言った
次のセリフが印象的です。
人間つらい目に遭ってあちこちぶつけてたら、そりゃ風通しが悪くなってどっか腐っていきますよ!
でも人間の精神が腐りきるということは、絶対にないんです!
今聞いてもちょっと
「キュン」っときますね。
私も弁護士として
この言葉を胸にしっかり刻んで
日々仕事をしたいと思いました。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。