社員の給料について
「10%までなら」減額できる。
あるいは
「10%までしか」減額できない。
この「なんでもかんでも10%論」が
まことしやかに言われる
ことがありますが
法的には間違いです。
(今日の「棒人間」 10%の減額??)
<毎日更新1366日目>
社員の給料は、10%までなら減額OKですよ。
え、本当ですか?
その代わり、10%までしか減額はできませんよ。
なんでもかんでも、10%なんですか?
社員の給料を減額したい
という場合
「なんでもかんでも10%論」
というものがあります。
結構これがまことしやかに
「都市伝説」のように言われています。
1つは、社員の給料は
「10%までなら」減額できる
というもの。
そして
もう1つは
社員の給料は「10%までしか」
減額できない
というものです。
実はこれ
法的に言うとどちらも
「間違い」なのですが
なぜこの「なんでもかんでも10%論」
という都市伝説が
生まれたのでしょうか?
これについては
労働基準法91条で
社員の「懲戒処分」として
「減給処分」にする場合
のことが定められています。
ここで
懲戒処分として減給する場合には
その減給の額が給料総額の10%を
超えてはならないと定められています。
この「10%」というのが一人歩きして
「なんでもかんでも10%」論が
生まれているものと思われます。
まず
懲戒処分としての減給の場面と
そうではなく
たとえば会社の財務状況の悪化などを
理由とする給料の減額の場合を
きちんと分けて
考えなければなりません。
後者の場合は
いわば会社と社員との間で
合意した「労働条件」を
会社が一方的に変更する
という場面になります。
「労働条件」というものは
雇用契約の内容ですから
社員の同意がないのに会社が
一方的に変更することは
原則としてできない
ということになります。
ですから
「10%までなら」会社が
一方的に減額できる
などという上記の
「なんでもかんでも10%論」は
間違いということです。
そこで
給料を減額する場合には
まずきちんと社員の「同意」を
取り付けることが大原則となります。
ただし
これにも一定の例外があります。
すなわち
給料などの労働条件が会社の
就業規則で定められている場合です。
この場合
という要件を満たす場合には
例外的に社員の同意がなくても
労働条件を変更することができる
とされています。
これは
いわゆる「就業規則の不利益変更」
と言われるものです。
そして
①の就業規則の変更の合理性に関しては
を考慮するものとされています。
とは言え
給料を減額するという
労働条件の変更は
社員の生活に直接大きな
影響を与えるものです。
ですから
就業規則を変更して
社員の給料を減額することは
極めてハードルが高い
と言わざるを得ません。
実際上は
社員の同意がない限り
社員の給料を減額することは
難しいでしょうね。
それでは
「なんでもかんでも10%論」
のもう1つ。
社員の給料は「10%までしか」
減額できない
というのはどうでしょうか?
実は
これも法的な根拠はありません。
上記の
社員の個別的な同意がある場合
あるいは就業規則の不利益変更が
認められる場合であれば
社員の給料は減額できる
ということになります。
この要件をきちんと
満たしているのであれば
特に減給の上限が「10%」
という制限は
法律上はありません。
この点は
上記の懲戒処分における
減給の場合とは異なる
ということになります。
ちょっとややこしいですが
「10%」という数字に惑わされない
ようにしなければなりません。
どの場面の減給の話なのか
よく見極めて考える
必要がありますね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。