
春は人事異動の季節。
人事異動を拒否する社員に対し
会社は人事異動を命じる法的な
根拠はあるのでしょうか?
人事異動をめぐる社員との
トラブルを予防する対策はいかに?
(今日の「棒人間」 移動を余儀なくされるモヤイ像のイメージ)
<毎日更新1396日目>
例のあれ、ここに移動されたんですね。
ええ〜!!こんなところに?
なんか、路地裏でちょっと寂しそうですよね。
う〜ん、これも一種の「左遷」かしら?
私の事務所は
東京の渋谷にありますが
渋谷もここ数年の再開発で
すっかり様変わり。
うちの事務所がある渋谷桜丘地区は
もともとちょっと寂れた地域だったのですが
今では随分と整備されました。
渋谷駅周辺の大規模な再開発で
移動を余儀なくされたのが
ハチ公と並んで渋谷駅の象徴だった「モヤイ像」
先日
顧問先の社長さんと一緒に駅の
近くを歩いていたときのこと
冒頭のモヤイ像と出くわしました。
モヤイ像は
もともと新島村との文化交流や
観光振興を目的として
1980(昭和55)年に
渋谷駅西口に設置されました。
モヤイ像というのは
「力を合わせる」「助け合う」を意味する
新島の方言「モヤイ」が由来に
なっているようですね(渋谷区HPより)。
それが
渋谷駅西口の整備に伴い
国道246号線に面した
今の場所に移設されました。
移設自体は
昨年11月に行われたようですね。
渋谷に事務所がありながら
全然知りませんでした。
以前のモヤイ像といえば
駅前で
ハチ公と並んで
待ち合わせ場所として有名でした。
しかし
今の場所は人通りもそれほど多くない場所で
心なしかモヤイ像も寂しそうに見えました。
さて
移動といえば
そろそろ年度末で
会社の人事異動の季節でもあります。
A社長の会社では
昨年新たに支店を作り
支店の営業の拡充をはかっています。
そこで
支店の人員を補充するために
本店から社員を人事異動させたい。
しかし
人事異動は
社員の通勤場所が変わったり
人間関係や業務内容の
変更を伴う場合もあります。
もしかしたら
社員から
支店に異動なんてイヤです。
と拒否されるかも知れません。
そこで
そもそも
会社は社員に対して
人事異動を命じる法的な
根拠があるのでしょうか?
実は
法律的に見ると
会社は社員に対して自由に
人事異動を命じることができる
というわけではなく
一定の制限があるのです。
まず第一に
会社に社員に対して人事異動を命じる
権限があることが必要となります。
具体的には
社員が入社する雇用契約書や
就業規則などで
社員に人事異動を命じることが
できる旨の規定がある場合です。
もちろん
こうした根拠がなくても
その都度個別に社員の同意があれば
人事異動を命じることは可能です。
しかし
もし同意がもらえない場合には
こうした雇用契約書や就業規則での
根拠規定がない限り
会社は社員に人事異動を
命じることはできない
という結論になります。
それともう1つ。
仮に雇用契約書や就業規則で根拠規定があっても
人事異動が権利の濫用となる場合には
やはり人事異動命令は違法となります。
これはどういう場合かというと
次の3つがその典型と言われています。
会社の人事異動命令が「権利濫用」となる3つの場面
① 業務上の必要のない異動命令
あるいは、業務上の必要があっても、
② 異動命令が他の不当な動機や目的を持ってなされたとき
③ 労働者に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるとき
②の異動命令が他の不当な動機や
目的を持ってなされたときというのは
例えば
単なる嫌がらせ目的で
それまで事務職の経験しかない社員を
営業職に配転するようなケースです。
あるいは
報復人事などで
その社員の能力からして過大
あるいは過小な業務に異動を命じるような場合。
そして、③は
例えば
育児や介護を抱えている社員に対し
遠方の営業所への異動を命じる
ような場合が考えられます。
さてさて
やはりここで
会社として
人事異動をめぐる社員とのトラブルや
「裁判沙汰」を予防するためには
どうしたら良いのでしょうか?
それにはやはり
先ほど述べたとおり
会社の人事異動命令の根拠を
きちんと整備するということです。
例えば雇用契約書です。
もうそろそろ新入社員の
入社の季節になりますが
雇用契約書には
その社員の労働条件など重要な事項を
定めておく必要があります。
その中に
将来人事異動を命じる可能性があるのであれば
その旨をきちんと明記しておくことです。
さらに
就業規則にも
同様の根拠規定がきちんと
整備されているかどうか
今一度確認が必要ですね。
もし不安な場合には
弁護士に法的書類のリーガルチェックや
作成を依頼することも検討した方が良いでしょう。
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それにしても
突然の移動を余儀なくされた渋谷のモヤイ像。
「左遷された」なんてひねくれずに
今後も渋谷の象徴で
い続けてほしいものですね。
それでは
今日のダジャレを1つ。
モヤイ像、無理やり移動させられて、モ〜イヤ!^ ^
それでは
また。
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今回は、「うちの社員がライバル会社を設立??退職後の社員の競業避止義務」というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。