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渋谷の弁護士吉田悌一郎

下請け社員のミスで損害発生!元請けが賠償責任を負うケースとは?

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建物解体について元請会社が

下請会社に工事を依頼。

 

 

ところが

下請会社の社員のミスで隣家の

建物を一部破損する被害が。

 

 

この場合

元請会社が責任を負う場合は

あるのでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 これは誰の責任??)

 

<毎日更新1485日目>

下請け社員のミスで隣家の建物に損害が??

おい!うちの建物壊して、どうしてくれる!!

いや、それはうちの責任ではありません。

何言ってるんだ、オタクの下請け社員がやったことだろ?
オタクが元請として責任を取れ!!むかっ (怒り)

 

先日

建設会社であるA社の社長から

ご相談を受けました。

 

 

このA社では

ある現場の建物の解体工事を受注。

 

 

その工事を下請けである

B社に依頼していたそうです。

 

 

ところが

実際に現場で作業をしていたB社の社員が

重機の操作を誤り

 

 

なんと隣家の建物を一部

破損してしまったとのこと。

 

 

建物を壊された被害者は

烈火の如くB社に抗議しますが

 

 

B社は零細企業で

その後倒産してしまい

社長も行方不明になってしまいました。

 

 

そこで

怒りが収まらない隣家の被害者は

 

 

B社の元請であるA社に対して

抗議をしてきた

というわけです。

 

 

 

 

「あれはうちの社員じゃない!」は通用するか?

 

この点

確かに

 

 

直接建物を壊した加害者は

あくまでB社の社員です。

 

 

ですから

第一次的には

 

 

このB社の社員が

建物を壊された被害者に対して

不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

 

 

しかし

多くの場合

 

 

加害者である社員が賠償金を支払う

資力がないことがほとんどです。

 

 

そこで

法律では

こうした場合に

 

 

一定の要件のもとで

この社員を雇っていた会社にも賠償責任を

負わされる場合が定められています。

 

 

それが

先日このブログでも紹介した

「使用者責任」です。

 

社員の窃盗で会社が「使用者責任」を負う場合とは?

 

 

ですから

今回のケースでも

「使用者責任」の要件を満たせば

 

 

被害者は加害者の雇用主であるB社にも

損害賠償請求を行うことが可能です。

 

 

ところが

上記の例では

 

 

B社も零細企業で

事件後会社が倒産してしまいました。

 

 

そうなると

事実上被害者としてはB社にも賠償請求

できないことになってしまいます。

 

 

そこで

被害者としては

 

 

B社の元請けであるA社に

対して賠償請求できないか?

 

 

この点

法律の原則的なことを言えば

 

 

元請であるA社と

加害者であるB社の社員との間には

直接雇用契約がありません。

 

 

ですから

さすがに被害者としても

 

 

B社の社員の不法行為について

形式上他社であるA社に対してまで

賠償請求はできないのが原則です。

 

 

ただ、裁判例では

こうした事例でも例外的に元請会社に

賠償責任を認めたものがあります。

 

 

 

 

 

 

元請会社が責任を負う場合

 

どういうことかと言うと

「使用者責任」における

使用関係というのは

 

 

必ずしも厳密に雇用契約が

ある場合には限られない、

というわけです。

 

 

具体的には

元請会社が

下請会社に対して

 

 

工事上の指図やその監督のもとに

工事を施行させており

 

 

元請会社が下請会社

の社員に対して

 

 

直接または間接に指揮監督関係が

及んでいるような場合。

 

 

この場合には

元請会社にも使用者責任が

発生するとされています。

 

 

要するに

このような場合には

 

 

元請会社の社員が事故を

起こした場合と同様に

 

 

元請会社が被害者に対して

損害賠償責任を負うべきだ

とされているのです。

 

 

この点

下請会社に工事を

依頼する場合でも

 

 

上記の例のように、

元請けの社員を現場責任者

として現場に派遣し

 

 

下請会社の社員を直接

間接に指示監督するという場合が

少なくありません。

 

 

このような場合には、

下請会社の社員の

行為についても、

 

 

元請会社の責任が発生する

場合がありますので、

注意が必要です。

 

 

というわけで

冒頭のA社の事例でも

もし実際の現場で

 

 

元請であるA社の社員が

下請けであるB社の社員を

指示監督していたような場合。

 

 

この場合には

元請であるA社も「使用者責任」を負い

 

 

隣家の被害者に対して賠償責任が

発生する場合がある

という結論になります。

 

 

さて

この問題に関して

以前質問をいただきました。

 

 

それは

こうした場合に

元請会社と下請会社との間の契約で

 

 

現場で発生した事故については

すべて下請会社が責任を負う

 

 

という規定があった場合は

どうなるのでしょうか

というご質問です。

 

 

これについては

長くなりましたので

また明日のブログでお話ししますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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