「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【社員の採用】「試用期間」を定めて様子を見たい?

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

社員を採用するにあたり

その社員の勤務態度や能力

適正などを見極めたい。

 

 

そのための1つの方策として

「試用期間」を設けるという

方法があります。

 

 

ただし

この「試用期間」も単なるお試し期間ではなく

 

 

試用期間後の「本採用拒否」には

それなりのハードルもありますので

注意が必要です。

 

 

(今日の「棒人間」 様子を見られている??)

 

<毎日更新1491日目>

採用リスクをなるべく少なくしたい

 

昨日のブログでは

有期雇用の契約社員との

トラブルの話を書きました。

 

有期雇用の契約社員、期間途中で辞めてもらいたい場合

 

 

すなわち

1年間の有期雇用で

採用した新入社員。

 

 

しかし

営業成績も勤務態度も悪く

周りの社員との折り合いも極めて悪い。

 

 

人が少ない中小企業において

こういう社員が1人でもいると

 

 

社内の空気は悪化するし

会社全体の生産性にも

大きく影響してきます。

 

 

そこで

こういう社員には

 

 

雇用期間の途中でも

会社を辞めてもらいたい。

 

 

しかし

有期雇用の契約社員について

 

 

期間の途中で解雇するのは

法律上容易なことではありません。

 

 

この1件で懲りたA社長。

 

 

人の採用というものは

つくづく難しいと実感します。

 

 

ひとたび雇ってしまうと

そう簡単に辞めてもらうことはできない。

 

 

さりとて

採用の時にその社員の

人間性や仕事への適性など

 

 

すべてのことが

わかるわけではない。

 

 

こうした採用のリスクを

なるべく少なくするためには

どうしたら良いか。

 

 

1つの方法として

「試用期間」というものが

よく用いられます。

 

 

 

 

「試用期間」とは?

「試用期間」とは

社員を採用するときに

 

 

実際の勤務を通じてその社員の

適正などを見極め

 

 

本採用をするかどうかの判断を

するための期間のことを言います。

 

 

多くの会社では

社員を雇う際に

 

 

「本採用」の前に「試用期間」を

設けることをやっています。

 

 

言ってみれば

この「試用期間」は

 

 

たとえば3ヶ月とか6ヶ月とか期間を決めて

試しに採用するというもの。

 

 

この「試用期間」中に

その会社の社員として適格であるか

どうかを判定することになります。

 

 

ちなみに

この「試用期間」については

 

 

法律で特になにか定められて

いるわけではありません。

 

 

期間の長さについても特に明確な規定はない。

 

 

ただ

「試用期間」があまりにも長すぎると

 

 

社員は長期間

「本採用」されるかどうかわからないという

不安定な地位に置かれることになります。

 

 

そこで

 

 

社員の能力や勤務態度などを判断するのに

必要な合理的範囲を超えた長期の

試用期間を設定することは

 

 

公序良俗(民法90条)に違反して

無効とされることがあります。

 

 

具体的には

 

 

試用期間としてはせいぜい3ヶ月から

6ヶ月くらいが妥当とされることが

多いでしょう。

 

 

業種によっては1年くらいの「試用期間」が

認められる可能性もあるでしょうが

 

 

それ以上だと無効とされる

可能性が高いと考えます。

 

 

いずれにしても

この「試用期間」を設けることで

 

 

冒頭で述べた社員の採用リスクを多少

軽減することには役立つとされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

試用期間後の本採用拒否が許される場合

さて

問題となるのは

「試用期間」中の社員の勤務状況などから

 この社員は、うちで働いてもらうのは厳しい

と判断した場合です。

 

 

実は

こうした場合でも

 

 

会社が「本採用」を拒否することは

言うほど簡単ではないということです。

 

 

法律的に見ますと

「試用期間」というのは

 

 

もしこの社員が不適格だった場合に

解約できる権利がついた雇用契約

ということになります。

 

 

これは

専門的には

 

解約権留保付き雇用契約

 

と言ったりします。

 

 

つまり

試用期間中であっても

「雇用契約」は成立しています。

 

 

ですから

試用期間の終了時に

会社が解約権を行使することは

 

 

法的には解雇の一種

ということになります。

 

 

昨日のブログでも見たとおり

日本の労働法では

解雇は厳しく規制されています。

 

 

ただ

本採用拒否の場合は

 

 

通常の解雇よりは緩やかに

認められる傾向にはあります。

 

 

具体的には

採用の決定後

 

 

試用期間中に当初会社側が知ることが

できなような事情が発覚した場合です。

 

 

この点

裁判例などで

 

 

本採用拒否が認められた事例として

次のようなものがあります。

 

 

・試用期間中の出勤率が90%に満たない、あるいは3回以上無断欠勤した場合

・勤務態度や接客態度が悪く、上司から注意を受けても改めようとしなかった場合

・職場の先輩社員に不適当な発言をしたケース

・協調性がなく、多数の同僚から反感を買っていたケース

・重大な経歴詐称が発覚したケース 

 

 

逆に言えば

この程度の事情がないと

 

 

なかなか本採用拒否は難しい

ということになります。

 

 

試用期間は

確かに会社にとって社員の

「お試し期間」としての機能があります。

 

 

それが

冒頭で述べた採用リスクの軽減に

一定程度役立っていることも事実。

 

 

とは言え

会社の一存で持って自由に

 

 

「本採用拒否」ができる

ということではありませんので

注意が必要です。

 

 

そこで

最近多くの会社でとられている方策の1つに

 

 

最初一定期間有期雇用の契約社員として雇い

その後も採用したい社員を無期雇用の

正社員に登用するというものがあります。

 

 

これはこれで

いろいろと法律的な注意点があるのですが

その辺はまた明日お話ししますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

サービスメニュー

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

◾️新作note(有料記事)法律は難しくない?ゼロから始める人のための“挫折しない勉強術”

 

 

◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール

 

◾️あなたのお悩み解決・法律相談/なんでも相談サービス

 

◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)

 

◼️「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス

 

◾️弁護士による通知書(内容証明)作成・発送サービス

 

◾️メールによる法律相談サービスについて

 

◾️無料メルマガ「裁判しない生き方」

 

◾️【無料】セルフマガジン『裁判しないで解決する方法』の無料送付

 

◾️YouTube(渋谷の弁護士・吉田悌一郎の中小企業ビジネス法務チャンネル)

 

◾️Voicy(裁判しない弁護士のトラブル解決ラジオ)

 

◾️あなたの声をお聞かせください

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、「カスハラ対策、まずはここから!「基本方針」の重要性とは?」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

引き続き青森で、昨日はBBAサミットというイベントが行われ、プレゼンターとして登壇してきました。またその様子は今度ブログで書きたいと思います。

 

 

 

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

お問い合わせ

住所 150-0031
東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階
マップを見る
受付時間 【平日】9:30〜18:00
【土曜日】9:30〜12:00
渋谷共同法律事務所のHP

           

裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

カテゴリー