
タクシーの無賃乗車
未払いの運賃をドライバーが肩代わり
するという会社があるようです。
こういった対応は
労働法上とても大きな問題を
はらんでいます。
(今日の「棒人間」 「穴埋め」はつらいよ??)
<毎日更新1506日目>
先日
都内でタクシーに乗ったときのお話。
運転手さんの話では
今でもタクシーの無賃乗車事件
というのは結構あるらしいですね。
被害金額は
ワンメーター程度の金額から
数万円程度とまちまちだそうです。
無賃乗車の手口としては
「財布を取りに行く」と言って
下車していなくなってしまうパターン。
何も言わずに逃走するパターン。
中には
運転手さんを脅迫しながら逃走する
ような輩もいるというので驚きます。
もちろん
法的に言えばこれらの
タクシーの無賃乗車は立派な犯罪。
支払う気がないのにタクシーに乗って
お金を払わないで逃走する行為は
刑法上の詐欺罪に該当します。
さらに
下車する際に運転手さんを脅迫して
逃走したような場合は強盗罪に。
その際に運転手さんを怪我を
させるようなことがあれば
強盗致傷罪という重罪になり得ます。
軽い気持ちでやっているのかも知れませんが
無賃乗車は立派な犯罪であるという
自覚を持って欲しいものです。
ところで
無賃乗車で逃げられてしまい
運賃を回収できなかった場合は
どうなるのでしょうか?
これについても
私が乗ったタクシーの運転手さんから
驚くべき事実を聞きました。
なんと
こうした無賃乗車で回収できなかった運賃は
運転手さんが立て替えて会社に
支払わなければならないそうです。
次の給料からその損失分が
差し引かれるケースもあるようです。
つまり
こうした無賃乗車によって生じた損失を
タクシー会社は一切負担しない。
無賃乗車による運賃の回収を
すべて運転手さんの責任に
押しつけているというのです。
もちろん
すべてのタクシー会社がこのような
運用をしているとも思えませんが
未だにこんなことをやっている
会社があることに大変驚きました。
実は
このタクシー会社の運用
労働法的には非常に
問題のあるやり方なのです。
まず
無賃乗車によって生じた未払い運賃を
運転手さんに立て替えさせるという行為は
一種の違約金を取る行為になります。
この点
労働基準法16条では
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め・・・る契約をしてはならない。
と規定しています。
さらに
無賃乗車の未払い運賃を
運転手さんの次の給料から
天引きするという行為は
また別の問題があります。
すなわち
労働基準法24条1項
賃金は,通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない。
とされています。
給料というものは
社員(やその家族)の生活を
支えるものであり
給料が全額きちんと
支払われるかどうかは
社員にとっては死活問題です。
そこで
社員に対する違約金などを
社員の給料から天引きして
支払わせることは
原則として
禁止されているのです。
これらの規制には
罰則も定められています。
すなわち
上記の立替払いという違約金を
定める契約をした場合は
そして
給料から天引きした場合も
という罰則がそれぞれ定められています。
タクシーで
もちろん無賃乗車は
許されることではありません。
しかし
今ではドラレコなども発達していて
警察に連絡すれば犯人を見つける
こともそれほど困難ではないでしょう。
そうした無賃乗車によって発生した損失を
一番弱い立場にある運転手さんに押し付ける
こんな運用はやはり間違っていますよね。
こんなおかしな運用は
絶対にやってはいけませんね。
それでは
また。
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また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。