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渋谷の弁護士吉田悌一郎

「秘密保持契約」だけでは安心できない?大企業が中小に強いる不合理な取引の実態

独占禁止法

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最近

開発力がある中小企業と

 

 

大手企業が業務提携をするケースが

増えています。

 

 

その中で

大手企業が中小に対し

 

 

不公平・不合理な契約を

要求してくることがあります。

 

 

こうした場合

中小としては

どのように対抗すれば良いのでしょうか?

 

 

 

(今日の「棒人間」 秘密がバレた??)

 

<毎日更新1605日目>

秘密保持契約(NDL)があるから大丈夫?

 

ソフトウェアの開発を手がけるA社。

 

 

この度

画期的なソフトウェアを

開発したということで

 

 

大手のIT企業であるB社から

 ウチと業務提携をしませんか?

との打診を受けました。

 

 

開発力はありながらも

資金面などリソースが限られた

中小企業であるA社。

 

 

この大手IT企業B社との業務提携の話は

まさに「渡りに船」でした。

 

 

そこで

A社としては

この申し出を二つ返事で快諾。

 

 

A社とB社との間で

業務提携に先立ち

 

 

「秘密保持契約(NDL)」が

締結されました。

 

 

そして

A社はB社との提携を進める中で

A社は

 

 

自社が開発したソフトウェアのアルゴリズムや

開発プロセスに関する詳細な情報を

B社に開示しました。

 

 

ところが

残念ながら

 

 

B社との業務提携の交渉は

条件面で折り合わず

最終的には決裂してしまいました。

 

 

A社としては

B社に開示した上記の自社の企業秘密を

利用されないか不安でしたが

 

 

上記のとおり「秘密保持契約書(NDL)」

を締結していたので

大丈夫だろうと安心していました。

 

 

ところが

この「秘密保持契約」には落とし穴が。

 

 

というのは

通常この手の「秘密保持契約」は

 

 

その有効期間として2年間などの

期間制限が定められています。

 

 

その場合

期間経過後はこの「秘密保持契約」

の効力はなくなります。

 

 

ということは

期間経過後はB社としては

 

 

A社から開示された企業秘密について

秘密保持の義務はなくなる

ということを意味します。

 

 

実際

B社は秘密保持契約(NDL)の期間が終了後

 

 

A社から開示された情報をもとに

類似の機能を備えた自社製品を市場に投入。

 

 

中小企業であるA社としては

本来自社が開発した技術の

先行者としての優位性を失い

 

 

大手企業であるB社のブランド力に対抗できず

市場からの撤退を余儀なく

されてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

大企業が中小に不合理な契約を強いるケース

 

上記の事例を見て

大企業と取引をする中小企業としては

どこを気を付けるべきだったのでしょうか?

 

 

上記のとおり

「秘密保持契約(NDL)」には

 

 

2年から5年程度の期間制限があり

期間経過後は契約の効力はなくなります。

 

 

ですから

秘密を提供する側としては

 

 

「秘密保持契約(NDL)」があるから安心

というわけにはいきません。

 

 

「秘密保持契約(NDL)」を結んだからといって

 

 

自社のコアな秘密情報をすべて相手方に

開示してしまうのは非常に危険

であると言えるでしょう。

 

 

したがって

企業秘密やノウハウを持つ中小企業としては

 

 

「秘密保持契約(NDL)」を締結したとしても

自社のコアな秘密情報は

開示すべきではありません。

 

 

そこで

自社内で「秘密保持契約(NDL)」

に基づいて開示できる情報と

 

 

開示できない情報をきちんと仕分け

した上で取引を進めることが重要です。

 

 

ところで最近

このように

大手企業が

 

 

技術力を持つスタートアップの

中小企業などに対して

 

 

不公平・不合理な取り扱いを

強いるケースが発生しており

社会問題化しているようです。

 

 

というのは

最近

 

 

自社内でのイノベーションだけでは

技術革新のスピードについて

いけない大企業が

 

 

技術力はあるがリソースが少ない

中小企業と協業するケースが増えています。

 

 

その中で

こうした問題が起きているといいます。

 

 

すなわち

上記の事例のように

「秘密保持契約(NDL)」を結んだだけで

 

 

本体の業務委託契約が成立していない段階で

大手が中小に秘密情報の開示を要求するケース。

 

 

あるいは

そもそも「秘密保持契約(NDL)」を締結せずに

秘密情報の開示を要求してくるケース。

 

 

さらには

「秘密保持契約(NDL)」自体は結ぶものの

 

 

大手企業のみその期間が短く

中小はその期間が長いといったように

その内容が不合理・不公平な場合などです。

 

 

 

 

 

 

 

不合理を強いる大手との交渉の仕方

さて

それでは

中小企業としては

 

 

もし大手企業からこうした不公平・不合理な

契約締結を打診された場合

どのように交渉したら良いのでしょうか?

 

 

この点

上記の大手企業が中小企業に

不合理な契約を強いることは

 

 

一種の独占禁止法で禁止する

「優越的地位の濫用」にあたり得る

場合があります。

 

 

ここで

「優越的地位の濫用」とは

 

 

取引上の地位が相手方に

優越している事業者が

 

 

その地位を利用して

正常な商慣習に照らして不当に相手方に

不利益を与える行為のことを言います。

 

 

この点

公正取引委員会は

 

 

スタートアップをめぐる取引に

関する調査結果を公表しています。

 

(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について

 

 

この中で

上記の独禁法違反となる

事例が公表されています。

 

 

ですから

中小企業の立場としては

 

 

もし大手企業が上記のような

不公平・不合理な契約を要求してきた場合

 

 

この公正取引委員会の報告書を提示して交渉する

というのが1つの有効な方法だと考えられます。

 

 

大手企業としても

独禁法違反で公正取引委員会から

 

 

行政処分を受けたりすることを

恐れているからです。

 

 

また

そのように交渉しても

相手方の大手企業の姿勢が変わらない場合には

 

 

この企業との取引を断念することも

1つの選択肢であると考えます。

 

 

技術力のある中小企業としては

無理をしてこうした横暴な大手企業と

契約を結ばない方が良いということです。

 

 

まとめ

以上をまとめますと

中小企業としては

 

 

「秘密保持契約(NDL)」を結んだからといって

安心して自社のコアな秘密情報を

開示してはならない。

 

 

また

不公平・不合理な契約を

要求してくる大手企業に対しては

 

 

公正取引委員会の報告書を

提示して交渉するか

交渉そのものを断念する。

 

 

中小企業としては

 

 

大手企業と提携して自社の大切な

技術を活かす上で

注意すべきポイントかと思います。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

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昨日は、早朝に近くの公園を7キロほどランニング。
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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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