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渋谷の弁護士吉田悌一郎

経営が苦しい・・・でも解雇できない?「整理解雇」が認められるための4つの要件

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会社の経営が苦しくなったとき

頭をよぎる「人員整理」

 


しかし

「整理解雇」は簡単には認められません。

 

 

「整理解雇」の要件をきちんと

理解しておくことは重要です。

(今日の「棒人間」 説明義務を尽くした??)

 

<毎日更新1641日目>

整理解雇の4要件とは?

 

昨日のブログでは

ゴールドマン・サックス社の

不当解雇の裁判にからめて

 

 

いわゆる「整理解雇」について

お話ししました。

 

「経営が苦しい」は理由にならない?「整理解雇」が認められなかった理由とは?

 

 

すなわち

「整理解雇」とは

 

 

会社の経営悪化のために

人員整理を行うための解雇

のことを意味します。

 

 

しかし

「整理解雇」も解雇の一種である以上

厳格な要件を満たさなければならず

 

 

単に会社の経営が苦しいという理由だけで

簡単に認められるものではありません。

 

 

具体的には

「整理解雇」が認められるためには

①人員削減の必要性
②会社が解雇を避けるための努力を尽くしたこと
③(解雇する社員の)人選の合理性
④会社が社員に対して説明・協議を尽くしたこと
の4つを満たす必要があります。

 

 

これがいわゆる

「整理解雇」の
4要件と呼ばれるものです。
このうち
昨日のブログでは
①の人員削減の必要性と
②の会社が解雇を避けるための
努力を尽くしたこと
という要件を取り上げました。
今日は残りの
③(解雇する社員の)人選の合理性
④会社が社員に対して説明・協議を尽くしたこと
の2つの要件を見ていきましょう。

 

 

要件3)人選の合理性について

 

この人選の合理性の要件は

解雇される社員の選定の基準及び

 

 

実際の選定が合理的であること

が求められるということです。

 

 

まず

解雇の対象となる社員の選定は

客観的に合理的な選定基準を事前に設定し

 

 

公正に適用されなければ

ならないとされています。

 

 

そして

具体的な選定基準としては

下記のようなものがあります。

 

・従業員の勤務成績や能力等の労働力評価を基準とするもの
・勤続年数などのそれまでの会社への貢献度を基準とするもの
・年齢を基準とするもの
・社員の再就職の可能性や家計への打撃など社員の生活評価を基準とするもの

・正規か非正規かなどの従業員の雇用形態を基準とするもの

 

 

いずれにしても

それが合理的な基準と

判断されるかどうかは

 

 

具体的な事情に応じて個別に

判断されることになります。

 

 

たとえば

一定年齢以上の社員を解雇の対象とする

という基準が問題となった裁判例では

 

 

その年齢が

定年退職の年齢に近い場合には

合理的とされているものがあります。

 

 

逆に

定年までの残りの期間が長い場合には

 

 

その残り期間の賃金

に対する期待も大きいので

 

 

その年齢基準が合理的ではない

とされる可能性もあります。

 

 

また

雇用形態に着目して

 

 

たとえば正規雇用の社員よりも

非正規雇用の社員を優先的に

解雇する基準については

 

 

合理性を認める裁判例が

多い傾向にあります。

 

 

 

 

 

 

要件4)説明・協議義務を尽くしたこと

 

「整理解雇」を行うにあたり

事前に会社が従業員に対して

 

 

説明・協議義務を尽くすことが

求められます。

 

 

具体的には

会社は

社員に対して

 

 

整理解雇の必要性とその内容

(時期・規模・方法)及び解雇に対する

補償内容などについて納得を得るために

 

 

説明を行います。

 

 

そして

誠意を持って協議すべき信義則上の

義務を負うとされています。

 

 

そして

この説明・協議も

 

 

解雇の理由や必要性等について

会計資料等も示して具体的かつ十分な

説明をすることが必要とされています。

 

 

そうしたことをせずに

単に不況を乗り切るためにやむを

得ない措置であるなどといった

 

 

抽象的な説明だけでは

会社がこの説明協議義務を果たした

とはいえないとされています。

 

 

ですから

単に「会社経営が苦しいから解雇します」

 

 

といった程度の説明ではダメだ

ということですね。

 

 

必要に応じて会社の会計資料

(貸借対照表や損益計算書など)

なども示しながら

 

 

会社の具体的な現状を示した上でていねいな

説明が求められることになると考えられます。

 

 

要するに

「整理解雇」の場面であっても

 

 

解雇にあたっては会社の誠実な対応

というものが求められている

と言ってよいでしょう。

 

 

まとめ

以上のとおり

2回にわたって「整理解雇」の要件

について深掘りしてみました。

 

 

よく

会社の経営が厳しいので

 

 

社員にやめてもらいたいという

ご相談を受けることがあります。

 

 

この点

そうした事情をよく社員に話し

 

 

納得して退職してもらう正当な

「退職勧奨」であれば特に

問題はありません。

 

 

しかし

退職に応じない社員に対し

会社が解雇を行うためには

 

 

いかに会社の経営が厳しい状況にあるとしても

やはりそれなりに厳しい要件が

課されているということです。

 

 

このことは

頭に入れておかれた方が

良いかと思いますね。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

早朝に朝焼けと共に5キロほどランニング。日曜日のハーフマラソンの後遺症である痛みはほとんどなくなりました。
午前中から新宿スクエアビルの「関東信越厚生局」へ。顧問先の会社の関係のお仕事でした。
午後3時半すぎに終わり、そこから東京駅まで行って北陸新幹線に乗車。車中で少し仕事をしてその後はビール。東京駅で大好きな国技館焼き鳥もゲットできました。
予定時刻よりも遅れて金沢駅に到着。金沢は2022年以来3年ぶり。
そこから、金沢「夢の湯」へ。
久しぶりにブログセミナーの師匠や仲間と会って楽しかったです。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
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Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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