社員から「残業はしません」
と言われたら??
そう言われたら
経営者はどう判断すべきでしょうか。
「残業拒否は当然の権利か?」
を法律の視点で確認してみましょう。

(今日の「棒人間」 残業拒否??)
<毎日更新日目>

すまんけど、急ぎの仕事があって、今日ちょっと残業お願いしてもいいかな?

イヤです。残業キャンセルします!
最近
「残業キャンセル界隈(かいわい)」
というコミュニティーが流行しているのだとか。
定時を回った途端
どれだけ仕事が残っていても退社する。
そんな行為をSNSで互いに共有し
称賛し合うというコミュニティー
だそうです。
背景には
働き方改革や
ワークライフバランスを
重視する傾向が強まる中
残業を拒否することは「当然の権利」
であるとする意識が広がっている
ことがあるようです。
さてさて
法律的に見て
果たして残業を拒否することは社員の
「当然の権利」なのでしょうか?
ここで
残業(時間外労働)に関する法律上の
基本的なルールを見てみましょう。
労働基準法という法律で
使用者は
労働者に対して
休憩時間を除いて1週間に
40時間を超えて働かせてはならない
と規定されています。
一般の会社では
使用者を会社
労働者を社員と読み替えて良いでしょう。
また
1日に8時間を超えて働かせては
いけないと定めていて
これを法定労働時間と言います。
ただし
要件を満たした場合に
例外的に法定労働時間を超えて労働させたり
(これを時間外労働といいます)
休日労働(上記法定休日の労働)を
させることができます。
具体的には
一定の要件を満たした労使協定
(いわゆる36協定)があれば
例外的に時間外・休日労働を
させることが可能となります。
また
社員を残業させる場合には
法定の割増賃金(いわゆる残業代)
を支払わなければなりません。
さらに
残業時間の上限規制
というものが存在します。
ですから
36協定を締結している
残業代を支払っているからといって
無制限に残業をさせられる
わけではありません。
さてさて
本題に戻りましょう。
残業のキャンセル
すなわち
社員は会社から残業を命じられた場合
それを断ることはできるのでしょうか?
まず
上記で述べた残業の法的要件を
満たさない違法残業。
たとえば
いわゆるサービス残業であるとか
法律上の上限時間を超えた
残業命令に対しては
当然ですが拒否する正当な理由が
あることになります。
それでは
法律上の要件をクリアした適法な
残業命令についてはどうでしょうか?
これについては
法律上は
社員は原則として残業命令に
従う義務があります。
そもそも雇用契約というものは
社員が会社に労務を提供する契約であり
会社の業務命令には基本的に
従わなければならないからです。
ただし
この場合でも
体調が悪いとか
育児や介護があるといったケースでは
残業を拒否する正当な理由になり得ます。
さらに
いわゆるパワハラ目的での残業命令など
合理性のない残業命令も拒否する
正当な理由になるとされています。
したがって
こうした正当な理由がない場合は
社員が自分の判断で勝手に残業を
拒否することはできないとされています。
すなわち
適法な残業命令に対しては
残業を拒否することが
「当然の権利」とは言えない
という結論になります。
もし
会社の命令に違反して
社員が残業を拒否し続けた場合には
懲戒処分を行うことも考えられます。
近年は
残業をめぐるトラブルも増えています。
社員との間のトラブルや
「裁判沙汰」を予防するためには
会社が残業を命じることができる要件
そして
社員がどんな場合に残業を拒否できるのか。
この辺のことは整理して
おかれることをオススメします。
会社としては
とか言われても
その是非について自信を持って判断
できるようにしておきたいところです。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。