「値上げ交渉には応じません」
これまで当たり前のように
行われてきた対応が
実は違法になる時代に?
下請法のリニューアル版
とも言える「取適法」で
何がどう変わったのでしょうか。

(今日の「棒人間」取適法で値上げを求める??)
<毎日更新1708日目>
人手不足の世の中で
人材を確保するためには
「賃上げ」が欠かせません。
ところが
「賃上げ」を行うために
当然そのための「財源」が
必要となります。
そこで
世の中の物価上昇を反映させ
取引先に対しても適正な
「値上げ」を求めたいところ。
しかし
中小企業でなかなかこの
「値上げ」が進まないことが
問題視されてきました。
それは
中小企業の元請けや親事業者が
その力関係を背景に
なかなか「値上げ」に応じない
ことが原因の1つとされています。
そこで
この2026年1月1日より
「中小受託取引適正化法
(取適法(とりてきほう))」という
法律が施行されました。
この「取適法」は
実は下請法を改正した
リニューアル版。
ちなみに
この「取適法」では
受発注する双方が対等な関係ではない
との印象を与えかねないとの理由から
「下請け」の用語が一掃されました。
そして
この新しい「取適法」では
従来の用語が次のように
改められることになりました。
さて
下請法がこの「取適法」に
リニューアルされて
変わった点はどこなのか?
簡単にポイントを解説します。
従来から
原材料費などのコストが
上昇しているにも関わらず
取引相手が値上げに応じてくれず
価格が据え置かれるという
「買いたたき」が問題と
なってきました。
「買いたたき」自体は
「下請法」でも禁止されていました。
今回の「取適法」ではさらに
こうした「買いたたき」行為
への対応策として
委託事業者が中小受託事業者との
価格協議に応じないことが禁止行為に
追加されました。
つまり
協議を適切に行わずに
代金を一方的に決定する行為が
新たな禁止行為として
規定されたわけです。
そもそも
手形取引は
取引後にすぐ入金されないことが多く
中小受託事業者が資金繰りに
窮するなど経営の負担になることが
指摘されていました。
また
政府が2026年中に
約束手形の利用の廃止を
目標として掲げています。
そして
主要銀行などでも同年中に手形の発行や
手形決済サービスを終了させる
方針を決めています。
こうした流れを受けて
今回の「取適法」では
委託事業者が
中小受託事業者に対して
手形によって支払いを行うことが
禁止されました。
取引先に物品を納品するために
運送業者に委託する取引などは
従来は下請法の適用外とされていました。
しかし
こうした取引では
立場の弱い物流事業者が
契約にない荷役や荷待ちを無償で
行わされているという実態がありました。
そこで
今回の「取適法」では
こうした取引も「特定運送委託」として
新たに規制の対象に追加されました。
これによって
荷主が運賃を著しく低く抑えたり
荷積みを強要したりすることを防止し
運送事業者の利益確保を図るのが
目的とされています。
従来の下請法では
資本金の額などを基準にその
適用範囲が定められていました。
一例を挙げれば
資本金3億円を超える法人が
資本金3億円以下の法人に製造委託
などを行う場合が適用対象
とされていました。
ただ
こうしたケースで
意図的に資本金を3億円以下に
設定するなどして
下請法の適用を意図的に
逃れるケースがありました。
会社法が改正されて
以前よりも資本金の減少の手続きを
やりやすくなったことも影響しています。
そこで
今回の「取適法」では
新たに資本金の基準に加えて
従業員数を基準とした
適用基準を追加しました。
主に製造業に対し
従業員数300人超の企業が300人以下の
企業に発注する場合に対象とされました。
また
ソフトウエア制作を発注する場合
などは100人が基準とされました。
いずれにしても
この「取適法」はまだ施行されたばかり。
今
これによって価格転嫁が促され
適正な値上げや賃上げが行われることを
期待したいものです。
これからの世の中
「賃上げ」と「値上げ」は避けて
通ることができません。
中小企業にもそのための
「覚悟」が求められますね。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。