社員にお金を貸しても
毎月の給料から天引きして
返してもらえば安心。
そう考えている社長が
少なくないかも知れません。
しかし
その考えは
法的に見ると大きな
リスクが潜んでいます。

(今日の「棒人間」 給料から天引き??)
<毎日更新1751日目>
私の知り合いで
建設業を営むA社長。
この会社では
割とよく
社員さんが会社にお金を
借りにくるそうです。
なぜそうなるかと言えば
このA社長がとにかく気前が良くて
20万円とか
30万円とかすぐに
貸してしまいます。
社員にお金を貸して
ちゃんと返してもらえるのだろうかと
ちょっと心配になりますが
A社長は

いや、もう毎月の給料から2万円とか天引きして返済してもらってるから安心だよ。
と言います。
ちなみに
借用書や返済方法の合意書
などは作っていますか
と聞いたところ

そんなの一々作ってません。まぁ、うちの社員のことを信用してるから。
とのこと。
いや
実はこのA社長の対応
法律的な観点から見るとかなり
危ういと言わざるを得ません。
確かに
社員にお金を貸しても
給料から天引きして
返してもらえば安心だ
と考える気持ちはわかります。
ところが
法律ではそう簡単に
行かない部分があります。
というのは
労働基準法では
賃金の直接・全額払いの原則
というものが定められています。
具体的には
労働基準法24条1項で
と定められています。
給料というものは
社員(やその家族)の生活を
支えるものであり
給料が全額きちんと
支払われるかどうかは
社員にとっては死活問題です。
そこで
社員に対する貸付金の返済などを
社員の給料から天引きして
支払わせることは
原則として
禁止されているのです。
それでは
その社員が給料からの天引き
に同意しているときは
どうでしょうか?
お金を借りたい社員としても
毎月の給料から一定額を天引き
してもらうという返済方法を
むしろ望む場合もあります。
これについては
最高裁の判例があり
には天引きをすることも
例外的に許されるとしています。
さて
ここからが非常に重要なのですが
やはりこうした場面でも
社員との間できちんと「書面」を
作成しておくべきです。
上記の最高裁判例のとおり
いわば社員の真摯な同意があれば
例外的に給料から天引きの形で
返済してもらっても良い
ということになります。
ところが
口約束だけの場合には
本当にそうした天引きに社員が同意
していたかどうかという証拠が
一切ありません。
考えたくないですが
後で裁判で
社員に

私はイヤだったのに、会社から強制的に給料天引きで返済を強いられました。
などと言われてしまうと
会社は対抗手段がなくなります。
さらに
口約束しかなかった場合
その社員に会社を辞められてしまうと
もはや給料から天引きという
スキーム事態が成り立たなく
なります。
そこで
社員が万が一途中で会社を
対象した場合の返済方法なども
あらかじめ合意の上で書面を
作っておく必要があります。
ということで
社員を信頼するA社長の
気持ちもよくわかりますが
やはり書面を作らずに口約束だけで
社員にお金を貸すのはリスクが
大きいと言わざるを得ません。
面倒でも
書面はきちんと
作っておくべきですね。
もし書面の作成方法がわからないとか
内容が不安だという場合は
やはり弁護士に相談することを
お勧めします。
せっかく善意でお金を貸してあげたのに
それが元で社員とトラブルになることは
避けたいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。