最近、カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉に代表されるような、悪質なクレーマーが増えているようです。
悪質なクレーマーには、対処法というものがあります。
会社が被害を受けないように、対処法をきちんと押さえておく必要があります。
(悪質なクレーマーは犯罪?)
<毎日更新598日目>
目次
昨日は、いわゆる「反社」と関わることのリスクについてブログで書きました。
私が見聞きした中にも、今でも反社風の人物から企業が露骨に脅される、ということがあります。
特に、会社側のささいなミスにつけこんで過度なクレームを言ってくる、というケースがあります。
中には、土下座をして謝ることを要求するケースも。
最近では、顧客による嫌がらせを意味する「カスタマーハラスメント」(カスハラ)という言葉も有名になっています。
まず知っておいていただきたいのは、過度なクレームなどを言って脅す行為は、犯罪になり得る、ということです。
たとえば、土下座して謝罪しろと要求して、土下座しなければ生命、身体等に危害を加える旨のことを言ってきた場合には、強要罪(刑法223条1項で3年以下の懲役)に当たる可能性があります。
さらに、脅迫罪(刑法222条1項で2年以下の懲役または30万円以下の罰金)や業務妨害罪(刑法234条で3年以下の懲役または30万円以下の罰金)にもなり得ます。
また、たとえばアポ無しでいきなり会社に怒鳴り込んできたような場合は、住居侵入罪(刑法130条で3年以下の懲役または10万円以下の罰金)。
そして、帰ってほしいと言っても帰らなかった場合は不退去罪(刑法130条で同じく3年以下の懲役または10万円以下の罰金)となる可能性があります。
さらに、相手方が暴力行為に及んだような場合は、暴行罪(刑法208条で2年以下の懲役または30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)や傷害罪(刑法204条で15年以下の懲役または50万円以下の罰金)になり得ます。
ちなみに、刑罰の重さや拘留とか科料の意味などについては、下記のブログ記事を参考にしてください。
もし悪質なクレーマーから上記のような行為を受けたら、警察への通報や刑事告訴、民事上の損害賠償などの措置をとるべきです。
さらに、「反社」が疑われるような悪質クレーマーに対して、会社として対処するときのポイントについてお話したいと思います。
まず、会う場所に気をつけましょう。
間違っても相手の会社に行ったりしてはいけません。
できれば自社に相手を呼ぶ。
どうしてもそれが難しければ、喫茶店など人目のある場所で会うようにしましょう。
相手方に対してこちらが1人で対応する、ということは避けたほうが良いでしょう。
こちらは必ず複数で対応するのが大切です。
まず、複数で対応することで、こちらは落ち着いて相手に対処することができます。
さらに、たとえば交渉担当者、その横でメモを取る人、さらに相手方の言動を観察する人など、複数いればそれぞれ役割分担を行うことも可能です。
そうした方が、こういう人との交渉は有利に進みます。
相手方と交渉するにあたって、会話の内容などを後々の証拠として残しておく必要があります。
この場合、相手方に黙って録音や録画をすることは問題ないと思われます。
なお、秘密録音については下記のブログ記事を参考にしてください。
交渉で相手に呑まれないようにすることも大切です。
相手は、こちらの対応をしっかりと観察していて、スキがあれば因縁をつけてこようとするケースが多いです。
要するに、
ということです。
具体的な対策としては、必ず相手の目を見て話す。
話すとき相手の目から視線をそらさない。
それから、声のトーンも結構重要で、相手の声よりもこちらの声が小さくならないように注意が必要です。
相手は人を脅すプロです。
こちらの様子を観察して、こちらが内心動揺しているかどうかを見分けるのは実にうまいのです。
相手に呑まれないためには、意外に視線とか声とか、そういったところも重要なのです。
私も、まだ新人弁護士だった頃に、「反社」系の人を事務所に呼んで交渉したことを思い出しました。
内心は怖くてヒヤヒヤしていましたが、一生懸命それを悟られまいと、視線と声で負けないようにしていました😅
上記のポイント4とも関連しますが、相手に呑まれてしまうと、ついビビって、こちらから
などと言ってしまいがちです。
しかし、そうなると相手の思うツボです。
だいたいこういう人は、あの手この手で脅しておいて、自分から要求ははっきり言わないことが多いのです。
こういう人は、自分の要求が不当なもので、下手をすれば警察に捕まる、ということをちゃんと自覚しているのです。
ですから、相手の要求は必ず相手の口から言わせましょう。
などと言われたら、
と聞き返してあげましょう。
なかなかはっきりと要求を言わない相手には、
とはっきり聞いてみるのも良いでしょう。
そうすると、
などと口ごもります。
と思いますが。
要求をはっきり言ってしまうと、恐喝などと言われかねないことは、こういう人自身が一番良く知っているのです。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
ただし、相手の言動の悪質さ次第では、すぐに警察に連絡した方がよい場合もあるでしょう。
特に、従業員に危害を加えられる可能性がある場合は、迷わず警察に連絡しましょう。
また、ご自身での交渉が難しいと感じる場合は、交渉のプロである弁護士に依頼するのも1つの選択肢だと思います。
最新動画
今回は、労働審判という手続について、会社側の対応方法と予防のポイントというテーマでお話ししています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。